37 / 45
すしネタ探偵!シャリの上にも三年
【第14巻 平目とフライ返しと通行止めと恋ゴコロ】
しおりを挟むグルグル寿司・本店。
午前11時、シャリもまだ人肌。だけど事件はいつも突然やってくる。
「おい平っち、あんた今日“魚の気持ち”ってテーマでネタ考えてたんちゃうん?」
「考えてたよ!『この板前、握りが甘い……!』って心の声で始まるやつ」
「まさかの寿司視点コント!? てか、甘いって誉めてんのかディスってんのかハッキリして!」
ボケとツッコミが入り混じる中、店の表に貼り紙が出された。
【本日、商店街前の通りが工事により通行止めとなります】
「通行止め!? まさかウチの仕込みにも影響が……」
店長・海老沢(通称エビテン)が絶望の表情で叫ぶ。
「ネタの配達トラックが入れねえ!? ワサビ抜きの人生か、こりゃ……」
そのとき事件は起きた。
「す、すみませーん!」
入口から駆け込んできたのは、隣の洋食屋「フライdeナイス」のバイトくん。
「うちの店、厨房が停電して、シェフがショックで“フライ返し”を投げて逃げたんです!」
「ええ!? どこへ!?」
「知らない通行止めの先へ、返しながら……」
「“フライ返し”だけに!?」
「なんで上手いこと言った顔してんのよ平っち!」
洋食屋の厨房からは煙が。回転寿司の厨房からは魚が。混ざればそれはもうカオス鍋。
とにかくシェフを探さなければと、平っち&イサキちゃんコンビが動き出す。
──通行止めの先へ。
「まさかの寿司屋から道路捜査へ?」
「いや、これはもう“通行捜査”やろ!」
煙の中を抜け、見つけたのはベンチに腰かけた白衣の男。手には……フライ返し。
「シェフ、どうして……?」
「……人生が、揚げすぎて焦げちまったんだよ」
「揚げすぎ人生て!!」
「もう、なんもフライたくなかった……」
やたらうまいこと言ってるが、メンタルはボロボロ。
そこに、平目イサキの優しい声。
「シェフ、気持ちはわかります。でもな……ウチらの平っち、昨日“鯖のネタ”にスベっても生きてるんですよ」
「うん、生きてるよ!今日もスベるよ!」
「スベり宣言すな!」
そしてそっとイサキがつぶやく。
「……私はね、平っちのボケ見てたら元気出るんです。ちょっとだけ……笑いたくなるんです」
「えっ……え、それって……」
「だから!今日のネタ、ちゃんと考えときや。見とくから」
イサキちゃん、顔赤い。平っち、耳まで赤い。
「こ、これは……まさかの恋のフライ返し!?」
「誰がうまいこと言え言うた!!」
こうしてシェフも無事復帰。
洋食と寿司の異種コラボ「イカフライ握り」がその日の裏メニューとなり、通行止めも解除。
そして平っち、店内でひとりつぶやく。
「……恋心って、案外シャリに似てるのかもな。あったかくて、やわらかくて……」
「早速ボケろ、そんでスベれ」
「はい、喜んで!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~
楠富 つかさ
恋愛
中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。
佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。
「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」
放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。
――けれど、佑奈は思う。
「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」
特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。
放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。
4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる

