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第7章 私はただ自由に空が飛びたいだけなのに
31 相談①
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私には南部辺境伯を責めるつもりはなかった。
南部辺境伯を傷つける意図も苦しめる意思も痛め付けたいという望みもなかった。
それなのに、結果的に自分のせいで南部辺境伯を傷つけて落ち込ませることになってしまった。
私は南部辺境伯に敵意も悪意も害意も抱いていない。
ただ私はジュリアーナの味方なだけ。
だから、ジュリアーナの側に立って南部辺境伯と言葉を交わしてしまい、つい言い過ぎてしまった。
もう少し冷静に客観的に中立的な立場で話をするべきだったが、もう遅い。
私の言葉は南部辺境伯に突き刺さって南部辺境伯に多大なるダメージを与えてしまっている。
私と南部辺境伯の間に完全なる沈黙が落ちた。
とても気まずい。
私は何とかしなければと必死に考えるが言葉が何も口から出てこない。
万事休す。
そう思った時に丁度よくライラが大急ぎで用意していたお茶を持ってきてくれた。
これぞ正に天の助け。
メイドが給仕中の間は会話をしていなくても何も問題ない。
ライラは商会から常に研究用に支給されている最高級のバームの豆を挽いて出来立てのバームを淹れてくれてきた。
まだバームはそこまで世間には浸透していないので、普通なら来客には紅茶を出すのが一般的だが、この研究室には南部辺境伯のような相手に出せる程に高品質な紅茶の葉は置いていない。
訪問を予め知っていれば相手の好みを事前に調べて相手の好みに合わせた紅茶の葉や茶菓子を用意しておくが、今回は突然の急な訪問によりそんな事前準備は出来なかった。
ライラは苦肉の策として最高級のバームを出したのだろう。
バームに合わせて、昨日私とライラがバームに合うお菓子の試作品として作ったクッキーを出している。
お菓子なんて貴族の屋敷でもないので都合良く常に用意なんてされていない。
昨日素人が作った手作りクッキーだが、それでもあって良かった。
南部辺境伯は事前に「お構い無く」と言ってくれているので、二級品の茶葉の紅茶や茶菓子が無くても礼儀がなっていないと怒ったりはしなかっただろうが、やはりお客様を歓迎しているという最低限の体裁を整えるのは大切だ。
気まずい沈黙の空間に芳しいバームの香りと甘いクッキーの匂いが漂い空気を和ませてくれる。
私はライラが用意してくれたバームにいつも通りに砂糖を2杯とミルクを入れてスプーンで軽くかき混ぜ、作法通りお客である南部辺境伯よりも先に口をつける。
やはりライラが淹れてくれたバームは美味しい。
前世の彼女はプロのバリスタが淹れてくれた珈琲を飲んだ経験は無かったので前世のプロの味と比べることはできないが、この世界では確実にプロのバリスタになれる腕前だと思う。
クッキーも手で1枚摘まんで一口頬張る。
苦いバームに合わせて砂糖を多目に使っているが、アーモンドプードルのような木の実を擂り潰した粉で作っているのでサクサクとしたとても軽い歯応えで口の中でホロリと溶ける食べやすいクッキーになっている。
見た目は少し茶色くて形も綺麗に整った丸型ではないが、味はお店のものと比べても遜色無い出来だ。
バームとクッキーのおかげで南部辺境伯へ話しかける口実ができた。
「南部辺境伯もバームをどうぞ。南部辺境伯はこれまでバームをお飲みになったことはございますか?少し苦いのでお好みで砂糖とミルクをお入れになってください」
「……ああ、頂こう。大丈夫だ、儂は何度かバームを飲んでいる。何も入れる必要はない」
そう言って南部辺境伯は何も入れずにバームに口をつけた。
何も入れないブラックのバームを好むのはジュリアーナと同じだ。
南部辺境伯はゆっくりと味わうようにバームを飲み、クッキーもサクサクと音を立てながら食べた。
クッキーを摘まむ手は止まることはなく、あっという間にお皿の上のクッキーは消えてしまう。
ライラは急いでお代わりを持ってきてくれた。
南部辺境伯は以外に甘いものがお好きなようだ。
南部辺境伯がバームとクッキーを味わっているこの短い時間に私は頭をフル回転させて何とか状況打開の糸口を探さなければならない。
私は心情的にジュリアーナの味方だから、どうしても思考や行動がジュリアーナ贔屓になってしまう。
しかし、私は南部辺境伯を責めたいわけではない。南部辺境伯を傷つけたり苦しめたくもない。南部辺境伯に嫌われたり、疎まれたくもない。
私は南部辺境伯に喧嘩を売りたいわけでも、南部辺境伯の敵にもなりたくはない。
できるなら南部辺境伯とは良好な関係を築いていきたいと思っている。
だから、中立的な立場で客観的な意見を述べるように努力しなければならない。
取り敢えず、まず考えるべきことは南部辺境伯の目的だ。
いったいどんな意図があって私に自分のことをどう思うのかという質問をしてきたのか。
私の気持ちを知るため?
