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第三部
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山崎洋子が八角重工を退職してから職場環境は一変した。というより、彼女が八角重工に来る前の状態に戻ったといった方がしっくりするかもしれない。当然のことながら“山崎軍団”は解散。山崎が退職した本当の理由を知らない“山崎信者”は、突然の山崎の退職にショックを受け、腐ったキノコみたいにじめじめと湿っぽくなっていたが、二週間ほどでメンタル回復したらしく、誰も山崎の「ヤ」の字も言わなくなった。職場における人間関係ほど希薄なものはないと唯香は思った。少し変わったことと言えば、今まで、仕事ができる山崎に頼りっきりだった社員たち、特に若手社員の職務スキルが上がったこと。そして、唯香と高部美里愛との間に信頼関係ができたこと。まあ、結果オーライといったところか。
唯香に更なる試練が訪れたのは、「今日は真夏日となるでしょう」という天気予報を信じて半袖で出勤したら寒くて、「今日は真冬日となるでしょう」という天気予報を信じて、ニットを着て出勤したら暑くて汗が流れるような頃。冬から春へと季節が移ろいゆく中、天気も人間も実に不安定だった。
オフィスデスクの引き出しを開けると、薄黄色の封筒が入っていた。山崎信者の残党からだろうか? などと辺りの様子を警戒しながら封を開けると封筒と同じ薄黄色の便箋が一枚入っており、
―― 国際営業課の岡崎遼とは関わらないほうがいい
という一文が、便箋に穴があいてしまうのではないかと心配するほど力強い文字が書かれていた。
唯香に更なる試練が訪れたのは、「今日は真夏日となるでしょう」という天気予報を信じて半袖で出勤したら寒くて、「今日は真冬日となるでしょう」という天気予報を信じて、ニットを着て出勤したら暑くて汗が流れるような頃。冬から春へと季節が移ろいゆく中、天気も人間も実に不安定だった。
オフィスデスクの引き出しを開けると、薄黄色の封筒が入っていた。山崎信者の残党からだろうか? などと辺りの様子を警戒しながら封を開けると封筒と同じ薄黄色の便箋が一枚入っており、
―― 国際営業課の岡崎遼とは関わらないほうがいい
という一文が、便箋に穴があいてしまうのではないかと心配するほど力強い文字が書かれていた。
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