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千年王国
上皇ハリーの父性
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「どうしましょうか」
「・・・どうもこうも。アレクサンドルの機嫌を取るしかないでしょう?」
はぁ~~~~。
皇太子改め、クレイオス帝国皇帝執務室にて、誕生したばかりの皇帝と、その母皇太后は頭を抱え、溜息を繰り返していた。
「だから、事前に知らせておくべきだ。って言ったじゃないですか」
「そんな事をしたら、あの子が断るか逃げるだろうと言ったのは、あなたでしょう」
何度目かも分からない繰り言を言い合う母子の横で、上皇だけが涼しい顔で茶を楽しんでいる。
「居場所は分かって居るのに、こちらからの手紙には梨の礫ですよ?かと言って、騎士達に引っ張って来させる事も出来ないし」
「確実に返り討ちだものね。しつこくし過ぎて、何処かに雲隠れでもされたら、目も当てられない」
「せめて、兄上の休暇が終わってから布告を出せばよかった」
「何言っているの。世界中の要人が集まっている場所で、知らしめる必要があったでしょう」
「そうなんですけど。この調子だと、休暇が終わっても、戻ってくれないかもしれませんよ?」
「完全に臍を曲げているものね」
頭を抱える二人を他所に、上皇は飲み干してしまった茶を自ら入れ直し、3人の前に積み上げられた焼き菓子に手を伸ばした。
それを眼にした皇太后ロイドは、イライラと扇を閉じた。
「上皇陛下。何を暢気にお茶を楽しんでいるのです」
「折角用意してくれたのに、残したら勿体ないだろう?」
「ハリー!今はお茶どころではないのですよ?!」
「そうかい?大した問題じゃないだろう?」
「ハリーッ!!」
イライラとしたロイドの甲高い声に、上皇ハリーは浮世離れした笑顔を、フワフワと浮かべて見せた。
「そんなに焦って、君らしくないよロイド。それにアーノルドも騒ぎ過ぎだ」
「ですが父上!」
落ち着きのない息子の声に、上皇ハリーは漸くカップをテーブルに戻した。
「君達は、なんでもかんでも、アレクに頼り過ぎなんだよ。たしかにあの子は兄弟の中で一番努力家で、なんでも卒なくこなすし、在り得ないほど強いよ?でもね、あの子だって人間だって事、忘れているんじゃないか?」
「ハリー?」
「私がこんな事を言うのは、烏滸がましい事なんだけれどね。僕達が父上の目に留まらない様にコソコソ隠れて生きていた時から、アレクとウィルは、僕達の代わりに、矢面に立ち続けてくれた事を忘れたの?」
「勿論覚えています。あの子にはどれだけ感謝しているか」
「そんなものでは足りないよ」
悲し気な呟きに、ロイドとアーノルドは繋ぐ言葉を失ってしまった。
「・・・・父上」
「私は可哀そうなジルベールを救ってやることも出来なかった。壊れてしまったウィリアムにも、手を差し伸べなかった。アーノルドの事はほったらかしだったしね。全ての責任を、果たしてくれたのはアレクサンドルだ。最愛の兄を手に掛け、嗜虐の罪を被り、私達も含めすべての民を、ギデオンから解放してくれたのも、魔物の脅威に立ち向かてくれたのも、恐ろしい呪いから、国を救ってくれたのも、全部アレクだ」
「・・・その通りです」
「だからこそ、アレクサンドルを王にと」
上皇は自身の唇の前に指を立て、皇太后を黙らせた。
「私は、あの子に親らしいことなんて、何もしたことが無い。それでもあの子は皇子としての務めを、立派に果たして来てくれた。だから招来された愛し子が、あの子の番だと分かって、本当に嬉しかった。これであの子もやっと幸せになれる、そう思ったからね。実際レンはとても良い子で、アレクの事も愛してくれている。でも二人は、手放しで喜べるような、楽な生き方は出来ていないだろ?」
