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千年王国
カルと私2
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side・レン
「ねぇ、カル?」
『なに?』
「何度見ても、これって、魔晶石じゃ無いわよね?」
『違うね』
「じゃあ、何だと思う?」
『さあ・・・なんだろうね』
なんでしょうか、このワザとらしい、すっ惚け振りは?
こんな風に、惚けて見せるのは、ドラゴンの常套手段なのかしら?
絶対知ってますよね?
知ってて、教えたくないって感じでしょうか?
それとも隠さなくちゃいけない、理由が有るの?
クレイオス様もそうだけど、言いたくない事がある時の隠し方が、二人とも本当にそっくりで嫌になっちゃう。
何か、ヒントくらいくれても良いのにな。
「まあいいや。ウジュカの大公殿下なら、何か知っているだろうし、私が知っていい事なら教えてくれるでしょう?」
『多分ね。そうじゃない?』
「・・・・なんか、当たりがきつくないですか?」
『そう? 気のせいだと思うよ』
いや絶対きついって。
出会ったばかりの頃は、もっと優しかったような気がするんだけどなぁ。
私カルに嫌われるような事、何かしたのかしら?
う~ん。
でもどっちかって言うと、嫌われてるって言うより、カルが拗ねているような気がするのよねぇ・・・。
「それじゃあ、また仕舞って置いてくれる?」
『うん。いいよ。でもこれ、あまり外に出さない方がいいと思うよ』
「そうなの? なんで?」
『なんでも、だよ』
「・・・教えてくれるつもりは」
『ない』
「・・・・・・」
ふ~ん。
そうですか。
「カルとクレイオス様の、その謎空間って本当に便利ですよね。中の収納の仕方とかってどうなってるの?」
『考えたことが無いな。いつも適当に放り込んで、必要なものを思い浮かべたら勝手に出て来る」
「何それ?チート過ぎる」
『ちーと?』
「厳密には違うんですけど、便利すぎて狡いって事です」
『それを言うなら、君の存在自体がちーとだと思うけどね?』
「それを言われると、反論出来ないですね。アウラ様のくれたバフが、えげつない事になってますし」
『そこ、認めちゃうんだ』
「元の世界では、私は唯の地味な社畜喪女でしたから。分不相応な能力を頂いた自覚はあるのですよ」
『そこまで卑下しなくてもいいんじゃないの?』
「卑下じゃなくて事実ですよ?私の能力はアレク達みたいに、命がけの研鑽で手に入れたものでは無いんです。人より多くの物をアウラ様からもらっただけの、ズルなんですから」
『クレイオスが、君の事を自己肯定感の低い子だって言ってたけど本当みたいだね』
「それよく言われます。でもね、みんなにも言ってるけど、自意識が過剰にライジングしちゃった様な、勘違いの痛い子よりはマシだと思っているのですよ。ねぇカル?いきなり私がそんな人間になったらどうします?」
『それって君が、自分大好き我儘っ子になるって事?』
「簡単に言えばそうですね」
『う~ん。想像できない。でももし・・・・あり? いや、なしかな?でも・・・』
何を想像しているのか知りませんが、そんなに真剣に考える事なのでしょうか?
「はいはい。お巫山戯はここまでにして、真剣な話です」
『まだ何かあるの?』
「有りまくりです。クレイオス様が戻れない以上、相談できるのはカルだけなんですから、頼りにしているのよ?」
『頼りにね・・・ふ~ん。そうなんだ』
あっ。
これは失敗したかも。
なんか悪い顔になってます。
でもここは気付かない振りで。
イケメンの悪だくみなんて無視、無視。
『それで相談って?』
「神託の話しなんですけど、"蒼き森深く 緑海の王墓に封じられし者解き放ち、その標となりて、慈愛と平安を齎さん" ってとこなんですけどね?ウジュカの秘宝は、ヨナスさんのお墓に隠してあったじゃないですか。だから、あの秘宝が ”王墓に封じられし者” かな?って一瞬思ったのですが、なんか違う気がするんですよね」
『どうして?』
「ん~~~。あの秘宝って、なんとなく鉱物って感じがしないから、あれでも当たりなのかもしれないけど。”者”って言うからには、人とか生き物だと思うの」
『・・・・続けて』
「それで、前のアウラ様と話していた時に、アウラ様がポロっと、ウジュカにとっても大事なものが有る。みたいなことを言ってたの。それに前にも話したけど、ヨナスさんは王様じゃなかったでしょ?カルにもエストの王様が誰だったか考えろって言われたし」
『そうだね。それで何か考え付いたの?』
「緑海って言うのはウジュカの事で、王様は、ヨナスさんのお父さん。樹海の王って言われてた、レジスさんの事かなって。レジスさんのお墓ってウジュカに有る?」
『うん。概ね正解かな』
「概ね?」
『私も正解を知っている訳じゃないからね。ヨナスの昔話と私の推測を合わせると、概ね正解だとしか言えないんだ。王墓の場所も、何が封じられているのかも、私は知らないし』
「あぁ。そういう・・・」
まだ、何か隠していそうな気がするけど・・・・。
クレイオス様は、カルには神との制約が無いから何でも聞けって言ってたけど、カルにはカルの事情で、話せない事もあるみたい。
長生きした分柵が多いって事なのかしらね?
