成瀬さんは世渡りが下手すぎる

喜島 塔

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第三部

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「うーん……唯香がそう言うんなら遠慮なく言うけどさあ……確かに、岡崎さんは魅力的だよぉ。でもさ、私、あの男には、何か得体の知れない怖さを感じるんだよねぇ。裏の顔をもってそうっていうかぁ。私は、彼にまったく相手にされなかったから、彼に関する情報はあまり持ってないんだけど、もしかしたら、この脅迫状の犯人は一条・山崎関係者以外の女っていう可能性も無きにしも非ずだよねぇ……モテる男を所有するってことはさぁ、どこぞの知らない女に藁人形つくられて心臓に五寸釘打ち込まれてもおかしくないってことなのぉ。それは、唯香自身、山崎洋子の怨念で身をもって体験したことでしょぉ? ていうか、タケルさん私の好みなんだけどぉ、唯香が要らないんだったら紹介してくれない?」

 冗談とも本気ともとれる美希の発言を聞いて、唯香は、ウヰスキー“山崎”を噴き出した。

「ちょっとー、そんなことしたら、美希がタケルの嫁に藁人形つくられちゃうからねっ!」

「冗談だってばぁ。確かに、タケルさんは私の好みだけどぉ、もう、男は懲り懲りだよぉー。私は、美玖ちゃんのママなんだから。美玖ちゃんに嫌われるようなことはしませんっ!」

 すっかり、立派なママの顔になった美希を見て、唯香は胸をなでおろした。

「あっ! そうだっ! 岡崎さんのことなら、私より、沙織に相談した方がいいかもっ!」
 美希が言った。

「“沙織”って、美希の浮気写真現場の画像を八角の全社員に送った、元総務部の若村沙織のこと?」

「そうだよぉ」

 そう言いながら、何事もなかったかのように、美希はケタケタと笑った。

「美希って、案外、寛大なのね」

 唯香は、感心したような呆れたような顔で言った。

「だって、私、沙織に恨み買われて当然なことしてきたもん。唯香だって、ざまぁって思ったでしょ?」

「うん、まあね。あの時は、私、美希のこと大っ嫌いだったし。ぶっちゃけ、ざまぁって思ったわ」

「あははっ! やっぱ、唯香って正直者だわっ。そういうとこ嫌いじゃないよぉ。でもさ、私、今でも腑に落ちないんだよねぇ」

 美希は眉間に皺を寄せて言った。

「何が腑に落ちないの? 若村さんに恨み買われて当然ってことは認めてるわけでしょ?」

「うん……それは、ぶっちゃけ認めてるし、沙織のことも不思議と恨んでないんだけどぉ……」

「じゃあ、何が気になるの?」

「私さあ、沙織とは同期入社で一時期は親友面して、よくつるんでたから、あの子のことはある程度わかるんだぁ」

「うん、それで?」

 唯香は、話を先に促すように相槌を打った。
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