「はい」
「・・・・そうね」
「正直な気持ちを話すと。今回の君たちとクレイオス殿のやり方に、私は腹を立てている」
「え?」
「何故あの二人を、そっとしておいてあげないんだ?二人は私達に出来ない事。辛い事の全てを引き受け、十分に務めを果たしてくれたじゃないか。奇跡のような巡り合わせで、番になれたのに、討伐だ浄化だ、平定だって。2人はまともな新婚生活も送れていないだろ?」
「貴方の言う事も分かるけれど、あの子は皇族の一員なのだから、普通の貴族のようには出来ないでしょ」
「なにを言っているんだ?君が輿入れしてきた時、私達の新婚旅行は2か月だった。まぁ・・・君は詰まらな過ぎて、忘れてしまったのかも知れないけれどね」
「ハリー・・・・」
「楽しかったかどうかは別としても、私達が持てた時間を、アレクに持たせてやらないのは、理不尽じゃないのか?」
「ですが父上。父上の時とは状況が違います」
「だから何だい?それなら君はリアンと新婚旅行にも行かないし、毎日仕事詰めで、新婚の楽しい時間は、要らないと言うんだね?」
「そ・・・それは・・・」
「君たちは国内の豊かな領地を、アレクに与えた訳ではないだろう?この先国として纏めていく事も、収益を上げる事も難しい、厄介な土地をあの子に押し付けた。それなのに、自分は暢気に新婚旅行へ行くつもりだったのだろう?それを身勝手と呼ばずに何と呼ぶのか、私は聞きたいね」
「ハリー、そんな言い方しなくても」
「私は暗愚だったし、親の務めも果たせないろくでなしだ。それでも頑張って来た息子に、褒美の一つもやりたいと思うし、子供達全員に幸せになって欲しかった。いいかい?君たち二人は、アレクとレンに甘え過ぎだと私は思う。そして、とても重要な事を忘れているよ」
静かにカップを持ち上げた上皇の言葉に、ロイドとアーノルドは揃って首を傾げた。
「私達が何を忘れているというの?」
「・・・アレクが獣人だという事だ。私達人族にとって、我慢出来る事、重要とは思えない事でも、獣人には生死に関わる事だってある。獣人にとって蜜月は、その後の人生を左右する程に、重要な期間なのだよ」
「あ・・・・」
「・・・そうでした」
口調も物腰も柔らかな上皇の叱責に、母子は揃って俯いてしまった。
「あの二人は責任感の強い子たちだ。王になれ、国を治めろと言われたら、全力でそれに取り組むだろう。アレクとレンが皇帝と皇后になったなら、クレイオス家歴代最高の君主になる能力を持っている、と私は信じている」
「父上は・・・私が皇帝では満足できませんか」
すっかりしょげ返り、暗い顔をする息子に、ハリーはぼんやりとした笑みを向けた。
「いや?アレクは皇帝に相応しい能力は持っているが、帝位には向いていない。あの子が民の命より、レンを優先する事は目に見えているからね。私達人族のような薄情さを、獣人のあの子は持っていないんだ」
「・・・兄上は優しい方です」
「そうだね。君達2人が、あの子に与えた領土くらいが、広さ的には丁度いい塩梅なのだとは思う。でもね、時期が悪すぎる。あの子達を無理に呼び戻そうとするのは止めて、二人の時間を大事にしてあげなさい。あの子達のこれまでの功績や、受けた恩を忘れていないなら、アレクの気が済むまで、そっとしておくべきだと私は思う。あの子がこれまでしてくれた事を考えたら、1年2年のんびり休ませてあげたって良いのじゃないか?」
「それは・・・長すぎると思うけど」
「ただの例えだ。あの子達は責任感の強い子たちだ。任せると言われた事を、何時までも放りっぱなしになんて出来ないよ。例えそれが、君たちが勝手に押しつけた責任だとしてもね」
上皇ハリーが始めて見せた父親らしい一面に、すっかり気圧されたロイドとアーノルドは、上皇の意見を受け入れ、大公領に引きこもってしまったレンとアレクを、黙って見守る事にしたのだった。
