青の嬢王と勿忘草

咲月檸檬

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未来ちゃん登場!フラワークラブ

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 私は淏さんと淏さんの家に帰り、花束について話し合う事にした。

「花束の件を警察に届けないか?碧にも関係している事だし。」

確かにこのままでは良くない。

何の手掛かりも無いし、淏さんの事も安心させてあげたい。

『はい。でも私警察って苦手なんです。淏さんの事は碧のお兄さんとしてしか見てないので平気なんです。』

「お父さんの事が関係してるのか?」

『そうかもしれません。警察官の姿を見ると立ってられないくらいの頭痛がするんです。』

「そうか…精神的なものだな…。」

『だからもし警察に相談する場合は、淏さんから話してもらえませんか?花束をもらった時側にいたし。』

「わかった。俺が一応報告として伝える。咲乃の事情は伝えてもいいか?」

『それで私に警察の人が近寄らないのなら。』

私は花束の件を淏さんと警察に任せる事にした。

淏さんは納得出来ていない感じだったが、私は警察が嫌いだ。

淏さんは気まずそうに話し始めた。

「俺はしばらく警官の仕事に戻らないといけないんだ。同棲は今まで通りだが、ずっと側にいて守ってあげられない。」

そっか、淏さんもいい加減に警察に戻らないとなぁ。

『分かりました。私は私で碧の事を調べます。』

「危ない事はするなよ?何かあったら直ぐに呼べ、俺は警察でダイスケの捜査をするから。」

『はい。分かってます。淏さんが悲しむ事は私もしたくありませんから。だから私からも約束です。淏さんも私が悲しむ事はしないで下さい。』

私は淏さんの手を握り、淏さんはいつもつけているブレスレットを私に付けてくれました。

『これは?』

「今の2人の約束の証だよ。」

そう言った淏さんは安心したように微笑んだ。

私も何か淏さんに証をあげたいな。

私は長いチェーンを持っている事に気付き、碧とお揃いで持っていたピンキーリングをそのチェーンに通した。

『これは私の宝物です。これを証として預けます。全部解決したら返して下さいね。』

淏さんは強く頷き、私達はより強く抱き合った。

そしてそれぞれの操作を始める。



  私は淏さんから預かった碧のスマホとパソコンを預かり、それを中心に碧の秘密を知ろうと思った。

でもどこから手をつけたらいいのか分からず困ってると碧のスマホにメールが来た。

え?

なんで?

碧の死を知らない人からかな?

私はそのメールを見る事にした。

それは《パパG》からのメールだった。

碧はパパ活をしていたみたいだけど、その人碧の死を知らないのか…。

内容は“リヴちゃん!今度はいつ会える?早くあいたいなぁ”

この人に会って話を聞きたいけど…危ない事は出来ないし…。

私は誰か付いて来てくれる人を考えた。

あの人しかいない。

私は碧のスマホを持ちある人の所に向かった。

私の父の妹夫婦2人は心臓が弱く入退院を繰り返していたが、昔2人はほぼ同時に亡くなった。

2人には子供がいてその子は私と同い年の未来ちゃんという女の子だその子はその筋では有名なハッカーでよくお父さんの仕事を手伝っていた。

未来ちゃんは赤坂にあるホテルに暮らしている。

私は未来ちゃんに会うために赤坂のホテルに向かった。

未来ちゃんの部屋をノックした。

「入っていいよ。」

未来ちゃんが大きな声で言った。

私が中に入ると未来ちゃんはレモンパイを食べていた。

『久しぶり。よく私だと分かったね。』

「ここに尋ねてくるのは咲乃ぐらいだよ。それでなにかあった?」

『実は私の友人の碧が最近亡くなったの。』

未来ちゃんは私にレモンティーを出してくれた。

「高校の友達?」

『そう、その子は誰かに殺されたんだけどその真犯人を探してる。』

「探偵みたいな事をしてるんだね。おじさんのことあんなに悪く言ってたのに。」

未来はそう言いながらパソコンで碧の事件について調べだした。

『探偵じゃないよ。私は碧のお兄さんの手伝いをしてるだけ。』

「へぇ、その人は探偵?」

『…警察。』

「え!?警察なの?」

『警察は嫌いだけどあの人は信じれる。』

「好きなの?」

『付き合ってる。』

「えー。まぁいいや。私はなにを手伝えばいいの?」

『碧はパパ活をしててその人達に話を聞きたいの』

「その人達が怪しいの?」

『怪しくはない。でも碧の秘密知りたくて。』

「じゃその人よりパパ活紹介サイトを調べたほうがよくない?碧のスマホあるの?」

私は碧のスマホを預けた。

『ありがとう。』

「おじさんは?まだ代わりないの?」

『今だに植物人間。』

「昏睡状態でしょ?」

『お父さんの話しはいいよ。』

「はいはい。」

それから私達が世間話をしてるうちの調べ事が終わった。

「碧のパパ活は《フラワー》というパパ活クラブでやってるみたいだよ?」

フラワー…

『そこを調べれば何か分かるかな?』

「調べたらそこのオーナーが碧らしい。」

『どういうこと?』

「碧とホスト2人でそこのクラブを経営してるみたい。」

『ホスト…確か連絡先にあった。』

「ただ経営者の携帯にしてはこの端末は情報が少ない。碧にはもうひと端末があってもおかしくない。」

端末…。

あ!パソコンがある!

