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【シリーズ5】888字物語 ~青春篇~
# ブルーな俺と鈍い赤依
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いつもの公園のアジサイが色づいている。いいね。
俺はスマホにこうつぶやく。
「アスタの目の前に現れたアジサイ色の目をした女剣士が胸に手を当てる。かぎかっこ。わたしはミュリエル・ステイシー。国王直属の近衛兵長だ。かっことじる」
これでよし。
投稿をタップ。
一日一話。
今日のノルマ達成っと。
梅雨の曇り空に目をやってため息をつく。
変わり映えしない、退屈な毎日。
良くも悪くもぬるま湯みたいな日常。
もうすぐ夏のはずなのに、湿った空気のせいかな。
気分がめいる。
同じ道を行く制服姿が自分より生き生きしているように思える。
確かに俺にはまだこれに人生をかけるっていうものがない。
人からはよく、お前は冷めてるっていわれる。
だけど、これは俺の数少ないの楽しみといっていい。
更新されたページには最新話が表示されている。
少し、にやと笑う。
ちょうどそのとき、道の向こうからミヤコが走ってきた。
スマホをポケットにしまった。
「宏介~、おはよーっ」
ミヤコは今日も目がチカチカするようなネイルをしている。
デコデコした指が俺の腕に絡んだ。
「遅せーし、待ったじゃねーか」
「ごーめーん~、前髪が決まんなくって」
「どーせかわんねぇよ」
「ああん、ひどーいっ」
ミヤコとは付きあって半年になる。
頭の軽さと見た目の良さが反比例している。
最近どうもしっくりこないが、惰性で今日まで続いている。
だから当然、ミヤコには俺が小説投稿サイトのユーザーだってことは話していない。
ネット小説を教えてくれたのはミヤコだった。
まだ付き合いたてだったころ、ミヤコがハマっているという恋愛小説をすすめられた。
どこにでもありそうな平凡な話。少女漫画を駆け足で読んでくような、空気みたいな小説。
正直、どうしてミヤコが夢中になっているのかわからなかった。
だけど、いくつか興味を引かれたタイトルを読み始めると、俺にもこれくらい書けるんじゃねえのって気がしてきて、試しに始めてみた。
もともとゲームオブスローンズとかロードオブザリングとか好きだったから、次々に書きたいことが出てくるようになってあっという間にハマってた。
しかも、読者の反応も面白くて、特に熱心なユーザーがいろんな感想や、次の話が楽しみですって送ってくれると、すげえうれしくなって、書くのがどんどん楽しくなっていった。
ブルーノートっていうペンネームでハイファンタジーを書き始めて数か月。
今では俺の処女作タワーオブブルーは、ファンタジー部門の上位にランキングされるまでになっている。
今日もミヤコの話がつまらないので、スマホをチェックする。
おっ、紫の雫さんがもう感想くれてる!
いつもすぐに読んで、一番に感想をくれるユーザーだ。
しかもけっこうファンタジーを読んでいるらしくて、オマージュとかパロネタとかにもすぐ気がついてくれる。
ときどきお礼の返信を送ると、それへの反応も丁寧で、すごく好感が持てるユーザーだ。
まあ、この人のために毎日小説を上げているといっても過言ではない。
「宏介、こーすけぇ、きいてるう?」
「ん、ああ……」
スマホをしまって、退屈な話に耳を傾けた。
予定調和な四角い部屋。
灰色した窓の外。
ハンコみたいに並んだ机。
ぬるぬると始まる一日。
念仏みたいなクラスメイトの教科書を読む声。
無気力な字がまばらに並ぶノート。
低空飛行で散漫な意識。
だらだら流れるだけの時間。
延長線上に明るい未来なんか見えてこない。
授業の内容が頭に入ってこないときは、明日投稿する小説の内容を考える。
昼休みに入ったときも、俺はそのことを考えていた。
「あの……、紺乃くん……」
遠慮がちなその声に顔を上げると、クラスで地味なグループの赤依さつきが立っていた。
「なに?」
「あの~、紺乃くん図書委員だったよね? お昼に呼ばれてるんだけど……」
えっ、そうだったか?
