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第三部
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「ごめんね……なんか、海外から来てくれた音楽仲間との打ち上げの途中に、ちょっと来るだけだから……どうしても、唯香ちゃんと栞ちゃんに会いたいって言ってきかなくて」
タケルは、両手の平をこすりあわせた。
「まあ、一流のピアニスト様にリクエスト曲弾いて頂いちゃったし、私も、お礼言わなきゃね」
渋々、唯香が承諾すると、栞が、
「お礼なら、コンシェルジュから彼女の元に届いている筈よ。そんなに多忙なら、わざわざ面識のない私たちに直接会いに来なくても……」
唯香を思い遣っての言葉だろう。栞は、言葉が強めなので誤解されがちだけれど、実は、すごく友達思いの子なのだ。そうこうしているうちに、テーブルの上のタケルのスマホがぶるぶると小刻みに震え出した。
「ふたりとも、本当にごめんね! せいらちゃん、今、お店の前に着いたって……」
唯香は、腰を浮かせたタケルを引き留め。
「ねえっ! 『警告状』のことは彼女に言わないで、上手く“かたやま”の情報を訊き出すのよ? わかった?」
「うん。わかったよ! 大丈夫! うまくやるから!」
そう言って個室を後にしたタケルを見て、栞が、
「本当に大丈夫かしら?」
と、心配そうに呟いた。
タケルは、両手の平をこすりあわせた。
「まあ、一流のピアニスト様にリクエスト曲弾いて頂いちゃったし、私も、お礼言わなきゃね」
渋々、唯香が承諾すると、栞が、
「お礼なら、コンシェルジュから彼女の元に届いている筈よ。そんなに多忙なら、わざわざ面識のない私たちに直接会いに来なくても……」
唯香を思い遣っての言葉だろう。栞は、言葉が強めなので誤解されがちだけれど、実は、すごく友達思いの子なのだ。そうこうしているうちに、テーブルの上のタケルのスマホがぶるぶると小刻みに震え出した。
「ふたりとも、本当にごめんね! せいらちゃん、今、お店の前に着いたって……」
唯香は、腰を浮かせたタケルを引き留め。
「ねえっ! 『警告状』のことは彼女に言わないで、上手く“かたやま”の情報を訊き出すのよ? わかった?」
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