それは既に話しているから南部辺境伯はもう知っている。わざわざもう一度改まって聞く必要は無い。
それなら、なぜ私が南部辺境伯のことを恨んでも憎んでも嫌ってもいないことを知っていながらわざわざ質問してきたのか?
私のことを疑っていて、本当は私が南部辺境伯を恨んで憎んで嫌っているのではないかと考えてその確認をするためか?
しかし、質問された時そのように疑っているような感じはなかった。
南部辺境伯はジュリアーナと私を比べていた。
自分がやったことで私には感謝され、ジュリアーナからは恨まれたと嘆いていた。
だからきっと、本題は私ではなくジュリアーナに違いない。
私への質問は本題の前の導入部分に過ぎなかったのだろう。
南部辺境伯が本当に私に聞きたかったことはジュリアーナのことだ。
ジュリアーナが自分を恨み、憎み、嫌っていて、ジュリアーナはそれを隠そうともせずに露骨にそれを態度に出している。
そのことに南部辺境伯は傷つき苦しみ悩んでいる。
南部辺境伯はジュリアーナに関して私に相談がしたかったのかもしれない。
ジュリアーナとの関係改善策についての相談が本題だろう。
それなのに私はその本題に行く前に南部辺境伯を突き放してしまった。
恨まれて憎まれて嫌われていて当然だとジュリアーナの肩を持ってしまった。
ジュリアーナの態度を全肯定してしまった。
これでは南部辺境伯は本題を切り出せない。
本題である相談を切り出せるはずがない。
意を決して悩み相談をしたのに、その相談相手に「あなたが悪い」と責められるのは誰だって避けたい。
そんな相手に悩み相談なんか出来る筈がない。
しかし、なぜ南部辺境伯は私なんかに相談しようとしたのだろうか?
私がジュリアーナの南部辺境伯への態度を目の当たりにしたから?
ジュリアーナも普段は他人の前では南部辺境伯への感情は隠して平静を装っているのだろう。
あのようなジュリアーナの姿を知る人間は多くはないはずだ。
それでも南部辺境伯という人間が養子にしたばかりの成人前の小娘に自分の悩みを相談する理由にはならない。
相談相手が私でなければならない理由は何だろう?
