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第二部
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三号館前のベンチに人影が見えた。全身黒ずくめの女が、凍てつくような寒さに身をかがめていた。
「ずいぶんと懐かしい場所を指定してきたのね。あなた、そんなに愛校心が強いの?」
「まさか……大嫌いよ、こんな大学! ロクな思い出がないもの」
洋子が唯香を睨めつけながら言った。だらんと垂れ下がった灰色の雲からは今にも、雨か雪が落ちてきそうだった。
「アンタ、本当に私のことなんて憶えていないのね? ミスキャンになって天狗になっていた成瀬さんの記憶には、デブでブスな“高田洋子”のことなんて一欠けらも残ってないってわけ?」
「ごめん……ほんと、憶えてないのよ。それに、卒アルの“高田洋子”と今のあなた、同じ人に見えないんだけど」
「明日葉大学の院に入る前に、整形とダイエットをしたのよ。“人並みの容姿”にならないと“人並みの幸せ”も手に入らないと思ってね。まあ、アンタにはブスの気持ちなんて共感できないだろうけどね」
そう言って、洋子は自嘲気味に笑った。
「まあ、共感できるって言ったところで嘘くさくなるでしょうね。あなたが私を相当恨んでいるのは分かったけど、まさか、それだけが理由ってわけじゃないんでしょう?」
「アンタ、在学中所属していたゼミのこと憶えてる?」
「白石教授の『経済学史』だけど。この前卒アル見て気付いたんだけど、“高田さん”も同じゼミだったんでしょう? 憶えてなくてごめんなさいね」
「そうよ……ねえ成瀬さん、どうして、私が白石教授のゼミを選んだんだと思う?」
「はあ? そんなこと知るわけないでしょう?」
「ずいぶんと懐かしい場所を指定してきたのね。あなた、そんなに愛校心が強いの?」
「まさか……大嫌いよ、こんな大学! ロクな思い出がないもの」
洋子が唯香を睨めつけながら言った。だらんと垂れ下がった灰色の雲からは今にも、雨か雪が落ちてきそうだった。
「アンタ、本当に私のことなんて憶えていないのね? ミスキャンになって天狗になっていた成瀬さんの記憶には、デブでブスな“高田洋子”のことなんて一欠けらも残ってないってわけ?」
「ごめん……ほんと、憶えてないのよ。それに、卒アルの“高田洋子”と今のあなた、同じ人に見えないんだけど」
「明日葉大学の院に入る前に、整形とダイエットをしたのよ。“人並みの容姿”にならないと“人並みの幸せ”も手に入らないと思ってね。まあ、アンタにはブスの気持ちなんて共感できないだろうけどね」
そう言って、洋子は自嘲気味に笑った。
「まあ、共感できるって言ったところで嘘くさくなるでしょうね。あなたが私を相当恨んでいるのは分かったけど、まさか、それだけが理由ってわけじゃないんでしょう?」
「アンタ、在学中所属していたゼミのこと憶えてる?」
「白石教授の『経済学史』だけど。この前卒アル見て気付いたんだけど、“高田さん”も同じゼミだったんでしょう? 憶えてなくてごめんなさいね」
「そうよ……ねえ成瀬さん、どうして、私が白石教授のゼミを選んだんだと思う?」
「はあ? そんなこと知るわけないでしょう?」
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