「・・・どうもこうも。アレクサンドルの機嫌を取るしかないでしょう?」
はぁ~~~~。
皇太子改め、クレイオス帝国皇帝執務室にて、誕生したばかりの皇帝と、その母皇太后は頭を抱え、溜息を繰り返していた。
「だから、事前に知らせておくべきだ。って言ったじゃないですか」
「そんな事をしたら、あの子が断るか逃げるだろうと言ったのは、あなたでしょう」
何度目かも分からない繰り言を言い合う母子の横で、上皇だけが涼しい顔で茶を楽しんでいる。
「居場所は分かって居るのに、こちらからの手紙には梨の礫ですよ?かと言って、騎士達に引っ張って来させる事も出来ないし」
「確実に返り討ちだものね。しつこくし過ぎて、何処かに雲隠れでもされたら、目も当てられない」
「せめて、兄上の休暇が終わってから布告を出せばよかった」
「何言っているの。世界中の要人が集まっている場所で、知らしめる必要があったでしょう」
「そうなんですけど。この調子だと、休暇が終わっても、戻ってくれないかもしれませんよ?」
「完全に臍を曲げているものね」
頭を抱える二人を他所に、上皇は飲み干してしまった茶を自ら入れ直し、3人の前に積み上げられた焼き菓子に手を伸ばした。
それを眼にした皇太后ロイドは、イライラと扇を閉じた。
「上皇陛下。何を暢気にお茶を楽しんでいるのです」
「折角用意してくれたのに、残したら勿体ないだろう?」
「ハリー!今はお茶どころではないのですよ?!」
「そうかい?大した問題じゃないだろう?」
「ハリーッ!!」
イライラとしたロイドの甲高い声に、上皇ハリーは浮世離れした笑顔を、フワフワと浮かべて見せた。
「そんなに焦って、君らしくないよロイド。それにアーノルドも騒ぎ過ぎだ」
「ですが父上!」
落ち着きのない息子の声に、上皇ハリーは漸くカップをテーブルに戻した。
「君達は、なんでもかんでも、アレクに頼り過ぎなんだよ。たしかにあの子は兄弟の中で一番努力家で、なんでも卒なくこなすし、在り得ないほど強いよ?でもね、あの子だって人間だって事、忘れているんじゃないか?」
「ハリー?」
「私がこんな事を言うのは、烏滸がましい事なんだけれどね。僕達が父上の目に留まらない様にコソコソ隠れて生きていた時から、アレクとウィルは、僕達の代わりに、矢面に立ち続けてくれた事を忘れたの?」
「勿論覚えています。あの子にはどれだけ感謝しているか」
「そんなものでは足りないよ」
悲し気な呟きに、ロイドとアーノルドは繋ぐ言葉を失ってしまった。
「・・・・父上」
「私は可哀そうなジルベールを救ってやることも出来なかった。壊れてしまったウィリアムにも、手を差し伸べなかった。アーノルドの事はほったらかしだったしね。全ての責任を、果たしてくれたのはアレクサンドルだ。最愛の兄を手に掛け、嗜虐の罪を被り、私達も含めすべての民を、ギデオンから解放してくれたのも、魔物の脅威に立ち向かてくれたのも、恐ろしい呪いから、国を救ってくれたのも、全部アレクだ」
「・・・その通りです」
「だからこそ、アレクサンドルを王にと」
上皇は自身の唇の前に指を立て、皇太后を黙らせた。
「私は、あの子に親らしいことなんて、何もしたことが無い。それでもあの子は皇子としての務めを、立派に果たして来てくれた。だから招来された愛し子が、あの子の番だと分かって、本当に嬉しかった。これであの子もやっと幸せになれる、そう思ったからね。実際レンはとても良い子で、アレクの事も愛してくれている。でも二人は、手放しで喜べるような、楽な生き方は出来ていないだろ?」
「はい」
「・・・・そうね」
「正直な気持ちを話すと。今回の君たちとクレイオス殿のやり方に、私は腹を立てている」
「え?」