『そういえば碧はパソコンも使ってた。』

「それってノートパソコン?」

『デスクトップ。』

「じゃ私いじれないじゃん。」

確かに、碧のパソコンは淏さんの家の碧の部屋にある。

淏さんに相談しないと決められない。

そもそもいくら私の親戚だからって、知らない人を碧の部屋に入れるのは…。

『今日帰ったら淏さんに相談してみる。』

私の言葉に未来の口があんぐり空いていた。

『どうしたの?口空いてるよ?』

「もしかして一緒に暮らしてるの?」

『あーうん。ちょっと色々ありまして。』

「おじさんがいない事をいい事に!!私はあなたをそんな尻軽に育てた覚えはないわ!!!」

『育てられた覚えがないわ!!』

そして私達は少しにやけてしまった。

「それで?色々って?」

私は未来に花束の事を話した。

もしかしたら怖くなって協力してもらえなくなるかもしれないが、花束の事を隠す訳にはいかない。

未来の表情は真剣そのものだった。

「なんですぐ私に相談してくれなかったの?」

『結構直ぐに相談しに来たよ。3日ぐらい前の話なんだよ?』

「でもさ…その人の事信用し過ぎじゃない?」

『未来も会って見れば分かるよ!今度会ってみる?』

「考えとく。今はとりあえずパソコン見ないとフラワークラブの事は分からないかも。」

お店経営してるならスマホだけじゃ分からないよな…。

『ありがとう。淏さんに聞いたらまた連絡する!』

「私は碧とは1回しか会った事無いけど…でも咲乃がやりたいなら私はもちろん協力するよ?私達は家族なんだから。」

未来…

未来は私のお母さんが亡くなった時も、お父さんが昏睡状態になった時も私の側にいてくれた。

私達は家族の事でたくさん泣いて来たけど、それでも支えあってきた。

『ありがとう。未来がいれば百人力!』

「そうでしょ?まぁ私は機械系しか出来ないけど。」

『でも未来もハッカーの仕事忙しいでしょ?』

「しばらく休もうかなと思ってたんだ。株でも十分稼げるし。」

やっぱり未来は凄いな…。

未来の両親が最初の入院に入る頃からパソコンで株を始め両親の入院費を稼ぐような子で、2人が亡くなった日も泣く事は無かった。

私と父は心配していたがそんな私と父をよそに未来は言った。

《泣きたくてもなんか泣けないんだ。だから私が泣けたら報告するか慰めて。》

それから何も言わないって事はまだ泣けてないんだろうな…。

『そろそろ淏さん帰って来るから、私も帰らないと。』

「なんか…まるで夫婦みたい。」

なんか照れるなぁ。

『もう!冷やかさないでよ。』

「へーまぁいいや。じゃ連絡待ってる。」

『うん。今日は本当にありがとう。』

私は帰る事にした。

その帰り道、私は淏さんにメールした。

“お疲れ様です。帰ったら話したい事があります。”

このメールを送り、私は決断した。



  淏さんの帰って来たのは9時過ぎだった。

『おかえりなさい。』

「ただいま。話しって何?」

『はい。実は言いたいことと相談があって。まずは言いたい事なんですけど、私この家を出ます。』

「え?なんで?」

『花束の件は少し怖いけど、私にはいとこがいてね?その子はホテル暮らしをしていてその子の所にお世話になって、大学も少しの間休みたいと思ってます。』

「…分かった。でも大学の件はもう少し考えたら?」

『でも碧の事をもっときちんと調べたいんです。そのいとこは有名なハッカーで碧の事件操作も協力してくれると言ってくれてます。』

「ハッカーか…。」

淏さん納得出来てないな。

でもこのまま話してみるしかない。

『相談なんだけど私のいとこの未来ちゃんには碧のパソコンも調べてもらいたいんです。淏さんが良ければですけど。』

淏さんは少し考え、私の目を真っ直ぐに見て言った。

「家を出ることも、大学の件も、咲乃が考えて決めた事だから俺からは何も言えない。止めることもしない。」

『はい。』

「碧のパソコンの件は未来ちゃんに会って見ない事には決められない。しかも容疑者が変わったこともあってもう一度パソコンも押収されるかもしれないんだ。」

『そうなんだ。』

「押収される前に調べてもらい、その後届けることは可能なんだ。」

『じゃ!いいんですか?』

「明日出勤する前に会えるのなら。」

『ありがとうございます。聞いてみます。』

私は未来ちゃんにメールした。

“明日の朝淏さんとそっち行ってもいい?”

“うん。”

返事早いな。

そういえば未来ちゃん目の下にクマがあったんだ。

ちゃんと寝てるのかな?

『明日会えるそうです。』

「うん。」

『淏さんありがとう。』

「一緒に暮らす事に不安を感じた?」

淏さんは少し落ち込んでそうに見えた。

『私は碧の捜査を続けているうちに淏さんを好きになりました。でも碧の捜査は進まないまま私は今日未来ちゃんに頼りました。未来ちゃんは私がしたい事なら協力してくれると言ったんです。それを聞いていたら私は何やってるんだろうって…だから私未来ちゃんとやって見ようかと思いまして。未来ちゃんこの捜査の為に自分の仕事も休んでくれるみたいで。きっと私達の事気にかけてくれてるんだと思います。』

「俺の事も?」

『あの子は幼頃に両親を一度に亡くして、残された人達の気持ちが分かるんです。』

「そうなのか…」

『きっと私達の様に亡くなった両親の為に出来る事を探したと思います。でも幼かった彼女は今もまだ見つからないんだと思います。』

「…そうか。そういう時似た者同士が側にいればもっと楽かもしれないな。俺たちの様に一緒に探せる相手。」

『そうですね。私は淏さんに出会い、好きになって凄く救われました。』

「いつか見つかるといいな。」

『はい。』

そして私達は短い同棲最後の夜は強く抱き合って眠りについた。


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