2 / 7
2.クエストを引き受けよう
しおりを挟む
トール・ペルクナス将軍
古くから国の要ともいえる強大な武力に特化した一族。エリート中のエリート家系ではあるがペルクナス将軍は分家筋で、己の能力で将軍という地位まで上り詰めた努力家。先の戦争でも多くの武功をあげた。怒りの炎で体を纏い、ギフトである雷を使い戦場を駆け巡る姿はまるで雷獣のよう。
と以前、噂で聞いたことがある。
安直ではあるが将軍というくらいだし、多分ゴリマッチョだと思ってた。この街で最強の冒険者もゴリマッチョだし。
だから市場で見かける絵姿は、英雄を親しみやすくするため、ちょっと、いやだいぶ盛ったイケメン画かと思っていた。
いやでも、現実は奇なり。
サラサラの銀髪に切れ長の琥珀色の瞳。凛とした美貌が並ぶその顔に、親しみやすい柔らかい表情が妙に似合っていた。
誰がって、目の前にいるペルクナス将軍が。
------
若くて体が頑丈な女性募集というよくわからないクエストを達成するため、ペルクナス将軍の屋敷に向かうと使用人一同大歓迎ムード。
なぜだ、そんなに困っているのか?
門も廊下もピカピカ。柱とかもやたら彫ってあるし、歩いてるだけでちょっと緊張する。というかこの屋敷…無駄に広すぎない? 私ひとりで掃除しろとか言われたら、マジで泣くやつ。など無駄なことを考えつつ、長い長い廊下を進んだ先に一際豪華な扉があった。
私を案内してくれた初老の使用人は、扉をノックし「ギルドに依頼していた件で女性が来ましたのでお通しさせて頂きます」なんて渋い声で扉の向こうに話しかけた。
暫くすると「通せ」とこれまた綺麗な声が聞こえてきた。
豪華な扉を抜けるとどうやら仕事場のようで、大量の書類に埋もれている美男子がいた。
「トール様、今回依頼していた件を対応してくださるニア様です。ニア様、こちら依頼人であり我が主人のトール・ペルクナス将軍です」
使用人が依頼主に私を、私に依頼主を紹介した。
って、将軍自ら依頼を出したの?ただのハウスメイドの臨時職員の募集を?
やはり国の英雄となると、自分のテリトリーに入れる人間を自分で判断するのか…それはとってもいいことだとは思うが、そんな仕事まで自分で抱え込んでしまうとは顔に似合わず不器用な人なのかもしれない。
「トール・ペルクナスだ。君のような女性にこの依頼を受けて貰えた安心したよ。正直、こんな募集だともっと、その…もう少し…年季の入った人が来るかと思っていた。いや、まさかこんな若い人が来てくれるとは。」
年季の入った人?使用人は慣れた人の方が便利だと思うけど…お屋敷ごとにルールが違うだろうし、中途半端に知ってる人ってより、未経験者の方が教えやすいのかな?若い女性希望って書いてたし。
「あの仕事を受ける前に1つ質問したいのですがよろしいでしょうか?」
ハウスメイドで間違い無いだろうが、やけに報酬が高い。もし護衛や外部からのアタックを受け止められる戦闘系ハウスメイドを御所望の場合、申し訳ないが私には扱いきれない。一応確認せねばと思い質問を切り出すとペルクナス将軍は少し眉をあげ「なんだ?」と質問を聞く姿勢を見せてくれた。
「今回の依頼、高額な賞金が設定されています。その…ないとは思うのですが、攻撃系ギフトが必要な依頼ではないですよね?」
「あぁ、そのことか。勿論違う。もし第三者を攻撃する必要があるならば、ギルドに依頼せず自分で行った方が確実だし足がつかないからな。報奨金が高額なのは仕事への対価と、この依頼の内容を多言をしないようにという口止め費用が含まれているからだ」
一部過激な発言があったが、ペルクナス将軍は何事もないように穏やかに答えてくれた。
口止め料か…たしかに天下の大将軍家で見たこと聞いたこと知ったことをベラベラと言いふらせては問題だろうし。
金額は私の今まで受けていたショボくれたクエストに比べたら天と地ではあるが、将軍家からしたら端金なのかもしれない。
「人のお世話をするのは初めてなもので慣れておらず、ご迷惑をお掛けする事が多々あるとは思いますが、精一杯勤めさせて頂きますので宜しくお願いします」
ならば受けるしかないだろう。
憧れの安心安全なお仕事、かつ高額報償!私そういうお仕事大好きです!!
嬉しくて思わずニコニコしてしまったらしく、そんな私にペルクナス将軍は少しほっとしたように右手を差し出しながら
「本来なら、こんなことは誰かに頼むべきではないのだろう。だが今の私には、それを以外の道がない。どれだけの間になるかはわからんが、宜しく頼む」
と手を差し出してきた。
シェイクハンド!
こんな友好的な将軍のもとで、ハウスメイド!なんて素敵なのだろう!!
こちらこそ宜しくお願いします!
そんな気持ちを込めて将軍の右手を強く握りしめた。
将軍の手は剣を握る手で少しゴツゴツしており、少し思ったより暖かかった。
そう思ったのも束の間、ビリッ、という軽い音がした。直後、脳が焼き切れるような衝撃が全身を貫いた。肉が焦げる匂いが鼻を突き、視界が白く染まる。
あ、これ死んだ…
そこで私の意識は途切れた。
古くから国の要ともいえる強大な武力に特化した一族。エリート中のエリート家系ではあるがペルクナス将軍は分家筋で、己の能力で将軍という地位まで上り詰めた努力家。先の戦争でも多くの武功をあげた。怒りの炎で体を纏い、ギフトである雷を使い戦場を駆け巡る姿はまるで雷獣のよう。
と以前、噂で聞いたことがある。
安直ではあるが将軍というくらいだし、多分ゴリマッチョだと思ってた。この街で最強の冒険者もゴリマッチョだし。
だから市場で見かける絵姿は、英雄を親しみやすくするため、ちょっと、いやだいぶ盛ったイケメン画かと思っていた。
いやでも、現実は奇なり。
サラサラの銀髪に切れ長の琥珀色の瞳。凛とした美貌が並ぶその顔に、親しみやすい柔らかい表情が妙に似合っていた。
誰がって、目の前にいるペルクナス将軍が。
------
若くて体が頑丈な女性募集というよくわからないクエストを達成するため、ペルクナス将軍の屋敷に向かうと使用人一同大歓迎ムード。
なぜだ、そんなに困っているのか?
門も廊下もピカピカ。柱とかもやたら彫ってあるし、歩いてるだけでちょっと緊張する。というかこの屋敷…無駄に広すぎない? 私ひとりで掃除しろとか言われたら、マジで泣くやつ。など無駄なことを考えつつ、長い長い廊下を進んだ先に一際豪華な扉があった。
私を案内してくれた初老の使用人は、扉をノックし「ギルドに依頼していた件で女性が来ましたのでお通しさせて頂きます」なんて渋い声で扉の向こうに話しかけた。
暫くすると「通せ」とこれまた綺麗な声が聞こえてきた。
豪華な扉を抜けるとどうやら仕事場のようで、大量の書類に埋もれている美男子がいた。
「トール様、今回依頼していた件を対応してくださるニア様です。ニア様、こちら依頼人であり我が主人のトール・ペルクナス将軍です」
使用人が依頼主に私を、私に依頼主を紹介した。
って、将軍自ら依頼を出したの?ただのハウスメイドの臨時職員の募集を?