それは相談内容のジュリアーナとの関係性を重視したからだろう。
私とジュリアーナの関係は親子の関係に近く、信頼関係もあり、相思相愛の親しい関係だ。
そんな私だからこそジュリアーナのことで相談しようというなら、それはジュリアーナとの間を取り持ってくれるという期待があるからに違いない。
南部辺境伯はジュリアーナと仲直りがしたい、関係改善を図りたい、許されたいと考えている。
そのために私の協力を取り付けたい。
だから、私に悩み相談をして同情を買い、私からジュリアーナに執り成しをしてもらおうと企んだ。
これは完全に私の予想だが、それ程外れてはいないだろう。
まずはこの予想がどれだけ当たっているかの確認をしなければならない。
本題に入るのはそれからだ。
私はこれからの行動指針を決定して、南部辺境伯の様子を伺った。
バームを味わって飲んでいる南部辺境伯の目尻がほんの少し垂れ下がっている。
その目元はバームを飲むジュリアーナと同じだ。
私はその姿を見て、ジュリアーナの気持ち次第だが、2人が仲良くバームを飲んでこの表情を浮かべる姿が見たいと思った。
南部辺境伯を傷つける意図も苦しめる意思も痛め付けたいという望みもなかった。
それなのに、結果的に自分のせいで南部辺境伯を傷つけて落ち込ませることになってしまった。
私は南部辺境伯に敵意も悪意も害意も抱いていない。
ただ私はジュリアーナの味方なだけ。
だから、ジュリアーナの側に立って南部辺境伯と言葉を交わしてしまい、つい言い過ぎてしまった。
もう少し冷静に客観的に中立的な立場で話をするべきだったが、もう遅い。
私の言葉は南部辺境伯に突き刺さって南部辺境伯に多大なるダメージを与えてしまっている。
私と南部辺境伯の間に完全なる沈黙が落ちた。
とても気まずい。
私は何とかしなければと必死に考えるが言葉が何も口から出てこない。
万事休す。
そう思った時に丁度よくライラが大急ぎで用意していたお茶を持ってきてくれた。
これぞ正に天の助け。
メイドが給仕中の間は会話をしていなくても何も問題ない。
ライラは商会から常に研究用に支給されている最高級のバームの豆を挽いて出来立てのバームを淹れてくれてきた。
まだバームはそこまで世間には浸透していないので、普通なら来客には紅茶を出すのが一般的だが、この研究室には南部辺境伯のような相手に出せる程に高品質な紅茶の葉は置いていない。
訪問を予め知っていれば相手の好みを事前に調べて相手の好みに合わせた紅茶の葉や茶菓子を用意しておくが、今回は突然の急な訪問によりそんな事前準備は出来なかった。
ライラは苦肉の策として最高級のバームを出したのだろう。
バームに合わせて、昨日私とライラがバームに合うお菓子の試作品として作ったクッキーを出している。
お菓子なんて貴族の屋敷でもないので都合良く常に用意なんてされていない。
昨日素人が作った手作りクッキーだが、それでもあって良かった。
南部辺境伯は事前に「お構い無く」と言ってくれているので、二級品の茶葉の紅茶や茶菓子が無くても礼儀がなっていないと怒ったりはしなかっただろうが、やはりお客様を歓迎しているという最低限の体裁を整えるのは大切だ。
気まずい沈黙の空間に芳しいバームの香りと甘いクッキーの匂いが漂い空気を和ませてくれる。
私はライラが用意してくれたバームにいつも通りに砂糖を2杯とミルクを入れてスプーンで軽くかき混ぜ、作法通りお客である南部辺境伯よりも先に口をつける。
やはりライラが淹れてくれたバームは美味しい。
前世の彼女はプロのバリスタが淹れてくれた珈琲を飲んだ経験は無かったので前世のプロの味と比べることはできないが、この世界では確実にプロのバリスタになれる腕前だと思う。
クッキーも手で1枚摘まんで一口頬張る。
苦いバームに合わせて砂糖を多目に使っているが、アーモンドプードルのような木の実を擂り潰した粉で作っているのでサクサクとしたとても軽い歯応えで口の中でホロリと溶ける食べやすいクッキーになっている。
見た目は少し茶色くて形も綺麗に整った丸型ではないが、味はお店のものと比べても遜色無い出来だ。
バームとクッキーのおかげで南部辺境伯へ話しかける口実ができた。
「南部辺境伯もバームをどうぞ。南部辺境伯はこれまでバームをお飲みになったことはございますか?少し苦いのでお好みで砂糖とミルクをお入れになってください」
「……ああ、頂こう。大丈夫だ、儂は何度かバームを飲んでいる。何も入れる必要はない」
そう言って南部辺境伯は何も入れずにバームに口をつけた。
何も入れないブラックのバームを好むのはジュリアーナと同じだ。
南部辺境伯はゆっくりと味わうようにバームを飲み、クッキーもサクサクと音を立てながら食べた。
クッキーを摘まむ手は止まることはなく、あっという間にお皿の上のクッキーは消えてしまう。
ライラは急いでお代わりを持ってきてくれた。
南部辺境伯は以外に甘いものがお好きなようだ。
南部辺境伯がバームとクッキーを味わっているこの短い時間に私は頭をフル回転させて何とか状況打開の糸口を探さなければならない。
私は心情的にジュリアーナの味方だから、どうしても思考や行動がジュリアーナ贔屓になってしまう。
しかし、私は南部辺境伯を責めたいわけではない。南部辺境伯を傷つけたり苦しめたくもない。南部辺境伯に嫌われたり、疎まれたくもない。
私は南部辺境伯に喧嘩を売りたいわけでも、南部辺境伯の敵にもなりたくはない。
できるなら南部辺境伯とは良好な関係を築いていきたいと思っている。
だから、中立的な立場で客観的な意見を述べるように努力しなければならない。
取り敢えず、まず考えるべきことは南部辺境伯の目的だ。
いったいどんな意図があって私に自分のことをどう思うのかという質問をしてきたのか。
私の気持ちを知るため?