ん?
1万年も引きこもってた人が、しがらむ程人付き合いしてたの?
あっ違うか。
外に出なくなったのは、ゴトフリーが出来てからか。
『今凄く失礼な事考えてたでしょ?』
「そんな事ないですよ?それより、エストってどのくらいの大きさだったの?」
『そうだねぇ。ヨナスも話を盛りたがるお爺ちゃんだったから、何処までが本当か分からないけど、この大陸全部って言ってたな』
「大陸全部?」
『原初の頃はそうだったのかも知れないよ?でもヘルムントの領地は、大陸の中心から北寄りだったらしいし、レジスが治めていたころは、今のゴトフリーからウジュカを通って北の海岸線までだったみたいだね』
「それはまた、盛りましたね」
『若い頃はどうだったか知らないけれど、私が知っているヨナスは、冗談が好きなほら吹き爺さんでね。彼の語る昔話は面白くて、子供達の人気者だった』
懐かしそうに語るカルの瞳は、何処か嬉しそうで、それでいて悲しそうな。
ちょっと複雑な色に染まって居ます。
「私のお爺ちゃんとは正反対です」
『君のお爺ちゃんは厳しい人?』
「それはもう! ”時代劇のお侍さんか” って、ヤベちゃんが笑うくらいの人で。でも優しい人ではあったし、なんだかんだで、おばあちゃんには頭が上がらなかったみたい」
『あ~、それはなんとなく分かるかな。魔族にもそんな夫夫が結構いたから・・・・だけどさ。前から思っていたんだけど、君の話を聞いていると。異界の夫夫って役割分担がきっちり分かれているように聞こえるね。それってなんの違いなの?」
「それ聞いちゃいます?」
『聞いちゃいたいね』
「ん~~~。実はですね」
ここで私は、自分と異界の性別の違いについてカルに説明しました。
カルは最初驚いていたし、何故隠しているのかと不思議がって居ましたが、招来されたばかりの頃は、神殿のちょっかいが煩くて。神官達に世界でたった一人の女性だと知られたら、色々と危険だろうという事で、隠していたのだ、と話すと納得していました。
「今は神殿も解体されて、再編成の途中ですし、アレクとも正式に伴侶となったので、今度の戴冠式に合わせて、公表する予定なんです」
『ふ~~ん。正式な伴侶ね』
何かしら。
私とアレクの婚姻関係に文句でも?
「何が言いたいの?私とアレクが結婚してるからって問題ある?」
気色ばむ私に、カルは苦笑いを浮かべています。
でも私はこう言う含みを持った言い方が、好きではありません。
「言いたいことが有るなら、ハッキリ言って」
『そんなに怒る事ないでしょ? 君たちがあんまり仲が良いから、ちょっと意地悪したくなっただけだよ』
「そりゃね。私達は二つ名の誓いを立てた伴侶同士ですから」
『えっ? 二つ名の誓いを立てたの? 魔法契約より縛りがきついんだよ?』
「知ってますけど?誓いを破るつもりは更々ないのだから、問題ないですよね?」
『まぁ・・・そうなんだけど・・・・あっ!痛っ!』
考え込むカルの頭に、アウラ様からのお菓子の包みが、ばらばらと振ってきて、この話は有耶無耶になってしまいました。
でも、なんとなく最近のカルは、絡み方がうざいと言うか、意地が悪いと言うか。
やっぱり引きこもりの龍の考えはよく分からないです。
「ねぇ、カル?」
『なに?』
「何度見ても、これって、魔晶石じゃ無いわよね?」
『違うね』
「じゃあ、何だと思う?」
『さあ・・・なんだろうね』
なんでしょうか、このワザとらしい、すっ惚け振りは?
