25 / 45
すしネタ探偵!シャリの上にも三年
【第2巻:イカとアジサイと大型テレビの密室】
しおりを挟む「イカが消えたんやけど」
平目イサキが厨房に飛び込んでくるなり、ぼそっと言った。
「イカはな……墨を吐いて逃げるからな。つまりこれは……煙に巻かれた事件ってことだ!」
「はい出たー。イカスボケ~!いやボケんでええから真面目に聞いて!」
ここは都内某所の回転寿司「グルグル寿司 本店」。
芸人志望の寿司バイト・須々木平正、通称「平っち」が、今日も寿司ネタにまつわる謎を、ネタ帳より軽い頭で解決する!
厨房の冷蔵庫。いつもぎっしり並んでいるイカの刺し身が、今朝は一皿もなかった。
「マグロもサーモンもあるのに、なんでイカだけ……?」
その謎に加えて、妙なことがもう一つ。
「テーブル席の大型テレビ、勝手に**“紫陽花(あじさい)の育て方講座”**になってるんやけど……」
それは普段、寿司ネタ紹介や回転レーンの映像を映す店のサイネージ。どうやら、誰かが外部のUSBを挿して、勝手に映像を変えたらしい。
「イカ消失に、アジサイの講座……?これはただの園芸趣味の暴走じゃない。事件の香りがする!」
「ネタの臭いよりキツイな……」
「イカ、やっぱり出せないの?」
昼のピーク時、客からの声も上がってきた。
そこへ、スッと手を挙げる男がひとり。
「ワタクシ、イカの件……見たかもしれません」
現れたのは、黒ぶちメガネのインテリ風おじさま。
彼が言うには──
「朝、店の裏で、イカのトレーを抱えて大型テレビの裏に向かう人物を見たんです。ええ、紫色のジャージを着ていました」
「ジャージの色、まさかアジサイの……」
「どんだけ色から連想すんねん!」
裏手の倉庫にある大型テレビの裏を調べてみると、あった。
USBスティック、そして空のイカのトレイ。
「でもおかしいな。なんでテレビの裏に?」
平っちが指をぱちんと鳴らした。
「そうか。犯人は、アジサイの映像を流すためにUSBを使った。だけど、そのUSBの中には証拠隠しの動画が入ってるんだよ!」
再生してみると──映っていたのは、厨房の冷蔵庫からイカを取り出し、ポケットに忍ばせるバイトの姿。犯人は……
「ユウキやん……またかい!!」
前回ムースを泡立てられなかった新人バイト・ユウキが、イカをこっそり持ち帰っていた。
「……すいません。僕、アジサイの育て方を自作でまとめてて……そのUSBを間違えて厨房に挿してしまって……。あと、イカは母が大好物で……」
「だからって冷蔵庫のイカ持ち出したらアカンて!」
イサキちゃんの鉄槌ツッコミが炸裂。
事件は丸くおさまり、イカも追加発注。
犯人(?)のユウキは一週間の謹慎ののち、今は正座でイカをさばいている。
「今回もネタは鮮度命だったな」
「せやな。あとUSBの取り扱いも命やで」
大型テレビには、今は「イカの捌き方講座」が流れている。
次回のための伏線だろうか……いや、多分違う。
「すしネタ探偵、シャリっと解決!今回の教訓は、USBと冷蔵庫は別物です!」
「ほんま、シャリとコタツくらい違うわ!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~
楠富 つかさ
恋愛
中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。
佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。
「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」
放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。
――けれど、佑奈は思う。
「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」
特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。
放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。
4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる

