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絵を描くなんてストレス発散でしかない
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ガラガラガラ
雪の降る小さな町にぽつんと佇む家、そして足早にそこに入っていく青年が1人……
「……ただいま」
「あら、おかえりなさい。お外、寒かったでしょ?」
母親と思える人物は、玄関の灯りがついたことに気がついたのか、外から帰ってきた青年「徠(らい)」に駆け寄りマフラーやコートを脱がせるのを手伝った。
徠が靴を脱いで奥へ進むと、父親と思われる人物がリビングの椅子に座りちょうど夜食を食べているところだった。
徠は母との会話を手短に済ませ、父親とは目線すらも合わせることなく着ていた厚手の上着をハンガーにかけ、素早く2階に続く階段を登って行った。
まるで逃げるかのように去っていった徠の後ろ姿を眺めていた父と母は……
「徠が外に出るだなんて珍しいな、何か買い物でもお願いしたのか?」
「いいえ、私は何も。でもあの子なにか腕を庇っていなかったかしら……?」
「そうか?俺には普通に見えたけどなぁ……」
2人はもう既に部屋に入ったであろう徠の心配をしつつも
「母さん、ちょっとそこにある飲み物をとってくれ」「はいはい」
と、いつもの様子だった。
一方徠は部屋に着くと勢いよく扉を閉め、長袖1枚に長ズボン。
今は冬だというのになかなかな薄着の格好になってベッドの上に転がり込んだ。
「…………」
だが、とくにこれといってすることも無い徠はベッドの上でゴロゴロしては起き上がりゴロゴロしては起き上がりを繰り返していたが、途端に何かを思いついたのだろうか、机の方にある椅子にドカッと腰を下ろした。
「紙に、ペンと……あと、消しゴム」
何かの準備をしているのだろうか、机のあちらこちらから道具を手馴れた手つきで取りだしていた。
紙はそこらへんの裏紙、ペンは小学生の頃に買ってもらったヒーロー系の鉛筆、なぜ今もそれを持っているのか本人にも検討もつかないが、消しゴムもそれとお揃いのやつだ。
机の周りにはいろんなヒーロー系のポスターや壁紙、絵が部屋のそこらじゅうに飾ってある。部屋を見るだけでヒーローが好きなことは一目瞭然だ。
だが、なぜ18になった今でも昔のヒーローのポスターを剥がすことなく貼っているのか、それは徠にも分からなかった。
徠は不意に視線をそれらに移したが、すぐに紙に視線を戻した。
「今日は何描こうか……んー………」
(気分的に……)
サラサラサラと紙に何かを描き始めた徠は黙々と絵を仕上げていった。
「今日は、……辛かった、、?いや、そんなことよりも……やっぱりアイツらが………」
(憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い)
とてつもなく憎たらしい。
ガリッガリッガリッグシャッ
部屋には鉛筆の芯が紙に擦れる音、徠のため息、そしてどこかから聞こえる掠れたような風の音が響いていた………
それからおよそ二時間後、、
「……できた」
紙に描き上がったのは
黒髪
いかにも悪い人間です
とでも言うのかのような顔、
ボリューミーなファー付きの厚手の服を着て中指をこちらにむけて立てている青年が描かれていた。
かといって
別にゲス顔とかそーゆう顔でもなく、
ある意味笑顔をこちらに向けている絵といっても過言ではない。
ヒーロー系の物語での立場なら、きっと悪役や、主人公のライバルとなるようなキャラだ。
あるいは、ダークヒーローという立場もあるのだろうか。
「………かっこいい…」
徠はそんなキャラが大好きだった。
正義のヒーローなんかより、自分の決めた信念を曲げずに貫き通す悪役キャラやライバルが大好きだった。
徠が部屋に沢山貼り付けてあるポスターたちは全て悪役やライバルキャラである
「正義の味方だ!!」
といったヒーローのような言動は何ひとつとしてない。
徠は家族の前では一切表情を変えなかったが、その絵を見ると頬を赤らめ微笑みに変わった。
それぐらい大好きということなんだろう。
下書きが上手くいってノリノリになった徠はその気分のうちにペン入れもしてしまおうと思ったのだろうか
昨日たまたま両親が「海外の人からもらったペンだぞー!」と言って徠にくれた血とよく似た赤色のペンを使ってペン入れをし始めた。
描いている最中でもこれはいい色だと言わずにはいれないほどこのペンは(自分的に)発色が良かった。
徠はすぐにそのペンに愛着が湧いた。
「まずは手だよな……!」
そう、目や髪から描くよりも手から描いていくのが彼流のやり方なのだ。
「🎶」
カリカリカリ
ピクッ
「ん?」
グニャグニャグニャッッ
何かがおかしい。
「な、なんだ!?」
突然紙が宙に浮き、ひとりでにぐにゃりぐにゃりと曲がりはじめた。
まるで目には見えない誰かにぐちゃぐちゃにされているかのようだった。
「待て!!!その紙をぐちゃぐちゃにするな!!それは俺の、最高傑作なんだからな!!!」
怪奇現象に驚いていた徠だったが、すぐに我に返り怒った様子で紙を引き延ばそうと手を伸ばした時……
パシッ
「え?」
「へぇ、この俺があんたの最高傑作だって?」
急に紙から立体的になったモノクロの手だけが徠に向かって飛び出してきた。
グイッ
「ッ!?」
「あんた今、そう言ったろ?」
