成瀬さんは世渡りが下手すぎる

喜島 塔

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第二部

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 ランチ女子会会場となっている、第三会議室から出てくる女性社員の中に、一条蘭が混ざっていたのだ。しかも、山崎洋子と仲睦まじそうに話をしている。思わず、唯香は柱の陰に身を隠した。話の内容がはっきりと聞こえるほどの近い場所から耳を傾けていたわけではなかったが、「岡崎さん」「成瀬」というキーワードは辛うじて聞き取ることができた。そもそも、第一営業課と第二営業課とは別階にある国際営業課の女性社員がわざわざ七階まで来てランチ女子会に加わること自体が不自然なのだ。やはり、山崎と一条は以前の勤務先である「扇重工」か「柊花大学」で、何らかの繋がりがあったのだろうと唯香は思った。

 ほぼ同時に席に着いた山崎に、唯香は、思い切って訊いてみた。

「ねえ、山崎さん」

「はい?」
 
 午後にやるべき仕事をチェックしていた山崎は、少し迷惑そうに唯香に顔を向けた。

「山崎さん、国際営業課の一条さんとお友達なの?」

「えっ? どうしてですか?」

「さっき、たまたま、第三会議室から出てくる山崎さんと一条さんをたまたま目にしたから」

「ええ……まあ……お友達というほどの仲ではないですよ。前の会社で、私、人事部に配属されていた時期もあったので……挨拶交わす程度の仲ですね。大学時代は接点なんてありませんでしたよ。一条さんは英文学科でしたし、成瀬さんもそうですけど、私みたいな地味な一学生が準ミスの一条さんと接点があるわけないじゃないですか」

 山崎は自嘲気味に嗤いながら言葉を付け足した。

「一条さん、国際営業課の女性社員たちと中々打ち解けることができないって悩んでいたから、私が、こちらのランチ会にお誘いしたんですよ。フロアは別階ですけど、同じ統括営業部の“社員”なんですから問題ないですよね?」

 そう言いながら、山崎は勝ち誇ったような笑みを口元に浮かべた。彼女が八角重工に派遣社員として入社してきた当初の唯香に対する慎ましやかな態度からは想像もできないほど尊大な態度に唯香は茫然とした。
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