「何故あの二人を、そっとしておいてあげないんだ?二人は私達に出来ない事。辛い事の全てを引き受け、十分に務めを果たしてくれたじゃないか。奇跡のような巡り合わせで、番になれたのに、討伐だ浄化だ、平定だって。2人はまともな新婚生活も送れていないだろ?」
「貴方の言う事も分かるけれど、あの子は皇族の一員なのだから、普通の貴族のようには出来ないでしょ」
「なにを言っているんだ?君が輿入れしてきた時、私達の新婚旅行は2か月だった。まぁ・・・君は詰まらな過ぎて、忘れてしまったのかも知れないけれどね」
「ハリー・・・・」
「楽しかったかどうかは別としても、私達が持てた時間を、アレクに持たせてやらないのは、理不尽じゃないのか?」
「ですが父上。父上の時とは状況が違います」
「だから何だい?それなら君はリアンと新婚旅行にも行かないし、毎日仕事詰めで、新婚の楽しい時間は、要らないと言うんだね?」
「そ・・・それは・・・」
「君たちは国内の豊かな領地を、アレクに与えた訳ではないだろう?この先国として纏めていく事も、収益を上げる事も難しい、厄介な土地をあの子に押し付けた。それなのに、自分は暢気に新婚旅行へ行くつもりだったのだろう?それを身勝手と呼ばずに何と呼ぶのか、私は聞きたいね」
「ハリー、そんな言い方しなくても」
「私は暗愚だったし、親の務めも果たせないろくでなしだ。それでも頑張って来た息子に、褒美の一つもやりたいと思うし、子供達全員に幸せになって欲しかった。いいかい?君たち二人は、アレクとレンに甘え過ぎだと私は思う。そして、とても重要な事を忘れているよ」
静かにカップを持ち上げた上皇の言葉に、ロイドとアーノルドは揃って首を傾げた。
「私達が何を忘れているというの?」
「・・・アレクが獣人だという事だ。私達人族にとって、我慢出来る事、重要とは思えない事でも、獣人には生死に関わる事だってある。獣人にとって蜜月は、その後の人生を左右する程に、重要な期間なのだよ」
「あ・・・・」
「・・・そうでした」
口調も物腰も柔らかな上皇の叱責に、母子は揃って俯いてしまった。
「あの二人は責任感の強い子たちだ。王になれ、国を治めろと言われたら、全力でそれに取り組むだろう。アレクとレンが皇帝と皇后になったなら、クレイオス家歴代最高の君主になる能力を持っている、と私は信じている」
「父上は・・・私が皇帝では満足できませんか」
すっかりしょげ返り、暗い顔をする息子に、ハリーはぼんやりとした笑みを向けた。
「いや?アレクは皇帝に相応しい能力は持っているが、帝位には向いていない。あの子が民の命より、レンを優先する事は目に見えているからね。私達人族のような薄情さを、獣人のあの子は持っていないんだ」
「・・・兄上は優しい方です」
「そうだね。君達2人が、あの子に与えた領土くらいが、広さ的には丁度いい塩梅なのだとは思う。でもね、時期が悪すぎる。あの子達を無理に呼び戻そうとするのは止めて、二人の時間を大事にしてあげなさい。あの子達のこれまでの功績や、受けた恩を忘れていないなら、アレクの気が済むまで、そっとしておくべきだと私は思う。あの子がこれまでしてくれた事を考えたら、1年2年のんびり休ませてあげたって良いのじゃないか?」
「それは・・・長すぎると思うけど」
「ただの例えだ。あの子達は責任感の強い子たちだ。任せると言われた事を、何時までも放りっぱなしになんて出来ないよ。例えそれが、君たちが勝手に押しつけた責任だとしてもね」
上皇ハリーが始めて見せた父親らしい一面に、すっかり気圧されたロイドとアーノルドは、上皇の意見を受け入れ、大公領に引きこもってしまったレンとアレクを、黙って見守る事にしたのだった。
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