「あ、あの、別にいいの。わたしだけでも。一応声かけただけだから」
そういやあ、今までの図書係当番、全部赤依がやってくれてたんだったな。
「んじゃ、……いくか」
たまには、仕事しねえとな。
そろって図書室に行くと、もう他の図書委員は集っていて、なにやら役割分担がもう決められたあとらしい。
「遅いぞ、2年E組。お前らは今日居残ってこの図書整理やってけ」
げ、なんか知らねー先輩にいきなり仕切られた……。
赤依はぺこっと頭を下げて、分担表らしきものを受け取った。
図書委員たちがぞろぞろと解散していく。
俺は赤依と手元の用紙を見た。
「これで解散? 用ってこの紙切れ一枚?」
「そうみたい」
「わざわざ呼ぶ必要ある? SNSで通知すればよくね?」
「うんー……」
赤依は複雑そうな顔を浮かべた。
あ、そうか、今まで当番に来てもなかった俺がなにを言ってんだ、って思ってるよな……。
テーブルに山のように積まれている本に手をかけて、赤依が振り向いた。
「紺乃くん、帰っていいよ。あと、わたしやるから」
「え、これ全部?」
「大丈夫、放課後も来れば終わるし」
え、いや……、さすがにこれを赤依ひとりにやらせるわけには。
ってか、こういう雑用も今まで全部赤依ひとりにやらせてたのか、俺……。
「いや、手伝うし。ってか、これからはちゃんと当番にも来るし」
「え……」
「つーか、こんなに仕事あるんなら、もっと早く言ってくれてもよかったっつーか……」
……まあ、サボってた俺がいまさらなんだけど……。
「意外……」
赤依がつぶやいた。
「なに?」
「紺乃くん、こういうのちゃんやってくれる人だと思わなかったから」
……まあ、反論の余地もない。
「なんか、リア充してますキラキラキラッて感じで、本とか読まない人だと思ってた」
「えっ、それは決めつけすぎだろ」
赤依が不思議そうな顔を見せた。
「えっ? 紺乃くん本とか読むの? 漫画とか雑誌とかじゃなくて?」
「……あのなー、赤依、俺のなにを知ってんの?」
「ごめんごめん、じゃあなに読むの?」
「なにって……、まあいろいろだよ」
「いろいろって?」
なんて答えよう……。好きな本って、結構趣向がもろに出るから、なんとなく言い出しにくい……。
「まあ、人並み程度には」
「ふーん……」
赤依は全然納得がいかなそうだった。
当然だろう。
「じゃあ、赤依はなに読んでるんだよ?」
「わたし?」
赤依は少し考えるようにして、ポケットからスマホを出した。
「わたしはこれ」
小説投稿サイトのトップページだった。
「最近ハマってるオンライン小説があってね。あ、もちろん書籍の本も読むよ。
でも、すっごく面白いユーザーさんの作品があるんだ」
ぎょっ、とした。
赤依がブックマークからタップしたのは、タワーオブブルーだったからだ。
「これね、毎日更新されるの、すっごく楽しみにしてるんだ。舞台は中世の外国とかのファンタジーなんだけど。えっと、例えば、ゲームオブスローンズとか指輪物語みたいな。……えと、知ってる? ドラマとか映画にもなってるんだけど……」
「わかるよ……」
初めて見るみたいな顔で、赤依のスマホを見た。
でも実際は、楽しそうに俺の小説の説明をしている赤依の顔を見ていた。
こんな身近に、俺の作品を読んで楽しんでくれている人がいるなんて……。
そのことに心打たれた。
突然赤依がぴたと口を閉ざした。
「あ、ごめん、わたしの話ばっかりしちゃった。好きな作品のことって、どんどん話したくなっちゃうから。読んだことない人には退屈だったよね」
いや、そんなことない、聞きたい!
かといって、それは俺が書いたんだ、とは……言えなかった。
これが、ちょっと読んだことある程度だったら、俺も軽い感じで実はこれ俺なんだよとか、言えたのかもしれない。
でも、こんなに熱心に読んでくれている赤依に、この嬉しさをどう伝えたらいいのかわからなかった。
「いや、そんなことないよ」
「そう? ならよかった。紺乃くんも興味があれば読んでみて。おすすめだよ」
「あ、ああ……」
「それで、紺乃くんはおすすめの本とかある?」
そんなこともうどうでもよかった。
それからは、赤依と図書当番になる日が待ち遠しくなった。
俺もタワーオブブルーの読者のふりをして、赤依からどんなところが面白かったか、どのキャラのどのセリフがよかったとか、そんな話を聞くのが楽しみになった。
赤依ははじめ俺がファンタジー小説を好きなことに驚いていたが、今ではすっかり同志だ。
ネット小説以外にも、海外ファンタジーの新刊や古典、映像化されたファンタジー作品についてだったり、話す内容に尽きることがない。
正直、もっと一緒にいて話したいくらいだ。
その日も、俺は図書室にいた。
さっきまでミヤコがつきまとっていたが、当番の邪魔になるからといって帰らせた。
赤依が来るまで、今日の分の小説をスマホで執筆する。
「ごめーん、鍵をわたしが持っていたのに。待った?」
赤依がやってきて、貸出カウンターの鍵を開けた。
「いや、ぜんぜん」
そう言いながら、最後の文をフリック入力し、投稿をタップした。
そのとき、ピコンと電子音が鳴った。
「あっ、ブルーノートさん、更新してる!」
赤依がポケットから取り出したスマホを見てうれしそうにしている。
うずうずとした顔で俺を見た。
「先に読んでもいいかな?」
「いいよ」
「待っててね、読み終わったらすぐ替わるから」
ゆっくりでいいよ。
内容ぜんぶ知ってるし。
「はあー、ミュリエル―……!」
背後でため息を漏らした赤依が、しばらく余韻に浸っていたかと思うと、勢いよく前のめりになった。
高速フリックでなにかを入力している。
多分、感想だろう。
「紺乃くん、おまたせ。チェンジ。今日、ミュリエルすごくいいよ」
「赤依はミュリエル押しだもんな」
だから、当初モブキャラの予定だったミュリエルを展開させたんだ。
俺は赤依と席を入れ替わった。
後ろの席について、スマホを開く。
そのときはじめて気がついた。
読者のコメント一件。
それは、紫の雫さんだった。
今まで俺は気にも留めていなかった。
赤依のアカウント。
本人から直接感想を聞いていたから、赤依がサイト上でなんという名前を名乗っているかなんて、関係なかったからだ。
コメントを見ると、いつものように丁寧な口調で小説の感想と、そして次の話への期待と励ましが書かれている。
紫の雫は、赤依さつきだったのか……!
思わず赤依の背中を見つめた。
その日から、なにげなく赤依が投稿サイトでどんな作品を上げているのかをチェックした。
ファンタジー好きだから、きっとファンタジー小説を書いているのかと思いきや、意外にも日常のエッセイみたいなものや詩みたいなものばかりだった。
はじめは別のアカウントを取ってブックマークし、そのアカウントから紫の雫の作品を全部読んだ。
俺は赤依に、俺のなにを知ってるのかって言ったけど、俺も赤依の作品を読むまで、赤依のことはなにも知らないも同然だった。
俺は赤依と、タワーオブブルーやファンタジーの世界の凝った設定や、ち密な展開、折り重なる人間関係、そして自由な空想を楽しんで同じものを一緒に共有していると思っていた。
なんていうか、そういう精神的な感覚をわかりあっていて、価値観だったりや考え方が似ているとさえ思っていた。
なのに……。
赤依の詩やエッセイは、日常の一瞬の空気を切り取った短い文だった。
なんていうか、本当に一瞬の。
すごく短い時間、短い文なのに、ぐっとそこにカメラのフォーカスが当たって、鮮明な写真を切り取るような。
蛇口から落ちる水の一滴。
カーテンを開けた瞬間の光の粒子。
たった今変わってしまった雲の形。
ネット上の赤依は、俺のまったく知らない赤依だった。
他人は、というより、赤依はこんなふうに世界を見てるのか、と初めて気がついた。
小説投稿サイトを使い始めて以来、俺は初めて人の作品に対してコメントを書いた。
どっちのアカウントで書くか悩んだけど、ブルーノートのアカウントから書いた。
「短いことばの中に、一瞬のきらめきが溢れている。こんなふうに俺は書けない」
書き込んだ後に読み返したら、ひどく尊大なコメントだと気がついた。
あわてて消そうと思ったら、紫の雫から返信が来た。
「ブルーノートさんに読んでいただけたなんて光栄です! そんな大したものではありませんが、このような感想をいただけるなんて夢にも思いませんでした! ありがとうございます!」
赤依……、おまえって、大人だな……。
俺だったら、はあ? おまえ何様だよって返信してるところだ……。
……それに、謙遜する必要なんてない。
赤依の言葉は、赤依の見ている世界は、はかなくてうつくしい。
大したものだと思う。
次の図書当番の日、俺たちはカウンターに並んで座っていた。
「赤依の作品読んだよ」
突然ガタっと鳴らして赤依が椅子から立ち上がった。
「ええっ!」
見る間に顔を染めて、今まで見たことないような狼狽をし始めた。
「な、な、なんでっ、えっ、だって、アカウント教えてないのに……っ」
「この前、タワーオブブルーの感想送ってただろ」
「はっ、わっ……」
赤依は顔を隠して俺から離れてカウンターの隅のほうへに逃げていった。
なんだか大げさな反応だと思ったが、本気で恥ずかしがっているようだ。
「なんでそんなに恥ずかしがるんだよ」
「だ、だって、まさか知ってる人に読まれるなんて……」
それ、気持ちわかるけど……。
「赤依の作品てさ……」
「あああ、わわわわっ! だめ、だめ! 言わないで!」
「え……」
「無理、聞けない、死んじゃう! お願い、誰にも言わないで!」
「いやでも……」
赤依は思いつめたような横顔を見せた。
突然スマホを取り出し、素早くタップしはじめる。
なんだ……?
まさか、アカウントを消そうとしてる?
思わず、俺はスマホを持つ赤依の手を止めた。
「ちょっと待てよ」
「ああああっ、無理、無理! 忘れて、お願いっ!」
やっぱりそうだ。
スマホの画面には、退会申請ページが表示されていた。
赤依からスマホを奪い取った。
「なんで消すんだよ」
「か、返してよ……!」
「消さなくたっていいだろ、俺はお前の作品、いいと思ったのに」
「えっ……」
真っ赤に染まった頬。
眼鏡の奥から丸くなった目がこちらを向いた。
「俺にはああいう文章書けないから、素直にいいなって思ったよ」
赤依はふいに静かになった。
少し落ち着いたみたいだ。
「いつも話してる赤依とは全然違うからさ、はじめ、本当に赤依か? って思ったけど」
「そ、それは……」
観念したように赤依が肩をおろした。
「私にはブルーノートさんみたいな話は書けないし……。読むのはすっごく楽しいけど……」
「俺の知ってる赤依じゃないみたいだと思った」
「だから、余計に恥ずかしいよ。でも、言葉って、そういうものでしょ。止めようとしても出てきちゃう……。だから、誰にも知られたくなかったのに……」
赤依が下を向いた。
それはそうだよな……。
それに、これじゃあフェアじゃない。
俺は自分のスマホをタップして赤依の前に差し出した。
スマホをのぞき込んた赤依が目を見開いて、すばやく俺を見た。
「これ……紺乃くん……」
俺のユーザー用のマイページだ。
「うそ……、紺乃くんがブルーノートさんなの……?」
「そうだよ。……赤依、そろそろ落ち着いて座ってくんない?」
赤依は動揺と興奮とが入り混じった顔で大人しく席に着いた。
しばらくお互い黙っていた。
「あのさあ……」
「あの……」
声がかぶって、ふいに顔を見合わせる。
よし……!
ここは、男からガツンといくところでしょ。
強く息を吸った。
「あのさあ、俺、もっと赤依のこと知りたいんだけど」
「えっ……」
赤依はびっくりしたように瞬きした。
「赤依と本の話するの楽しいし、もっといろいろ話したいと思ってる。ライン、交換してもいい?」
「あ、うん……」
お互いを友だちに登録した。
眼鏡を直しながら、赤依がぽつりといった。
「わたしの友だちリストにリア充の人が増えるなんて……」
「その決めつけやめろよな。壁作られたみてーでかなしいだろ」
はっとしたように赤依がスマホを操作しはじめた。
間もなく画面を俺の方へ向けた。
「同志!」
友達リストの俺の名前の上に、同志と追加されていた。
「そうだよね! わかった! 紺乃くん、これからも同志としてたくさん語り合おう!」
ん、ん?
あれ……?
「今度、本好きな友達を紹介するね! きっと、紺乃くんがブルーノートだって知ったら、みんなびっくりするだろうな!」
え、……なんか伝わってない。
通じ合ったと思ってたの、まさか、俺だけ……?
赤依は全然わかってない。
「あっ、そうだ! このカワムラカワダさんっていうユーザーさん、すごく仲良くさせてもらってて、よくタワーオブブルーの感想話してるんだ!
あとね、同じ図書委員の野中さんも、このサイトのユーザーなんだよ!」
「……お、おう……」
……っなんだよ!
