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23、アクセサリーづくり
しおりを挟む寺に戻ったタイミングで、薬草を取って戻ってきたゼンジさんと会った。
「おかえりなさい、美波浮者。どうでしたか?」
「うん……、浮の注力はちゃんとできたよ」
「それ、ユーファオーの枝ですね」
あ、このまま部屋にもっていったら、クランにみつかっちゃうな。
製作過程は見せないで、びっくりさせたい。
あ……、あと、浮の付与はしないっていったけど、ユーファオーの樹だと付与することになっちゃうのかも。
まあ、いっか。今のところこれしかないし。
「ゼンジさん。これ薬房に、薬房じゃだめか……。えっと、クランに見つからないところに隠してもらえない?」
「ああ、なにか作るといってましたね。わかりました」
ゼンジさんに枝を託して、部屋に戻った。
とはいっても、木の枝でなにができるんだろう。
かんざし屋で見たクランの花をつくることは決めているけど、木で上手にできるかな?
貝殻ならパーツをつなげればいいけど、木だと、パーツ作りからだよね……。
けっこう大変だなあ。
そうだ、シュトンさんのところに、植物図鑑を借りに行こう。
クランの木の場所もあらためてゼンジさんに教わらなきゃ。
あと、木を切ったり穴をあけたりする道具だよね。
マシンくんに相談したいけど、なんかすごく距離置かれちゃったし、今は無理そうだなあ。
ムラークくんは星座盤を手作りするくらいだから、器用だと思うんだけど、マシンくんを差し置いては声かけづらいなあ。
印帳になんとなくデザインらしいものを描き、すこしずつイメージができてきた。
部屋をゼンジさんが尋ねてきた。
「美波浮者。枝は工房に置いておきましたよ」
「工房?」
ゼンジさんの案内で、はじめて工房という部屋を訪ねた。
工房は、寺の修繕を始め、家具や食器などをつくるところらしい。
もちろん買ったりするものもあるそうだが、一からものをつくるということ自体が精神統一や技能修練、また流術の訓練の一環にもなるそうだ。
印帳と師筆も、ここで作られているという。
「あれっ、カーツさん」
「美波浮者、浮の注力、お疲れ様でございました」
「じゃあ、僕はここで」
ゼンジさんは薬房に呼ばれているからといって去っていった。
工房の奥ほどで、カーツさんが圧倒的な存在感を醸していた。
肩幅が他の僧侶より二倍くらい大きいのだから、空間占拠率がすごい。
そういえば、石の重しをつくっているっていってたっけ。
絵の具も手作りするっていってたし、ここは相談してみようかな。
「カーツさん、ちょっと相談に乗ってほしいんですが……」
「なにをつくろうとされておいでなのですか」
「クランには秘密にしておいてほしいんですけど、装飾品を贈りたいんです」
「クラン様に……」
明らかに表情が揺れた。
クランの名前を出すべきかどうか迷ったけれど、これから相談するというのに隠し事もないよね。
「それでどのようなものを」
「イメージはあるんですけど、どうやって形にしたらいいのかわからなくて」
わたしは印帳を開いて見せた。
クランの細い首に合いそうな透かし彫りの花。
首飾りとおそろいの耳飾り。
クランは穴をあけているので、ピアスの予定だ。
「ここの花をクランの花にしたいんです。耳飾りは、花に合わせて赤を基調にして」
「この工房にある材料でできると思います。切り出しに、穴明け、掘り出し、塗装に、艶だし、それから組立というところですね」
「最終的な大きさはこのくらいなんですけど、どのくらいに切り出せばいいですか?」
カーツさんは戸棚から手ごろなサイズの長方体の木片を取り出した。
「これなんかいかがですか?」
「じゃあ、この大きさで枝を切ります」
「えっ、待ってください。枝って、まさかユーファオーの枝ですか?」
「はい、今日森から持ってきました」
カーツさんは目をぱちぱちとさせている。
あ、この反応は、やっぱりなんかあるのかな。
「えーと、まずいですか?」
「い、いえ……。美波浮者のご意向とあらば。この絵で行くと、他の部分もユーファオーの枝から切り出しますか?」
「その辺はかなり小さいので、ここに合いそうなものがあればありがたいんですけど」
カーツさんが棚に置かれている小さな箱をいくつか持ってきてくれた。
箱の中にはビーズのように穴の開いた珠や、輪っか、細く切られた棒などが入っている。
「ちよっと大きな……。でももう一回り小さく削れば使えそうかも」
「これはどうですか?」
カーツさんは自分の道具箱の中にあったピンポン玉大の木の珠を取り出した。
それ、カーツさんの重しですよね……。
「大きいですね」
「あと五つあるのですが」
「大きいです」
「耳飾りにいかがですか」
「誰の? クランの? 耳がちぎれます!」
思わず強めに返してしまった。
なんなの急に!?