それは既に話しているから南部辺境伯はもう知っている。わざわざもう一度改まって聞く必要は無い。
それなら、なぜ私が南部辺境伯のことを恨んでも憎んでも嫌ってもいないことを知っていながらわざわざ質問してきたのか?
私のことを疑っていて、本当は私が南部辺境伯を恨んで憎んで嫌っているのではないかと考えてその確認をするためか?
しかし、質問された時そのように疑っているような感じはなかった。
南部辺境伯はジュリアーナと私を比べていた。
自分がやったことで私には感謝され、ジュリアーナからは恨まれたと嘆いていた。
だからきっと、本題は私ではなくジュリアーナに違いない。
私への質問は本題の前の導入部分に過ぎなかったのだろう。
南部辺境伯が本当に私に聞きたかったことはジュリアーナのことだ。
ジュリアーナが自分を恨み、憎み、嫌っていて、ジュリアーナはそれを隠そうともせずに露骨にそれを態度に出している。
そのことに南部辺境伯は傷つき苦しみ悩んでいる。
南部辺境伯はジュリアーナに関して私に相談がしたかったのかもしれない。
ジュリアーナとの関係改善策についての相談が本題だろう。
それなのに私はその本題に行く前に南部辺境伯を突き放してしまった。
恨まれて憎まれて嫌われていて当然だとジュリアーナの肩を持ってしまった。
ジュリアーナの態度を全肯定してしまった。
これでは南部辺境伯は本題を切り出せない。
本題である相談を切り出せるはずがない。
意を決して悩み相談をしたのに、その相談相手に「あなたが悪い」と責められるのは誰だって避けたい。
そんな相手に悩み相談なんか出来る筈がない。
しかし、なぜ南部辺境伯は私なんかに相談しようとしたのだろうか?
私がジュリアーナの南部辺境伯への態度を目の当たりにしたから?
ジュリアーナも普段は他人の前では南部辺境伯への感情は隠して平静を装っているのだろう。
あのようなジュリアーナの姿を知る人間は多くはないはずだ。
それでも南部辺境伯という人間が養子にしたばかりの成人前の小娘に自分の悩みを相談する理由にはならない。
相談相手が私でなければならない理由は何だろう?
それは相談内容のジュリアーナとの関係性を重視したからだろう。
私とジュリアーナの関係は親子の関係に近く、信頼関係もあり、相思相愛の親しい関係だ。
そんな私だからこそジュリアーナのことで相談しようというなら、それはジュリアーナとの間を取り持ってくれるという期待があるからに違いない。
南部辺境伯はジュリアーナと仲直りがしたい、関係改善を図りたい、許されたいと考えている。
そのために私の協力を取り付けたい。
だから、私に悩み相談をして同情を買い、私からジュリアーナに執り成しをしてもらおうと企んだ。
これは完全に私の予想だが、それ程外れてはいないだろう。
まずはこの予想がどれだけ当たっているかの確認をしなければならない。
本題に入るのはそれからだ。
私はこれからの行動指針を決定して、南部辺境伯の様子を伺った。
バームを味わって飲んでいる南部辺境伯の目尻がほんの少し垂れ下がっている。
その目元はバームを飲むジュリアーナと同じだ。
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