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第二部
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昼間の仕事を終えた後に、週2日『スナック美沙』でホステスの仕事を熟す生活は唯香の想像以上にきつかった。掃除や洗濯などの開店準備などは苦ではなかったが、コミュニケーションが苦手な唯香にとって、接客は苦行以外の何者でもなかった。それでも、『スナック美沙』の開業者でありオーママの美沙さん、ママの美奈さん、チーママの美希の懇切丁寧な指導と、気さくで明るい常連客の人たちの優しさのおかげで、唯香のコミュニケーション能力は日に日に向上していった。
お客さんがいない時間帯は、美希が、唯香の職場における立ち回りや、唯香が関わりを避けることのできない社員の上手なあしらい方や個人情報を伝授してくれた。
「成瀬さんさあ、“美人の特権”って何だと思ってるぅ?」
「うーん……男の人に高級なバッグ買ってもらったり、美味しいゴハンをごちそうしてもらったり、出会いが多くて男が寄ってくるから選び放題とか、仕事でミスやらかしても許してもらえるとか、元がいいからメンテナンス代がかからないとか、かな?」
「うん、まあ、だいたい当たってるんだけどぉ……成瀬さん、今、自分で言ったこと自分に当てはまってるぅ?」
「いや、全然……(まあ、整形する必要性を感じたことはないけど)」
「そりゃそうだよぉ。だってさあ、成瀬さん、可愛げないもん!」
美希が吐き出したメンソールの煙草の紫煙が踊り子みたいにゆらゆらと舞い上がっていった。
「可愛げ?」
「そうそう! だってぇ、成瀬さん、怖い印象だもん。いつも眉間に皺寄せてて笑顔見せないしぃ、口調が強くて言いたいことズゲズゲ言うしぃ」
「そ……そう?」
唯香は、恐る恐る眉間を指でなぞってみた。
「そうだよぉ。成瀬さんさあ、美人は生きてるだけで大儲けなんて思ったら、アンタ、阿呆だわ! 本当、宝の持ち腐れ! この前も言ったけどぉ、もし私が成瀬さんの容姿だったら、今頃、世界中の女たちが嫉妬するようないい男つかまえて、悠々自適に暮らしてる自信あるけどねぇ。成瀬さん、ぶっちゃけ、私らブスより損してるじゃん? まあ、急にキャラ変えろって言われても、成瀬さんにもプライドとかポリシーとかあるだろうし、難しいかもしれないけどさ、“笑顔”くらいは、ちょっと心掛ければできるでしょ? まずは、まわりの人たちに笑顔で接することから始めようよ! 美人の笑顔は、ブスの笑顔の100倍威力あるんだからさぁ、これを使わない手はないでしょ?」
「そっかあ……ありがとう。まずは、自分の意識を変えることから始めないとだよね」
「あっ、ほらっ、お客さまいらっしゃったよぉ!」
ふたりは、笑顔を浮かべて、
「いらっしゃいませ」
と挨拶をした。美希の人懐っこい笑顔を見たお客さまの表情がほころんでいった。
「なんだ、可愛いじゃん」
唯香は、小声で呟いた。
お客さんがいない時間帯は、美希が、唯香の職場における立ち回りや、唯香が関わりを避けることのできない社員の上手なあしらい方や個人情報を伝授してくれた。
「成瀬さんさあ、“美人の特権”って何だと思ってるぅ?」
「うーん……男の人に高級なバッグ買ってもらったり、美味しいゴハンをごちそうしてもらったり、出会いが多くて男が寄ってくるから選び放題とか、仕事でミスやらかしても許してもらえるとか、元がいいからメンテナンス代がかからないとか、かな?」
「うん、まあ、だいたい当たってるんだけどぉ……成瀬さん、今、自分で言ったこと自分に当てはまってるぅ?」
「いや、全然……(まあ、整形する必要性を感じたことはないけど)」
「そりゃそうだよぉ。だってさあ、成瀬さん、可愛げないもん!」
美希が吐き出したメンソールの煙草の紫煙が踊り子みたいにゆらゆらと舞い上がっていった。
「可愛げ?」
「そうそう! だってぇ、成瀬さん、怖い印象だもん。いつも眉間に皺寄せてて笑顔見せないしぃ、口調が強くて言いたいことズゲズゲ言うしぃ」
「そ……そう?」
唯香は、恐る恐る眉間を指でなぞってみた。
「そうだよぉ。成瀬さんさあ、美人は生きてるだけで大儲けなんて思ったら、アンタ、阿呆だわ! 本当、宝の持ち腐れ! この前も言ったけどぉ、もし私が成瀬さんの容姿だったら、今頃、世界中の女たちが嫉妬するようないい男つかまえて、悠々自適に暮らしてる自信あるけどねぇ。成瀬さん、ぶっちゃけ、私らブスより損してるじゃん? まあ、急にキャラ変えろって言われても、成瀬さんにもプライドとかポリシーとかあるだろうし、難しいかもしれないけどさ、“笑顔”くらいは、ちょっと心掛ければできるでしょ? まずは、まわりの人たちに笑顔で接することから始めようよ! 美人の笑顔は、ブスの笑顔の100倍威力あるんだからさぁ、これを使わない手はないでしょ?」
「そっかあ……ありがとう。まずは、自分の意識を変えることから始めないとだよね」
「あっ、ほらっ、お客さまいらっしゃったよぉ!」
ふたりは、笑顔を浮かべて、
「いらっしゃいませ」
と挨拶をした。美希の人懐っこい笑顔を見たお客さまの表情がほころんでいった。
「なんだ、可愛いじゃん」
唯香は、小声で呟いた。
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