いきなり、圧出してきたですけど!
すごい、びっくりなんですけど!
てゆうか、はじめから大きいっていってますけど!
「すみません、つい大きい声を出してしまいました。大きさ的にクランには合わないので、小さい珠をつくりたいです」
「そうですか……」
なんだろう、そのちょっとしょげた顔はすごくイケメンなんだけど、やっぱり。
……残念でしょうがないです。
「でしたら、わたしの指では難しいので、若い手の小さな者にやらせたほうがいいですね。手先の器用なものに声をかけておきましょう」
「ありがとうございます。助かります」
そうだ、ビアンさんの意見も聞きたいな。
わたしの感覚で可愛い系のアクセサリーだと思っても、この国の人にとって魅力的に見えなくちゃいけないわけだし。
今夜手紙を書いて、この絵を添えてみよう。
「カーツさん、明日ビアンさんへのお手紙を持ってくるので、一緒に送っていただいてもいいですか? この首飾りと耳飾りについて、ビアンさんの意見も聞きたいので」
「そうですね……」
カーツさんの歯切れが悪かった。
あれ、ちょっと強くいいすぎちゃったかな……。
でも、クランのことを本気で口説こうと思うなら、もう少し感性を磨くべきだと思うよ。
ゼンジさんやマシンくんだったら、少なくとも耳たぶ破壊系ピアスを贈ろうという発想にはならないと思う。
翌日、わたしはビアンさん宛の手紙をもって、工房を訪ねた、
シュトンさんから借りた本と開き始めたクランの蕾を観察して、改めて書き直したデザインも載せてある。
「じゃあ、よろしくお願いします。あ、叔父さんの具合が悪いようだったら無理はいいません。ご家族のご看病を第一にしてくださいと書いてありますので」
「はい、お預かりいたします」
手紙を預けると、わたしは早速とりかかった。
「春の若木ですから、乾燥させてからのほうが良いのですが」
「そっか割れちゃったりするんですね?」
「しかし、不思議です。もうすっかり乾燥していますね。これなら問題なさそうです」
「わ、よかった」
「む、これは……?」
カーツさんが鋸で細い枝を落とした。
その小口を見て神妙な顔をしている。
「細枝の中が空洞化しています。これなら、このまま小さく切って穴の開いた数珠玉がつくれるのでは」
「えっ、ほんとですか!?」
「作業は指先の器用なものにやらせましょう。ムラークとマシンに声をかけてあります」
メインになる木材を切り出した。
首飾りのトップと、耳飾りのドロップ。
よーし、がんばるぞ!
