World’s end guard

食害

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蠱毒

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蠱毒とは
それ即ち、呪いである

100種の虫を集め
互いに互いを食らわせ
最後の1匹が

呪いの種となる

__________________

「蠱毒実験?」

ふわりと振り返った赤髪の少年はギョッとした顔をしながら彼を見た

「はい。それにどうやら俺も参加させられるそうです。」

彼は表情何一つ変えることなくそう答えた

「でも、47番は非戦闘員でしょ、?戦闘できるような力は持っていなかったから僕のお世話係になったんじゃんか」

「しかし、1~100の中に俺は含まれてしまっています。」

「うぅー、、」

赤髪の少年は項垂れた

「ところで、フレイ様はその様子を生で見るそうですが」

「え、そんなの聞いてないよ」

「今言いました」

「確かに」

フレイと呼ばれた少年は座っていた椅子から立って彼を抱きしめた

「僕は、47番がいなくなったら悲しいよ、、」

「では、フレイ様が悲しまないよう生き残ってみましょう」

「え、そんなこと出来るの」

「どうにかします頭で」

「頭で」

フレイはふふっと笑うと「じゃあ僕は応援してるね」とだけ言い残し彼から離れ部屋を出ていった

蠱毒実験

強化ガラスでできた空間に「100人のファヴィエ」を入れ互いに殺し合いをさせ、最後の一人がクローン級になれるだろうという計算結果を演算機械が叩き出したのだ

クローン級とは
人形族の中で最高の強さを持つ位の人形のことである。
一番下はアンドロイド
真ん中はバイオロイド
そして1番上がクローンだ

現時点でクローン級は1人しかおらず
この実験で科学者たちは2人目を作る予定だ

フレイは部屋全体が見渡せる特等席に座った

彼の表情は憂鬱だった

それもそうだ
自分の記憶がある時からずっと共に居た"人形"が今日死ぬのだ

別に彼は未来を見ている訳では無い
ただ、非戦闘員の彼が、戦闘員たちに勝てるわけが無いのだ
経験値も力量も不足している

勝てるはずがない

蠱毒実験が始まって2時間はたった

70人くらいは死んだだろうか

至る所に同じ見た目の人形がゴロゴロと転がっている

だがどの人形も表情だけは同じなのだ

みーんな、無表情で死んだ

彼はそんなの見たくもなかったが、
必死に"自分のお気に入りの人形"を探した

「……いた、!」

生きていた

彼は生きていたのだ

ボロボロだが周りと比べると断然やられてなどいない

頭を使うとはこういう事だったのかと学ばされた

安堵をしたのもつかの間、後ろで見ていた科学者達から絶望とも言えるような言葉が聞こえた

「時間が経ちすぎている、これではクローン級は無理だ、!」

「確かにそうだな、同じレベルすぎてこのままでは何も成果が得られない」

「どうする!!手ぶらでは帰れないぞ!!!」

「そうだ、毒ガスを入れるのはどうだろうか」

「そうか、毒ガスに耐えれる人形が出てくれば、それを量産して、!!」

「「「またやればいい」」」

あぁ、本当に人間は、屑だ

彼らは毒ガスをまいた

人間なら即死であろうその濃度

仮初の体をもつ人形が耐えれるはずもなく次々と倒れていった

フレイのお気に入りの人形は毒ガスに準備に反応し、周りを避けながら遠く離れた

死んだ人数の集計をとるカウントが98になった

残り二人生きている

フレイは我慢大会かな、と予測した

だが、科学者達はこの蠱毒実験を辞めたと宣言した

つまり、ひとりとして生き残らせるわけにはいかない

フレイはどうにかして彼を救い出す方法を考えていた

「フレイ様、つまらないものを見せてしまい大変申し訳ありません。ささ、お部屋に戻られましょう」

「いらない、僕はこの結末を最後まで見届ける」

「しかし、、」

「僕の言うことが聞けないの?」

フレイが圧をかけると科学者たちは直ぐに平伏し、

「大変申し訳ございません!!!!」

と、静かになった

フレイは静かになった科学者達から目線を強化ガラスに向けた時、血まみれになって今にも死にそうな47番が強化ガラス越しに立っていた

「47番、!!!」
フレイは椅子から立ち上がり彼の元に擦り寄った

47番は苦しそうにしながら口を開いた

「愛  し   て   ま   し   た」

「え、?」

ザシュッッッ

彼が口パクでそう伝えた瞬間フレイの目の前で首が飛んだ

強化ガラスにはベッタリと血がこびりつき
何が起こったのかフレイには分からなかった

すると突然強化ガラスにヒビが入った

ドンドンドンと激しくガラスを叩く音がする

フレイは突然のことに驚き腰が引けてしまった

強化ガラスを叩いているのは蠱毒の生き残り

毒ガスにも耐え抜き、大量虐殺をした人形

番号は75番
目が紫色になってしまっているファヴィエだった

ファヴィエの目は桃色のはずだが
何故か75番は紫だった

いやこれは突然変異で起こったのかもしれない

科学者たちは歓喜した
突然変異種が出来たと
これで、クローン級に1歩近ずけたと

75番はそんな科学者たちが尺に触ったのか強化ガラスをぶち破り科学者たちを肉の塊にした

フレイは殺そうとしてくる75番から必死に逃げた

だが、フレイにも戦闘経験はほとんどなかったのだ

「殺される」そう覚悟した時突然75番が吹き飛んだ

蹴り飛ばしたのはクローンさんだった

唯一のクローン級
人間が嫌いで人形を愛していると聞いている

「………」

今の一撃で事切れたのか75番は動くことは無かった

__________________

「死にたくない」

自分と同じ顔をした自分が沢山死んでいる

〇したくもないのに向かってくる
だから〇すしかない

何度同じことを繰り返したか

自害をしようにも頭がその命令はされていないと拒む

そんなふうに戸惑っていた時、後ろから来た自分に気が付かなかった

グサリ

腹に刺さったのは自分と同じ剣

だが俺はそいつを弾き飛ばして剣を体から抜いた

「痛い」「死にたくない」「苦しい」「辛い」「死にたくない」

そんな思考が頭をぐるぐると回る

ガチャリ
ブォォン

これは、

毒ガスがまかれ始めた音だ

「そうか、科学者たちは蠱毒実験が、失敗したと、、」

さっき刺さった剣が肺をかすったのだろう息が上手くできない上に毒ガスが胎内に入った

苦しくてしんどくて死にたくなくて

願った

「人形のくせに死にたくないのか」

そんな声がふと聞こえた

幻聴かと疑ったが、もう何も考えたくもなかった

「お前の器は頑丈そうだな、どうだ、俺を受け入れると言うならお前を助けよう」

「お前は俺を受け入れる器として居ればいい何も難しいことは無い」

「俺を受け入れろ、そうすれば死ぬことは無い」

その言葉は何故かストンと心の中に落ちた(人形に心があるのかは知らないが)

「器よ、名は?」

「75番 ファヴィエ」

蠱毒は完成した
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