上 下
5 / 7
2024年5月18日 渋谷SONICA

リアルな待ち合わせ

しおりを挟む
交差点で待ち合わせをしよう
お互いの服装を確認して
気に入らなければ通り過ぎて
会わないままで、さよならをして

それぐらいの手軽さで
僕らは愛を探している

こんなに簡単にNoと言える
気付けばずっとNoと言ってる
1人になりたくないと思っていたのに
なぜだかずっと一人ぼっち

完璧さを求めるなら
1人よりも完璧な孤独はない
自分で自分を傷付けるなら
加減できるし、死にはしないさ
そんな風に思っていた
昨日の自分を悔やんでいた

何も知りもしないまま
右へ左へスライドした
写真か字面かそんな程度の
浅瀬に立って、腰が引けた

広大すぎる海原の
僕だけがいる砂浜に
たまたま迷い込んだ誰かが
運命の人だったらいいのに、なんて
都合が良すぎて申し訳がない

真っ暗闇の嵐の中
行き先を照らす灯りのように
揺るぎのない価値を見せることができたらいいのに

本当は僕にもあるのかもしれない
交差点ですれ違った時
思わず振り返ってしまうような何かを
待っているのかもしれないけど
それに気付けるほど聡くもなければ
誰も僕を見てはいないんだ

スマホの画面に吸い込まれてゆく
あの子もその子も、きっと僕も

いっそのこと、その手を引っ掴んで
ひと思いに振り下ろして
ただのガラクタになるまで
粉々にしてしまえたら
少しはこちらを見てくれるだろうか

光を失ったそれに同情しないで
僕がいることに気付いてほしくて

約束の距離まであと数m
会えたら嬉しい
会えたら嬉しいよ

なんとなくで構わないんだ
現実だって悪くない
悪いところ全部、受け入れる必要はないから
完璧さを捨てて、君らしさを見せてほしいんだ
現実だって悪くない
そう思うために会いに行くんだ
しおりを挟む

処理中です...