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第三部
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「ところでさ、唯香ちゃんは、カナダに行って何がしたいの?」
「とりあえず、向こうの学校で語学力を磨きながら考えるわ」
「なんていうか、自由だね。俺が知っている唯香ちゃんは、バイトしかしたことがない売れないバンドマンだった俺から見たら、すごい真人間で……すごいなあって思う反面、真面目過ぎて……なんか、こう、窮屈そうに見えたんだ。ていうか、俺、あんなにたくさんの時間を唯香ちゃんと一緒に共有してたのに、唯香ちゃんが、そんな夢を持ってるなんて知らなかったよ。唯香ちゃん、俺に話したことあったっけ?」
「仄めかしたことはあるけど、ちゃんと話したことはないわよ。だって、すっかり忘れてたんだもの。あの日、タケルと一緒に『情熱人』をテレビで観るまではね」
「えっ? せいらちゃんが出てた番組のこと?」
「そうよ。彼女が、音楽活動で行く先々の国で、現地の人たちとその国の言葉で活き活きとコミュニケーションをとっている姿を見て思い出したのよ……私、高校時代、イギリスに短期留学したことがあるの。その時思ったの。将来は海外に移住して活躍してやるってね! その後、受験勉強が忙しくなって……第一志望の柊花大学に合格したら、なんかほっとしちゃって、将来のことなんて後で考えればいいじゃんって思って、遊んでばかりいたら、すっかり忘れちゃってたけどね。所詮その程度の思いつきみたいな夢だったのかもしれないけどさ……それでも、ちゃんと思い出してチャレンジしようって決心できたんだから、それでいいじゃない? そりゃ、35歳で海外留学とか不安がないって言えば嘘になるけど、人間なんて、いつ死んじゃうかわかんないんだから、なるべく悔いは残したくないじゃんねっ!」
そう語る唯香の瞳はきらきらと輝いていた。
「とりあえず、向こうの学校で語学力を磨きながら考えるわ」
「なんていうか、自由だね。俺が知っている唯香ちゃんは、バイトしかしたことがない売れないバンドマンだった俺から見たら、すごい真人間で……すごいなあって思う反面、真面目過ぎて……なんか、こう、窮屈そうに見えたんだ。ていうか、俺、あんなにたくさんの時間を唯香ちゃんと一緒に共有してたのに、唯香ちゃんが、そんな夢を持ってるなんて知らなかったよ。唯香ちゃん、俺に話したことあったっけ?」
「仄めかしたことはあるけど、ちゃんと話したことはないわよ。だって、すっかり忘れてたんだもの。あの日、タケルと一緒に『情熱人』をテレビで観るまではね」
「えっ? せいらちゃんが出てた番組のこと?」
「そうよ。彼女が、音楽活動で行く先々の国で、現地の人たちとその国の言葉で活き活きとコミュニケーションをとっている姿を見て思い出したのよ……私、高校時代、イギリスに短期留学したことがあるの。その時思ったの。将来は海外に移住して活躍してやるってね! その後、受験勉強が忙しくなって……第一志望の柊花大学に合格したら、なんかほっとしちゃって、将来のことなんて後で考えればいいじゃんって思って、遊んでばかりいたら、すっかり忘れちゃってたけどね。所詮その程度の思いつきみたいな夢だったのかもしれないけどさ……それでも、ちゃんと思い出してチャレンジしようって決心できたんだから、それでいいじゃない? そりゃ、35歳で海外留学とか不安がないって言えば嘘になるけど、人間なんて、いつ死んじゃうかわかんないんだから、なるべく悔いは残したくないじゃんねっ!」
そう語る唯香の瞳はきらきらと輝いていた。
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