結構勇気出したのに……。
ミヤコと昨日別れたこと……。
今いうタイミングじゃないな、これ……。
俺はスマホにこうつぶやく。
「アスタの目の前に現れたアジサイ色の目をした女剣士が胸に手を当てる。かぎかっこ。わたしはミュリエル・ステイシー。国王直属の近衛兵長だ。かっことじる」
これでよし。
投稿をタップ。
一日一話。
今日のノルマ達成っと。
梅雨の曇り空に目をやってため息をつく。
変わり映えしない、退屈な毎日。
良くも悪くもぬるま湯みたいな日常。
もうすぐ夏のはずなのに、湿った空気のせいかな。
気分がめいる。
同じ道を行く制服姿が自分より生き生きしているように思える。
確かに俺にはまだこれに人生をかけるっていうものがない。
人からはよく、お前は冷めてるっていわれる。
だけど、これは俺の数少ないの楽しみといっていい。
更新されたページには最新話が表示されている。
少し、にやと笑う。
ちょうどそのとき、道の向こうからミヤコが走ってきた。
スマホをポケットにしまった。
「宏介~、おはよーっ」
ミヤコは今日も目がチカチカするようなネイルをしている。
デコデコした指が俺の腕に絡んだ。
「遅せーし、待ったじゃねーか」
「ごーめーん~、前髪が決まんなくって」
「どーせかわんねぇよ」
「ああん、ひどーいっ」
ミヤコとは付きあって半年になる。
頭の軽さと見た目の良さが反比例している。
最近どうもしっくりこないが、惰性で今日まで続いている。
だから当然、ミヤコには俺が小説投稿サイトのユーザーだってことは話していない。
ネット小説を教えてくれたのはミヤコだった。
まだ付き合いたてだったころ、ミヤコがハマっているという恋愛小説をすすめられた。
どこにでもありそうな平凡な話。少女漫画を駆け足で読んでくような、空気みたいな小説。
正直、どうしてミヤコが夢中になっているのかわからなかった。
だけど、いくつか興味を引かれたタイトルを読み始めると、俺にもこれくらい書けるんじゃねえのって気がしてきて、試しに始めてみた。
もともとゲームオブスローンズとかロードオブザリングとか好きだったから、次々に書きたいことが出てくるようになってあっという間にハマってた。
しかも、読者の反応も面白くて、特に熱心なユーザーがいろんな感想や、次の話が楽しみですって送ってくれると、すげえうれしくなって、書くのがどんどん楽しくなっていった。
ブルーノートっていうペンネームでハイファンタジーを書き始めて数か月。
今では俺の処女作タワーオブブルーは、ファンタジー部門の上位にランキングされるまでになっている。
今日もミヤコの話がつまらないので、スマホをチェックする。
おっ、紫の雫さんがもう感想くれてる!
いつもすぐに読んで、一番に感想をくれるユーザーだ。
しかもけっこうファンタジーを読んでいるらしくて、オマージュとかパロネタとかにもすぐ気がついてくれる。
ときどきお礼の返信を送ると、それへの反応も丁寧で、すごく好感が持てるユーザーだ。
まあ、この人のために毎日小説を上げているといっても過言ではない。
「宏介、こーすけぇ、きいてるう?」
「ん、ああ……」
スマホをしまって、退屈な話に耳を傾けた。
予定調和な四角い部屋。
灰色した窓の外。
ハンコみたいに並んだ机。
ぬるぬると始まる一日。
念仏みたいなクラスメイトの教科書を読む声。
無気力な字がまばらに並ぶノート。
低空飛行で散漫な意識。
だらだら流れるだけの時間。
延長線上に明るい未来なんか見えてこない。
授業の内容が頭に入ってこないときは、明日投稿する小説の内容を考える。
昼休みに入ったときも、俺はそのことを考えていた。
「あの……、紺乃くん……」
遠慮がちなその声に顔を上げると、クラスで地味なグループの赤依さつきが立っていた。
「なに?」
「あの~、紺乃くん図書委員だったよね? お昼に呼ばれてるんだけど……」
えっ、そうだったか?