やはり国の英雄となると、自分のテリトリーに入れる人間を自分で判断するのか…それはとってもいいことだとは思うが、そんな仕事まで自分で抱え込んでしまうとは顔に似合わず不器用な人なのかもしれない。
「トール・ペルクナスだ。君のような女性にこの依頼を受けて貰えた安心したよ。正直、こんな募集だともっと、その…もう少し…年季の入った人が来るかと思っていた。いや、まさかこんな若い人が来てくれるとは。」
年季の入った人?使用人は慣れた人の方が便利だと思うけど…お屋敷ごとにルールが違うだろうし、中途半端に知ってる人ってより、未経験者の方が教えやすいのかな?若い女性希望って書いてたし。
「あの仕事を受ける前に1つ質問したいのですがよろしいでしょうか?」
ハウスメイドで間違い無いだろうが、やけに報酬が高い。もし護衛や外部からのアタックを受け止められる戦闘系ハウスメイドを御所望の場合、申し訳ないが私には扱いきれない。一応確認せねばと思い質問を切り出すとペルクナス将軍は少し眉をあげ「なんだ?」と質問を聞く姿勢を見せてくれた。
「今回の依頼、高額な賞金が設定されています。その…ないとは思うのですが、攻撃系ギフトが必要な依頼ではないですよね?」
「あぁ、そのことか。勿論違う。もし第三者を攻撃する必要があるならば、ギルドに依頼せず自分で行った方が確実だし足がつかないからな。報奨金が高額なのは仕事への対価と、この依頼の内容を多言をしないようにという口止め費用が含まれているからだ」
一部過激な発言があったが、ペルクナス将軍は何事もないように穏やかに答えてくれた。
口止め料か…たしかに天下の大将軍家で見たこと聞いたこと知ったことをベラベラと言いふらせては問題だろうし。
金額は私の今まで受けていたショボくれたクエストに比べたら天と地ではあるが、将軍家からしたら端金なのかもしれない。
「人のお世話をするのは初めてなもので慣れておらず、ご迷惑をお掛けする事が多々あるとは思いますが、精一杯勤めさせて頂きますので宜しくお願いします」
ならば受けるしかないだろう。
憧れの安心安全なお仕事、かつ高額報償!私そういうお仕事大好きです!!
嬉しくて思わずニコニコしてしまったらしく、そんな私にペルクナス将軍は少しほっとしたように右手を差し出しながら
「本来なら、こんなことは誰かに頼むべきではないのだろう。だが今の私には、それを以外の道がない。どれだけの間になるかはわからんが、宜しく頼む」
と手を差し出してきた。
シェイクハンド!
こんな友好的な将軍のもとで、ハウスメイド!なんて素敵なのだろう!!
こちらこそ宜しくお願いします!
そんな気持ちを込めて将軍の右手を強く握りしめた。
将軍の手は剣を握る手で少しゴツゴツしており、少し思ったより暖かかった。
そう思ったのも束の間、ビリッ、という軽い音がした。直後、脳が焼き切れるような衝撃が全身を貫いた。肉が焦げる匂いが鼻を突き、視界が白く染まる。
あ、これ死んだ…
そこで私の意識は途切れた。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?
夕立悠理
恋愛
もうすぐ高校一年生になる朱里には、大好きな人がいる。義兄の小鳥遊優(たかなしゆう)だ。優くん、優くん、と呼んで、いつも後ろをついて回っていた。
けれど、楽しみにしていた高校に入学する日、思い出す。ここは、前世ではまっていた少女漫画の世界だと。ヒーローは、もちろん、かっこよくて、スポーツ万能な優。ヒロインは、朱里と同じく新入生だ。朱里は、二人の仲を邪魔する悪役だった。
思い出したのをきっかけに、朱里は優を好きでいるのをやめた。優くん呼びは、封印し、お兄ちゃんに。中学では一緒だった登下校も別々だ。だって、だって、愛しの「お兄ちゃん」は、ヒロイン様のものだから。
──それなのに。お兄ちゃん、ちょっと、距離近くない……?
※お兄ちゃんは、彼氏様!!……だよね? は二人がいちゃついてるだけです。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
妻が通う邸の中に
月山 歩
恋愛
最近妻の様子がおかしい。昼間一人で出掛けているようだ。二人に子供はできなかったけれども、妻と愛し合っていると思っている。僕は妻を誰にも奪われたくない。だから僕は、妻の向かう先を調べることににした。
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる