NEVER☆AGAIN~それは運命の出会いから始まった~

ハルカ

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第15章『組織』

5話

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 1時間程歩いた所でイズミが突然立ち止まった。
 並んで歩いていたタクヤは一歩先に進んだ所で気が付き、自分も足を止める。
「イズミ?」
 どうしたのかとイズミを振り返り声を掛けた。
「…………」
 しかし、イズミからの返事はない。俯き加減に何やら難しい表情をしている。
 カイの話は終了し、いつものように他愛もない話をイズミ以外の3人でしていた。イズミが静かなのはいつものことなので気にしていなかったのだが。
「何か悩んでんのか?」
 イズミの横に並ぶとそっと顔を覗き込む。
 もしかしたら、アスカのことを知って辛くなってしまったのではないかと考える。
 何も言ってはいなかったが、元々イズミはそういったことを何も話さない。
「……カイ、組織の場所というのはどこにあるんだ?」
 顔を上げると、イズミはタクヤにではなく後ろのカイに向かって問い掛けた。
「え?」
 無視されたからではなく、イズミの言葉に動揺した。
 なぜそんなことを言い出したのか。
 嫌な予感がする……。
「組織の本部の場所は分からない。俺がいたのは研究所だったからね。その場所なら分かるよ。……もしかしてイズミ、行こうとしてる?」
 少し後ろで立ち止まっていたカイは、イズミの問い掛けに厳しい顔で問い返す。
 嫌な予感が的中した。
「イズミっ!」
 ぎょっとして思わず声を上げてしまった。
 まさか、アスカに会いに行こうとしているのか?
 するとイズミはタクヤを見ることなく淡々と話し始めた。
「アスカに会って、確かめたいことがある。それに、俺が行けば、奴らもお前たちには手を出さなくなるかもしれない」
「ダメだっ! 何言ってるんだよっ! アスカに会いたいのは分かるけど、そんなの危険すぎるっ! もっとちゃんと調べてからでも――」
「そんな時間はない。ここ最近のことを考えると、奴らはすぐにでもまた何か仕掛けてくるだろう。俺ひとりであれば、たとえ捕まったとしても逃げる手段はある」
 慌てて止めるタクヤを睨み付けるようにして見上げたが、イズミはすぐに顔を逸らし、淡々と続けた。
「…………」
 返す言葉が見つからなかった。確かにイズミであれば魔法が使える。捕まったとしても、初めて会った時のように消えて移動することができるのかもしれない。しかし――。
「やっぱりダメだ……だって、アスカだってその研究所に閉じ込められてるんだろ? イズミと同じ力を持ってるはずのアスカが逃げられないってことは――」
「俺ひとりで行く」
 不安な顔で必死に話すタクヤを遮るようにイズミが答える。
「……気持ちは変わらないみたいだね。ずっとそれを考えていたんだろ? 分かった。俺が案内しよう」
 ふぅっと溜め息を付き、カイがイズミに向かって話した。
「だったら俺も行くっ!」
 強い口調で口を挟む。
 カイが一緒だとしても、このままイズミを行かせたくはない。
「ダメだ」
 しかし再びイズミが睨み付けるように見上げてきた。
 その返事に思わずカッとなる。
「なんでだよっ!」
「カイも来なくていい。場所だけ教えてくれ」
 タクヤの言葉を無視してイズミはカイを振り返る。
「いや、俺も行くよ。イズミひとりで行くよりも、俺が連れてきたという方が怪しまれないだろう。忍び込むことも正面突破もできないだろうからね。……ほんとは、リョウから離れたくはないんだけど……ということで、タクヤはリョウを守って」
 再び溜め息を付きながらカイが答える。そしてリョウを見下ろした後、じっとタクヤを見つめた。
 タクヤがイズミのことを心配するように、カイもまた、リョウのことが心配なのだろう。
「…………」
 カイの言葉に再び返す言葉が見つからなかった。
 自分が行ったところでなんの力にもなれないことは分かっている。それに、リョウを危険な目に遭わせたくないのはタクヤも同じだった。
 ちらりとリョウの顔を見ると、困った顔でカイを見上げている。
 それに気が付いたカイがふとリョウを見下ろし、そっと頭を撫でた。
「リョウ、俺はちゃんと戻ってくるから……待っててくれるよね?」
「……カイ兄……」
 泣きそうな顔になりながらも、リョウもまた、それ以上何も言わなかった。
 リョウもきっと、自分が足手まといになるとでも考えているのだろう。
「……じゃあ、ここからは二手に分かれよう。俺とイズミは研究所に向かう。タクヤとリョウは――」
「分かった。じゃあ、俺とリョウは俺の師匠の所にこのまま向かう。だいぶ近付いてきてると思うし。もし、師匠が無事ならリョウを預けて俺も合流する。カイ、俺にも研究所の場所を教えてくれ」
 カイが話す途中でそう話した。
 本当はイズミから離れたくはなかったが、止められないのなら、自分はできることをするだけだ。
「……分かった。イズミ、いいよね?」
 頷きながらもカイは念の為イズミに確認を取る。
「あぁ……だが、お前の師匠が無事で、リョウの安全が保障できる場合のみだ。それ以外は絶対に来るな。いいな?」
 イズミは溜め息を付きながら頷く。そしてタクヤをじっと見上げ、強い口調で言い聞かす。
「分かった、約束する。でも、イズミも危なかったらすぐに逃げるんだぞ? 無茶はするなよ……絶対に」
 そう言ってイズミの右手をぎゅっと両手で掴んだ。
 本当はこの手を離したくはない。ずっと一緒にいたい。自分がイズミを守りたい。
 しかし、今の自分にはそれだけの力がない。
 無力な自分が悔しくて堪らなかった。
「…………」
 嫌がることなくイズミはじっと掴まれた右手を見つめている。
「リョウ。必ず迎えに行くから……待ってて」
 ふたりの様子を見ていたカイは、リョウに向き直ると引き寄せぎゅっと抱き締めた。
 そしてそっと髪を撫でる。
「うん……カイ兄も無理しないでね。ちゃんと帰ってきてね。約束だからね」
 ぐすっと涙ぐみながらリョウが答える。そしてぎゅっとカイを抱き締め返す。
「もちろんだよ、約束する。絶対だ」
 そう言ってカイも更に強くリョウを抱き締めた。
「じゃあ、イズミ。行こう」
 そっとリョウを離すと、カイはイズミを振り返る。
「あぁ」
 真剣な表情になり、イズミもタクヤの手を離しカイを見る。
「イズミっ!」
 思わずタクヤがイズミの腕を掴み、抱き締めた。
 頭と背中をぎゅっと引き寄せる。
「絶対に、また会えるよな?」
 自分の頭をそっとイズミの頭に当て、囁くように問い掛ける。
「……あぁ」
 そう言ってイズミもタクヤを抱き締め返した。
 これは一時的な別れだ。きっとまた会える。必ず……。
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