「あ、あの、別にいいの。わたしだけでも。一応声かけただけだから」
そういやあ、今までの図書係当番、全部赤依がやってくれてたんだったな。
「んじゃ、……いくか」
たまには、仕事しねえとな。
そろって図書室に行くと、もう他の図書委員は集っていて、なにやら役割分担がもう決められたあとらしい。
「遅いぞ、2年E組。お前らは今日居残ってこの図書整理やってけ」
げ、なんか知らねー先輩にいきなり仕切られた……。
赤依はぺこっと頭を下げて、分担表らしきものを受け取った。
図書委員たちがぞろぞろと解散していく。
俺は赤依と手元の用紙を見た。
「これで解散? 用ってこの紙切れ一枚?」
「そうみたい」
「わざわざ呼ぶ必要ある? SNSで通知すればよくね?」
「うんー……」
赤依は複雑そうな顔を浮かべた。
あ、そうか、今まで当番に来てもなかった俺がなにを言ってんだ、って思ってるよな……。
テーブルに山のように積まれている本に手をかけて、赤依が振り向いた。
「紺乃くん、帰っていいよ。あと、わたしやるから」
「え、これ全部?」
「大丈夫、放課後も来れば終わるし」
え、いや……、さすがにこれを赤依ひとりにやらせるわけには。
ってか、こういう雑用も今まで全部赤依ひとりにやらせてたのか、俺……。
「いや、手伝うし。ってか、これからはちゃんと当番にも来るし」
「え……」
「つーか、こんなに仕事あるんなら、もっと早く言ってくれてもよかったっつーか……」
……まあ、サボってた俺がいまさらなんだけど……。
「意外……」
赤依がつぶやいた。
「なに?」
「紺乃くん、こういうのちゃんやってくれる人だと思わなかったから」
……まあ、反論の余地もない。
「なんか、リア充してますキラキラキラッて感じで、本とか読まない人だと思ってた」
「えっ、それは決めつけすぎだろ」
赤依が不思議そうな顔を見せた。
「えっ? 紺乃くん本とか読むの? 漫画とか雑誌とかじゃなくて?」
「……あのなー、赤依、俺のなにを知ってんの?」
「ごめんごめん、じゃあなに読むの?」
「なにって……、まあいろいろだよ」
「いろいろって?」
なんて答えよう……。好きな本って、結構趣向がもろに出るから、なんとなく言い出しにくい……。
「まあ、人並み程度には」
「ふーん……」
赤依は全然納得がいかなそうだった。
当然だろう。
「じゃあ、赤依はなに読んでるんだよ?」
「わたし?」
赤依は少し考えるようにして、ポケットからスマホを出した。
「わたしはこれ」
小説投稿サイトのトップページだった。
「最近ハマってるオンライン小説があってね。あ、もちろん書籍の本も読むよ。
でも、すっごく面白いユーザーさんの作品があるんだ」
ぎょっ、とした。
赤依がブックマークからタップしたのは、タワーオブブルーだったからだ。
「これね、毎日更新されるの、すっごく楽しみにしてるんだ。舞台は中世の外国とかのファンタジーなんだけど。えっと、例えば、ゲームオブスローンズとか指輪物語みたいな。……えと、知ってる? ドラマとか映画にもなってるんだけど……」
「わかるよ……」
初めて見るみたいな顔で、赤依のスマホを見た。
でも実際は、楽しそうに俺の小説の説明をしている赤依の顔を見ていた。
こんな身近に、俺の作品を読んで楽しんでくれている人がいるなんて……。
そのことに心打たれた。
突然赤依がぴたと口を閉ざした。
「あ、ごめん、わたしの話ばっかりしちゃった。好きな作品のことって、どんどん話したくなっちゃうから。読んだことない人には退屈だったよね」
いや、そんなことない、聞きたい!
かといって、それは俺が書いたんだ、とは……言えなかった。
これが、ちょっと読んだことある程度だったら、俺も軽い感じで実はこれ俺なんだよとか、言えたのかもしれない。
でも、こんなに熱心に読んでくれている赤依に、この嬉しさをどう伝えたらいいのかわからなかった。
「いや、そんなことないよ」
「そう? ならよかった。紺乃くんも興味があれば読んでみて。おすすめだよ」
「あ、ああ……」
「それで、紺乃くんはおすすめの本とかある?」
そんなこともうどうでもよかった。
それからは、赤依と図書当番になる日が待ち遠しくなった。
俺もタワーオブブルーの読者のふりをして、赤依からどんなところが面白かったか、どのキャラのどのセリフがよかったとか、そんな話を聞くのが楽しみになった。
赤依ははじめ俺がファンタジー小説を好きなことに驚いていたが、今ではすっかり同志だ。
ネット小説以外にも、海外ファンタジーの新刊や古典、映像化されたファンタジー作品についてだったり、話す内容に尽きることがない。
正直、もっと一緒にいて話したいくらいだ。
その日も、俺は図書室にいた。
さっきまでミヤコがつきまとっていたが、当番の邪魔になるからといって帰らせた。
赤依が来るまで、今日の分の小説をスマホで執筆する。
「ごめーん、鍵をわたしが持っていたのに。待った?」
赤依がやってきて、貸出カウンターの鍵を開けた。
「いや、ぜんぜん」
そう言いながら、最後の文をフリック入力し、投稿をタップした。
そのとき、ピコンと電子音が鳴った。
「あっ、ブルーノートさん、更新してる!」
赤依がポケットから取り出したスマホを見てうれしそうにしている。
うずうずとした顔で俺を見た。
「先に読んでもいいかな?」
「いいよ」
「待っててね、読み終わったらすぐ替わるから」
ゆっくりでいいよ。
内容ぜんぶ知ってるし。
「はあー、ミュリエル―……!」
背後でため息を漏らした赤依が、しばらく余韻に浸っていたかと思うと、勢いよく前のめりになった。
高速フリックでなにかを入力している。
多分、感想だろう。
「紺乃くん、おまたせ。チェンジ。今日、ミュリエルすごくいいよ」
「赤依はミュリエル押しだもんな」
だから、当初モブキャラの予定だったミュリエルを展開させたんだ。
俺は赤依と席を入れ替わった。
後ろの席について、スマホを開く。
そのときはじめて気がついた。
読者のコメント一件。
それは、紫の雫さんだった。
今まで俺は気にも留めていなかった。
赤依のアカウント。
本人から直接感想を聞いていたから、赤依がサイト上でなんという名前を名乗っているかなんて、関係なかったからだ。
コメントを見ると、いつものように丁寧な口調で小説の感想と、そして次の話への期待と励ましが書かれている。
紫の雫は、赤依さつきだったのか……!
思わず赤依の背中を見つめた。
その日から、なにげなく赤依が投稿サイトでどんな作品を上げているのかをチェックした。
ファンタジー好きだから、きっとファンタジー小説を書いているのかと思いきや、意外にも日常のエッセイみたいなものや詩みたいなものばかりだった。
はじめは別のアカウントを取ってブックマークし、そのアカウントから紫の雫の作品を全部読んだ。
俺は赤依に、俺のなにを知ってるのかって言ったけど、俺も赤依の作品を読むまで、赤依のことはなにも知らないも同然だった。
俺は赤依と、タワーオブブルーやファンタジーの世界の凝った設定や、ち密な展開、折り重なる人間関係、そして自由な空想を楽しんで同じものを一緒に共有していると思っていた。
なんていうか、そういう精神的な感覚をわかりあっていて、価値観だったりや考え方が似ているとさえ思っていた。
なのに……。
赤依の詩やエッセイは、日常の一瞬の空気を切り取った短い文だった。
なんていうか、本当に一瞬の。
すごく短い時間、短い文なのに、ぐっとそこにカメラのフォーカスが当たって、鮮明な写真を切り取るような。
蛇口から落ちる水の一滴。
カーテンを開けた瞬間の光の粒子。
たった今変わってしまった雲の形。
ネット上の赤依は、俺のまったく知らない赤依だった。
他人は、というより、赤依はこんなふうに世界を見てるのか、と初めて気がついた。
小説投稿サイトを使い始めて以来、俺は初めて人の作品に対してコメントを書いた。
どっちのアカウントで書くか悩んだけど、ブルーノートのアカウントから書いた。
「短いことばの中に、一瞬のきらめきが溢れている。こんなふうに俺は書けない」
書き込んだ後に読み返したら、ひどく尊大なコメントだと気がついた。
あわてて消そうと思ったら、紫の雫から返信が来た。
「ブルーノートさんに読んでいただけたなんて光栄です! そんな大したものではありませんが、このような感想をいただけるなんて夢にも思いませんでした! ありがとうございます!」
赤依……、おまえって、大人だな……。
俺だったら、はあ? おまえ何様だよって返信してるところだ……。
……それに、謙遜する必要なんてない。
赤依の言葉は、赤依の見ている世界は、はかなくてうつくしい。
大したものだと思う。
次の図書当番の日、俺たちはカウンターに並んで座っていた。
「赤依の作品読んだよ」
突然ガタっと鳴らして赤依が椅子から立ち上がった。
「ええっ!」
見る間に顔を染めて、今まで見たことないような狼狽をし始めた。
「な、な、なんでっ、えっ、だって、アカウント教えてないのに……っ」
「この前、タワーオブブルーの感想送ってただろ」
「はっ、わっ……」
赤依は顔を隠して俺から離れてカウンターの隅のほうへに逃げていった。
なんだか大げさな反応だと思ったが、本気で恥ずかしがっているようだ。
「なんでそんなに恥ずかしがるんだよ」
「だ、だって、まさか知ってる人に読まれるなんて……」
それ、気持ちわかるけど……。
「赤依の作品てさ……」
「あああ、わわわわっ! だめ、だめ! 言わないで!」
「え……」
「無理、聞けない、死んじゃう! お願い、誰にも言わないで!」
「いやでも……」
赤依は思いつめたような横顔を見せた。
突然スマホを取り出し、素早くタップしはじめる。
なんだ……?
