元落ちこぼれ退魔師がゲームの世界から帰ってきました

若旦那

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帰還

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「それじゃあ少しだけ離れていてください」

 佐久間の掛け声に、二人は一歩だけ後ろに下がる。

「【収納箱 アイテムボックス】」

 十二の神器を集めたことにより、入手することが出来た白銀の便箋をアイテムボックスというコレクターと呼ばれる職業についたものだけが持つことが出来るスキルから白銀の便箋を取り出した。

「【使用ユーズ】」

 佐久間が発言したと同時に、白銀の便箋は瞬く間に輝きだし光の粒子となり消えた。
 そして、その代わりに天使…とう呼べば良いのか分からないが、翼の生えた人ならざるものが顕現した。

『汝が呼び出したのか?』
「ええ、間違いありません」
『我は最高神。望みを三つ叶えよう』

 最高神と名乗る彼女に佐久間は願いを言い放った。


「まず一つ目、私と後ろの2人を地球へ連れて行って欲しい」
『問題ない。その願い聞き届けた』
「では二つ目、彼女達二人に日本での生活に適応できるようにしてもらいたい。簡単に言うと日本語の理解や外見での迫害を受けないなどの事です」

 これは実体験ですが、やはり言葉が分からないと苦労をしますしこちらでは黒髪はあまりいいとは呼べない対象でしたからね。

『問題ない。その願い聞き届けた』
「では最後に、私のここで得た能力、及びアイテムを全て持って帰すこと」
『…問題ない。その願い聞き届けた』

 十二の神器、【楽園】での全てのレアアイテム。ノーマルアイテムもコンプリートしている佐久間。その全てを持って帰るのは、余りにも過剰戦力と言える。

『願いを全て叶えよう』

 最高神の言葉によって佐久間の近くに魔導陣が浮かび上がった。
 佐久間は魔王の娘と次期勇者の娘の手をにぎり、魔導陣の上に立つ。

「最高神さん。ここに連れてきていただいてありがとうございました」
『……』

 多分佐久間は嫌味のつもりで言ったわけではなかった。心の底からの言葉だったに違いはない。だが、最高神としても最悪の因果を佐久間に押し付けるような形になったことをよしとは思っていない。
 ここに呼んだのは気まぐれだった。選ばれた勇者とか、そんな大層な存在ではなかったはずだ。しかし、彼に背負わせてしまった。

 最高神は目を瞑る。
 自分が神として行った所業を。

『──我は正しいことをしたのか…』




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