「まず墨で下絵を書きます。六面に描いて下さい。耳飾りのほうは小さいので、前と後ろだけでいいでしょう」
「はいっ」
「残ったユーファオーの枝はどうしますか?」
「えーと、失敗した時のために一応取っておきます。無事完成したら、印帳や師筆をつくる材料にしてください」
「お心遣いありがとうございます」
「どういたしまして」
下絵が書けた。
透かし彫りのところはかなり細くなるから気を付けないと。
カーツさんが一そろいの道具を持ってきてくれた。
「わあ、彫刻刀。なんか、小学生の図工の時間を思い出します」
「使ったことがおありですか?」
「はい。じゃあ、さっそく」
「その前に、のみで荒彫りをしましょう。先に不要な角を取っておくといいと思います」
「あっ、そっか、立体になるんですもんね」
カーツさんに手ほどきしてもらいながら、作業は進む。
一刻ばかり経った頃、工房に小坊主さんたちがやってきた。
マシンくんとムラークくんもいる。
マシンくんはまだ緊張が解けていない顔をしていた。
「マシン、ムラーク、お前たちにはこの作業をやってもらいたい」
「えっ、ユーファオーの樹の加工を、僕たちにさせていただけるんですか?」
目を丸くしながらムラークくんはすぐさま席に着いたけれど、マシンくんはなかなかこちらに来ない。
そっか、まだ怖いんだね。
無理させたらかわいそうだよね。
「マシンくん、無理ならいいんだよ。わたしの個人的なものをつくっているだけだから、仕事じゃないし」
「い、いえ、大丈夫です……」
「いやいや、ほんとに。わたしだったら無理強いされるの辛いと思うから。マシンくんがやってもいいかな~って思えたときでいいの」
「だ、大丈夫です、僕やれます」
「う、うーん……。そんなしかめ面でやることじゃないっていうか……」
いうたびに、マシンくんの顔が強張っていく。
「えっとね、これは、わたしからクランに贈るものをつくってる。わたしには浮術は使えないけど、クランが喜んでくれたり、幸せになってくれたらいいなと思ってつくってるの。だから、もし手伝ってくれる気持ちがあるなら、クランのことを思って手を貸してほしい。浮者への恐怖とか、断れない義務とか、そういうふうに思うだけなら、これには触らないでほしい」
マシンくんの目が揺れる。
一方のムラークくんは、僕はやりますと元気に答えた。
あとで聞いたところによると、ユーファオーの樹の加工は、工房の中でも最年長者のアワ師父しか携われないらしい。
流術の扱いも格段にうまくなるといわれているらしく、工房作業についている僧侶たちにとっては垂涎のとても貴重な経験なのだそう。
「すみません。僕にはできません」
「うん、わかった。来てくれてありがとうね」
マシンくんが顔を伏せたまま出て行った。
ムラークくんは、こんな機会を棒に振るなんて、もったいないなあとつぶやく。
マシンくんから話は聞いているだろうけど、ムラークくんは実際に見ていないからその気持ちがわからないんだと思う。
わたしと同じだ。
見てないから、恐怖が肌ではわからない。
「じゃあムラークくん、よろしくね」
「はいっ」
制作を始めてから半月が経つ。
クランの花も散り、季節は春からすこしずつ移ろいでいる。
「そろそろビアンさんから返事が来てもいいころなんだけどなあ……。本格的に色を塗る前にビアンさんの意見が欲しかったんだけど……」
「叔父さんの具合が悪いそうですね。そんなに長引くなんて、大丈夫でしょうか」
ムラークくんは少年のなかでも繊細な指先の持ち主で、細かな木の加工でありながら、珠をつくるという単純作業は見なくてもできるという優れた手腕の持ち主だった。
わたしは彫りを終えて、今は表面をならしている。
カーツさんは絵の具の配合に試行錯誤してくれている。
「叔父さんのこと尊敬しているみたいだったし、きっとすごく心配してるんだろうな。下手な相談事なんてしない方が良かったかなあ」
「ビアンは、僧侶をやめるかもしれません」
「え?」