まさか、アカウントを消そうとしてる?
思わず、俺はスマホを持つ赤依の手を止めた。
「ちょっと待てよ」
「ああああっ、無理、無理! 忘れて、お願いっ!」
やっぱりそうだ。
スマホの画面には、退会申請ページが表示されていた。
赤依からスマホを奪い取った。
「なんで消すんだよ」
「か、返してよ……!」
「消さなくたっていいだろ、俺はお前の作品、いいと思ったのに」
「えっ……」
真っ赤に染まった頬。
眼鏡の奥から丸くなった目がこちらを向いた。
「俺にはああいう文章書けないから、素直にいいなって思ったよ」
赤依はふいに静かになった。
少し落ち着いたみたいだ。
「いつも話してる赤依とは全然違うからさ、はじめ、本当に赤依か? って思ったけど」
「そ、それは……」
観念したように赤依が肩をおろした。
「私にはブルーノートさんみたいな話は書けないし……。読むのはすっごく楽しいけど……」
「俺の知ってる赤依じゃないみたいだと思った」
「だから、余計に恥ずかしいよ。でも、言葉って、そういうものでしょ。止めようとしても出てきちゃう……。だから、誰にも知られたくなかったのに……」
赤依が下を向いた。
それはそうだよな……。
それに、これじゃあフェアじゃない。
俺は自分のスマホをタップして赤依の前に差し出した。
スマホをのぞき込んた赤依が目を見開いて、すばやく俺を見た。
「これ……紺乃くん……」
俺のユーザー用のマイページだ。
「うそ……、紺乃くんがブルーノートさんなの……?」
「そうだよ。……赤依、そろそろ落ち着いて座ってくんない?」
赤依は動揺と興奮とが入り混じった顔で大人しく席に着いた。
しばらくお互い黙っていた。
「あのさあ……」
「あの……」
声がかぶって、ふいに顔を見合わせる。
よし……!
ここは、男からガツンといくところでしょ。
強く息を吸った。
「あのさあ、俺、もっと赤依のこと知りたいんだけど」
「えっ……」
赤依はびっくりしたように瞬きした。
「赤依と本の話するの楽しいし、もっといろいろ話したいと思ってる。ライン、交換してもいい?」
「あ、うん……」
お互いを友だちに登録した。
眼鏡を直しながら、赤依がぽつりといった。
「わたしの友だちリストにリア充の人が増えるなんて……」
「その決めつけやめろよな。壁作られたみてーでかなしいだろ」
はっとしたように赤依がスマホを操作しはじめた。
間もなく画面を俺の方へ向けた。
「同志!」
友達リストの俺の名前の上に、同志と追加されていた。
「そうだよね! わかった! 紺乃くん、これからも同志としてたくさん語り合おう!」
ん、ん?
あれ……?
「今度、本好きな友達を紹介するね! きっと、紺乃くんがブルーノートだって知ったら、みんなびっくりするだろうな!」
え、……なんか伝わってない。
通じ合ったと思ってたの、まさか、俺だけ……?
赤依は全然わかってない。
「あっ、そうだ! このカワムラカワダさんっていうユーザーさん、すごく仲良くさせてもらってて、よくタワーオブブルーの感想話してるんだ!
あとね、同じ図書委員の野中さんも、このサイトのユーザーなんだよ!」
「……お、おう……」
……っなんだよ!
結構勇気出したのに……。
ミヤコと昨日別れたこと……。
今いうタイミングじゃないな、これ……。
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