さらに青年は、
「でもあんた本当にそう思ってんのか??」
徠に脅しをかけてきた。
雪の降る小さな町にぽつんと佇む家、そして足早にそこに入っていく青年が1人……
「……ただいま」
「あら、おかえりなさい。お外、寒かったでしょ?」
母親と思える人物は、玄関の灯りがついたことに気がついたのか、外から帰ってきた青年「徠(らい)」に駆け寄りマフラーやコートを脱がせるのを手伝った。
徠が靴を脱いで奥へ進むと、父親と思われる人物がリビングの椅子に座りちょうど夜食を食べているところだった。
徠は母との会話を手短に済ませ、父親とは目線すらも合わせることなく着ていた厚手の上着をハンガーにかけ、素早く2階に続く階段を登って行った。
まるで逃げるかのように去っていった徠の後ろ姿を眺めていた父と母は……
「徠が外に出るだなんて珍しいな、何か買い物でもお願いしたのか?」
「いいえ、私は何も。でもあの子なにか腕を庇っていなかったかしら……?」
「そうか?俺には普通に見えたけどなぁ……」
2人はもう既に部屋に入ったであろう徠の心配をしつつも
「母さん、ちょっとそこにある飲み物をとってくれ」「はいはい」
と、いつもの様子だった。
一方徠は部屋に着くと勢いよく扉を閉め、長袖1枚に長ズボン。
今は冬だというのになかなかな薄着の格好になってベッドの上に転がり込んだ。
「…………」
だが、とくにこれといってすることも無い徠はベッドの上でゴロゴロしては起き上がりゴロゴロしては起き上がりを繰り返していたが、途端に何かを思いついたのだろうか、机の方にある椅子にドカッと腰を下ろした。
「紙に、ペンと……あと、消しゴム」
何かの準備をしているのだろうか、机のあちらこちらから道具を手馴れた手つきで取りだしていた。
紙はそこらへんの裏紙、ペンは小学生の頃に買ってもらったヒーロー系の鉛筆、なぜ今もそれを持っているのか本人にも検討もつかないが、消しゴムもそれとお揃いのやつだ。
机の周りにはいろんなヒーロー系のポスターや壁紙、絵が部屋のそこらじゅうに飾ってある。部屋を見るだけでヒーローが好きなことは一目瞭然だ。
だが、なぜ18になった今でも昔のヒーローのポスターを剥がすことなく貼っているのか、それは徠にも分からなかった。
徠は不意に視線をそれらに移したが、すぐに紙に視線を戻した。
「今日は何描こうか……んー………」
(気分的に……)
サラサラサラと紙に何かを描き始めた徠は黙々と絵を仕上げていった。
「今日は、……辛かった、、?いや、そんなことよりも……やっぱりアイツらが………」
(憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い)
とてつもなく憎たらしい。
ガリッガリッガリッグシャッ
部屋には鉛筆の芯が紙に擦れる音、徠のため息、そしてどこかから聞こえる掠れたような風の音が響いていた………
それからおよそ二時間後、、
「……できた」
紙に描き上がったのは
黒髪
いかにも悪い人間です
とでも言うのかのような顔、
ボリューミーなファー付きの厚手の服を着て中指をこちらにむけて立てている青年が描かれていた。
かといって
別にゲス顔とかそーゆう顔でもなく、
ある意味笑顔をこちらに向けている絵といっても過言ではない。
ヒーロー系の物語での立場なら、きっと悪役や、主人公のライバルとなるようなキャラだ。
あるいは、ダークヒーローという立場もあるのだろうか。
「………かっこいい…」
徠はそんなキャラが大好きだった。
正義のヒーローなんかより、自分の決めた信念を曲げずに貫き通す悪役キャラやライバルが大好きだった。
徠が部屋に沢山貼り付けてあるポスターたちは全て悪役やライバルキャラである
「正義の味方だ!!」
といったヒーローのような言動は何ひとつとしてない。
徠は家族の前では一切表情を変えなかったが、その絵を見ると頬を赤らめ微笑みに変わった。
それぐらい大好きということなんだろう。
下書きが上手くいってノリノリになった徠はその気分のうちにペン入れもしてしまおうと思ったのだろうか
昨日たまたま両親が「海外の人からもらったペンだぞー!」と言って徠にくれた血とよく似た赤色のペンを使ってペン入れをし始めた。
描いている最中でもこれはいい色だと言わずにはいれないほどこのペンは(自分的に)発色が良かった。
徠はすぐにそのペンに愛着が湧いた。
「まずは手だよな……!」
そう、目や髪から描くよりも手から描いていくのが彼流のやり方なのだ。
「🎶」
カリカリカリ
ピクッ
「ん?」
グニャグニャグニャッッ
何かがおかしい。
「な、なんだ!?」
突然紙が宙に浮き、ひとりでにぐにゃりぐにゃりと曲がりはじめた。
まるで目には見えない誰かにぐちゃぐちゃにされているかのようだった。
「待て!!!その紙をぐちゃぐちゃにするな!!それは俺の、最高傑作なんだからな!!!」
怪奇現象に驚いていた徠だったが、すぐに我に返り怒った様子で紙を引き延ばそうと手を伸ばした時……
パシッ
「え?」
「へぇ、この俺があんたの最高傑作だって?」
急に紙から立体的になったモノクロの手だけが徠に向かって飛び出してきた。
グイッ
「ッ!?」
「あんた今、そう言ったろ?」
さらに青年は、
「でもあんた本当にそう思ってんのか??」
徠に脅しをかけてきた。
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