こんな風に、惚けて見せるのは、ドラゴンの常套手段なのかしら?
絶対知ってますよね?
知ってて、教えたくないって感じでしょうか?
それとも隠さなくちゃいけない、理由が有るの?
クレイオス様もそうだけど、言いたくない事がある時の隠し方が、二人とも本当にそっくりで嫌になっちゃう。
何か、ヒントくらいくれても良いのにな。
「まあいいや。ウジュカの大公殿下なら、何か知っているだろうし、私が知っていい事なら教えてくれるでしょう?」
『多分ね。そうじゃない?』
「・・・・なんか、当たりがきつくないですか?」
『そう? 気のせいだと思うよ』
いや絶対きついって。
出会ったばかりの頃は、もっと優しかったような気がするんだけどなぁ。
私カルに嫌われるような事、何かしたのかしら?
う~ん。
でもどっちかって言うと、嫌われてるって言うより、カルが拗ねているような気がするのよねぇ・・・。
「それじゃあ、また仕舞って置いてくれる?」
『うん。いいよ。でもこれ、あまり外に出さない方がいいと思うよ』
「そうなの? なんで?」
『なんでも、だよ』
「・・・教えてくれるつもりは」
『ない』
「・・・・・・」
ふ~ん。
そうですか。
「カルとクレイオス様の、その謎空間って本当に便利ですよね。中の収納の仕方とかってどうなってるの?」
『考えたことが無いな。いつも適当に放り込んで、必要なものを思い浮かべたら勝手に出て来る」
「何それ?チート過ぎる」
『ちーと?』
「厳密には違うんですけど、便利すぎて狡いって事です」
『それを言うなら、君の存在自体がちーとだと思うけどね?』
「それを言われると、反論出来ないですね。アウラ様のくれたバフが、えげつない事になってますし」
『そこ、認めちゃうんだ』
「元の世界では、私は唯の地味な社畜喪女でしたから。分不相応な能力を頂いた自覚はあるのですよ」
『そこまで卑下しなくてもいいんじゃないの?』
「卑下じゃなくて事実ですよ?私の能力はアレク達みたいに、命がけの研鑽で手に入れたものでは無いんです。人より多くの物をアウラ様からもらっただけの、ズルなんですから」
『クレイオスが、君の事を自己肯定感の低い子だって言ってたけど本当みたいだね』
「それよく言われます。でもね、みんなにも言ってるけど、自意識が過剰にライジングしちゃった様な、勘違いの痛い子よりはマシだと思っているのですよ。ねぇカル?いきなり私がそんな人間になったらどうします?」
『それって君が、自分大好き我儘っ子になるって事?』
「簡単に言えばそうですね」
『う~ん。想像できない。でももし・・・・あり? いや、なしかな?でも・・・』
何を想像しているのか知りませんが、そんなに真剣に考える事なのでしょうか?
「はいはい。お巫山戯はここまでにして、真剣な話です」
『まだ何かあるの?』
「有りまくりです。クレイオス様が戻れない以上、相談できるのはカルだけなんですから、頼りにしているのよ?」
『頼りにね・・・ふ~ん。そうなんだ』
あっ。
これは失敗したかも。
なんか悪い顔になってます。
でもここは気付かない振りで。
イケメンの悪だくみなんて無視、無視。
『それで相談って?』
「神託の話しなんですけど、"蒼き森深く 緑海の王墓に封じられし者解き放ち、その標となりて、慈愛と平安を齎さん" ってとこなんですけどね?ウジュカの秘宝は、ヨナスさんのお墓に隠してあったじゃないですか。だから、あの秘宝が ”王墓に封じられし者” かな?って一瞬思ったのですが、なんか違う気がするんですよね」
『どうして?』
「ん~~~。あの秘宝って、なんとなく鉱物って感じがしないから、あれでも当たりなのかもしれないけど。”者”って言うからには、人とか生き物だと思うの」
『・・・・続けて』
「それで、前のアウラ様と話していた時に、アウラ様がポロっと、ウジュカにとっても大事なものが有る。みたいなことを言ってたの。それに前にも話したけど、ヨナスさんは王様じゃなかったでしょ?カルにもエストの王様が誰だったか考えろって言われたし」
『そうだね。それで何か考え付いたの?』
「緑海って言うのはウジュカの事で、王様は、ヨナスさんのお父さん。樹海の王って言われてた、レジスさんの事かなって。レジスさんのお墓ってウジュカに有る?」
『うん。概ね正解かな』
「概ね?」
『私も正解を知っている訳じゃないからね。ヨナスの昔話と私の推測を合わせると、概ね正解だとしか言えないんだ。王墓の場所も、何が封じられているのかも、私は知らないし』
「あぁ。そういう・・・」
まだ、何か隠していそうな気がするけど・・・・。
クレイオス様は、カルには神との制約が無いから何でも聞けって言ってたけど、カルにはカルの事情で、話せない事もあるみたい。
長生きした分柵が多いって事なのかしらね?
ん?
1万年も引きこもってた人が、しがらむ程人付き合いしてたの?
あっ違うか。
外に出なくなったのは、ゴトフリーが出来てからか。
『今凄く失礼な事考えてたでしょ?』
「そんな事ないですよ?それより、エストってどのくらいの大きさだったの?」
『そうだねぇ。ヨナスも話を盛りたがるお爺ちゃんだったから、何処までが本当か分からないけど、この大陸全部って言ってたな』
「大陸全部?」
『原初の頃はそうだったのかも知れないよ?でもヘルムントの領地は、大陸の中心から北寄りだったらしいし、レジスが治めていたころは、今のゴトフリーからウジュカを通って北の海岸線までだったみたいだね』
「それはまた、盛りましたね」
『若い頃はどうだったか知らないけれど、私が知っているヨナスは、冗談が好きなほら吹き爺さんでね。彼の語る昔話は面白くて、子供達の人気者だった』
懐かしそうに語るカルの瞳は、何処か嬉しそうで、それでいて悲しそうな。
ちょっと複雑な色に染まって居ます。
「私のお爺ちゃんとは正反対です」
『君のお爺ちゃんは厳しい人?』
「それはもう! ”時代劇のお侍さんか” って、ヤベちゃんが笑うくらいの人で。でも優しい人ではあったし、なんだかんだで、おばあちゃんには頭が上がらなかったみたい」
『あ~、それはなんとなく分かるかな。魔族にもそんな夫夫が結構いたから・・・・だけどさ。前から思っていたんだけど、君の話を聞いていると。異界の夫夫って役割分担がきっちり分かれているように聞こえるね。それってなんの違いなの?」
「それ聞いちゃいます?」
『聞いちゃいたいね』
「ん~~~。実はですね」
ここで私は、自分と異界の性別の違いについてカルに説明しました。
カルは最初驚いていたし、何故隠しているのかと不思議がって居ましたが、招来されたばかりの頃は、神殿のちょっかいが煩くて。神官達に世界でたった一人の女性だと知られたら、色々と危険だろうという事で、隠していたのだ、と話すと納得していました。
「今は神殿も解体されて、再編成の途中ですし、アレクとも正式に伴侶となったので、今度の戴冠式に合わせて、公表する予定なんです」
『ふ~~ん。正式な伴侶ね』
何かしら。
私とアレクの婚姻関係に文句でも?
「何が言いたいの?私とアレクが結婚してるからって問題ある?」
気色ばむ私に、カルは苦笑いを浮かべています。
でも私はこう言う含みを持った言い方が、好きではありません。
「言いたいことが有るなら、ハッキリ言って」
『そんなに怒る事ないでしょ? 君たちがあんまり仲が良いから、ちょっと意地悪したくなっただけだよ』
「そりゃね。私達は二つ名の誓いを立てた伴侶同士ですから」
『えっ? 二つ名の誓いを立てたの? 魔法契約より縛りがきついんだよ?』
「知ってますけど?誓いを破るつもりは更々ないのだから、問題ないですよね?」
『まぁ・・・そうなんだけど・・・・あっ!痛っ!』
考え込むカルの頭に、アウラ様からのお菓子の包みが、ばらばらと振ってきて、この話は有耶無耶になってしまいました。
でも、なんとなく最近のカルは、絡み方がうざいと言うか、意地が悪いと言うか。
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