突然のカーツさんの言葉に、わたしとムラークくんはそろって顔を向けた。
「その、叔父さんとやらの仕事を継ぐことになるのではと思います」
「ああ、へえ……。そうなんですね、そっか……、家庭の事情でそういうこともありますよね」
それじゃあ、お世話になったのに、最後にお礼も言えないままになっちゃうのかな。
工房の戸口にクランがやってきた。
「美波浮者」
「あっ、クラン、ここには来ちゃだめっていったのに!」
「ごめんなさい! 見てません、見えてません」
「もう~っ」
わたしとムラークくんは慌てて作業を隠す。
「ゼンジがめずらしいお菓子をいただいてきたので、一緒にお茶しませんか?」
「いいね。ムラークくん、カーツさん、今日はここまでにしましょう」
わたしたちはそろって炊房へ向かった。
檀家のミックさんとパナンさん、ゼンジさんと薬房の小坊主さんが二人、そしてクランとわたしたちだ。
寺ではお茶というのは、誰もが同じタイミングでいただけるものではなく、その時その場にいるもの、呼ばれた者、押しかけたものが頂けることになっているらしい。
寺に甘味は少ないので、ご相伴に預かれた者はラッキーだ。
「美波浮者、これは寒天飴です。赤いのはスグリ、白いのは塩ですって」
「塩?」
広げた新聞紙から出てきたのは、七センチほど棒状の板をねじって乾燥させたて砂糖をまぶしたようなものだ。
日本なら、駄菓子屋さんか、あるいは半生菓子のコーナーにありそうな感じ。
食べてみると、なんかどこかで食べたことありそうな……、でもなさそうなかんじ。
あっ、羊羹のちょっと乾燥したやつみたいな?
うん、飴というよりは羊羹だね。
スグリの方は甘酸っぱい羊羹、塩の方はまさに塩羊羹みたいな味だった。
どうやら、トラントランのような内地では、砂糖、塩、特に寒天が豊富に手に入らないので、めずらしいお菓子なのだそうだ。
「ムラークくん食べないの?」
「あとはマシンに持って帰ります。この前、掃除当番を代わってもらったので」
「じゃあ、わたしのもあげるよ。十分頂いたから」
お菓子がみんなのおなかに納まったところで、新聞紙をもらった。
新聞といっても印刷技術があるわけではないらしく、手書きのかわら版をこうした包装に使いまわしているのだ。
ムラークくんに渡そうと手前に引き寄せたとき、はっとした。
――首都マロー、町の一角が灰と化す。
思わず目を見張った。
紙面の細かい文字を負うと、中央から払われた見舞金とその対象者が書かれていた。
心臓が、跳ねた。
浮者としてできることはしたつもりだけど、実際に亡くなった人の名前を突きつけられるのは、やはり刺さった。
体は無事だったが家を失った人、仕事の資材を失った人、そうしたひとにも保証が支払われていた。
けがを負った人。
そうか、けがを負った人もいたんだ……!
この人たちはまだ生きている。
わたしは連なる名前の列を追った。
――ビアン・イグ。
「えっ?」
ビアンさんのフルネーム、これと同じだった。
すぐにカーツさん、それからゼンジさんを見た。
「どういうことですか、これ……?」
一瞬で顔色の変わったカーツさんを見て悟った。
わたしの知らないなにかが、起こっていたことを。
わたしの態度に、カーツさんが関係者以外に出て行くよう指示した。
残ったはカーツさんとゼンジさんは、新聞に目を落としたまましばらく黙っていた。
「生きてるんですよね……?」
「テリ村からの便りでは、今も生きていると」
カーツさんがうなづくようにつぶやいた。
はあ……っ、よかった……。
でも、その言い方だと、あまり安心できる感じじゃない。
少なくとも、手紙の返事を書くこともできない状態ということじゃないのだろうか。
「今、ビアンさんはどうしてるんですか?」
「実家で療養を続けています。おそらく僧侶として復帰するのは無理です。僧侶というより、四肢が必要な仕事にはもうつけないといっていいでしょう」
息が止まりそうだった。
それって、手足を失ったってこと?
ひどいけが……!
うわ……、めまいが……。
「両手と左脛から下を焼かれました。傷跡は焼け焦げて、消えた手足は一瞬で灰になりました。辺りには血の一滴もなく、痛みもないくらい瞬く間のことでした」
「どうしていってくれなかったんですか? わたしをまた動揺させないためですか?」
「それはコルグ様、ムッタ師父、それから僕がそうした方がいいと決めたんですよ。理由は、以前美波浮者にお話ししたとおりです」
「知らなかったのは、わたしだけ……」
「いいえ、コルグ様と旅に出たもの以外は知らないはず。しかし、からわ板にまで名前が載っていたなら、伝え聞いて察していた者もいたかもしれません」
カーツさんは静かな調子で淡々と話す。
確かに、さっきの反応からして、クランやムラークくんら小坊主さんたちは、まったく知らなかったみたいだ。
ミックさんは同行していたから知っていたはずだし、パナンさんも知っていたみたいな雰囲気だった。
わたしは手探りするようにして、旬さんの手を握った。
「旬さん……」
「すまない、おれもきづいていたが、いえなかった」
「行かなきゃ、旬さん」
「ビアンのところへか?」
「そう……。でも、旬さんにも治せなかったっていうこと?」
「みなみがおれをてばなさなかったから、おれにはどうしようもできなかったんだ」
「そうか……、そうだった……。旬さん、ビアンさんの怪我、治せると思う?」
「たぶん。でも、リューまでなおせるかはわからない」
「流まで?」
カーツさんが説明してくれた。
「あの一角の焼失が起こったとき、物体だけが消えたのではなく、人の体の中に流れる流も一緒に消えたのです。ビアンも体の一部を失ったのと同時に、多くの流を失いました。我々とサイシュトランの僧侶たちでさまざまな流術を施しましたが、傷を癒すので精いっぱいでした」
「流がないと、どうなるんですか?」
「いままで使えていた術のいくらかは使えなくなっているでしょう。体力や気力にも関わります。いずれにしても師筆が持てないので、今頃、口か足で字を書く練習でもしているのではないかと」
「とにかく、すぐにでも、テリ村に……!」
翌朝、わたしたちは出立の準備を整えて、門の前にいた。
わたしの荷物をまとめてくれたクランが、手に最後の包みを持ったまま、わたしを見つめる。
「もう一度考え直してください。美波浮者が行かなくても、回復したビアンがこちらに来ればいい話です」
「そうはいかないよ」
「テリ村といえば、マロー町のすぐ隣です。またいつ不埒な悪漢に会うかわかりません。わたしは美波浮者が心配なんです」
「わたしも、正直にいうと、怖いよ。すごく怖い」
「でしたら、いくことはありません! ローアンとカーツがビアンを連れて戻るのをここで待てばいいのです」
「ううん、行かなきゃ。わたしはみんなのようには浮流が見えない。だから、ちゃんとなにがあったのか、やっぱりこの目で見ておく必要があったんだよ。浮者としての役目だけ果たしてもだめなの。肌で感じる実感が、わたしには必要なの」
「美波浮者……」
クランの目が潤んでいる。
前回旅発つときよりも不安げた。
前は、わたしの方がこんな顔をしていたと思う。
「それに、旬さんがこうもいってる。美波に触れようとしたらその瞬間に塵にしてやるって。ほんとにそんなことになったらやだから、今度はちゃんとカーツさんやローワンさんとはぐれないようにするから」
「わたしは、二度と、あんな姿でこの門をくぐる美波浮者を見たくないんです」
「わたしも、今度こそ笑って、クランにただいまをいいたい」
「ほんとに行くんですか……」
「うん、行ってくるよ」
手を差し出すと、クランが泣きそうな顔で荷物を渡してくれた。
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