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グラゴリ暦 764年

だれか、、だれか助けて………
苦しい。くるしいよ…………


成す術もなくただ男の子が水に沈んでいく中、誰かがぐっと男の子の手をつかんだ。


待って。たすけるから。  まって。


男の子が虚ろな目で、自分の手に重ねられたその手を見ると自分より少し小さな手が見える。

ゆっくりと視線をずらすと自分よりいくつか小さいくらいの女の子。
水の中なのに、なぜか鮮明に聞こえる女の子の声。

必死に自分を引っ張りあげようと、してくれているのがわかる。

だけど、この子に自分を助けられるはずがない。


だめだよ。もういいからきみだけでも上に………


そう言いたいのにもう身体に力は入らず、水の中で喋ることもできない。


ごめん。。ごめん……………







「………さまっ!!…………さまっ!!!!!!

大丈夫ですか?誰か!!医者を!!!」



「グッ!ガハッ…ゴホッ、、ゴホッ……ハッ…ハァッ、ハァッ、ハァ………

ぼ、ぼく…….…どうして…」


「ジョシュアさまっ!意識が!!
池におちられたようです。気づいた時にはご自身でこちらに這い上がられたようで、ご無事で本当にようございました」

「池に?……
そっか…確かに苦しくて苦しくて……

でもどうやって……池の中でもがいたらどんどん身体が沈んでいって………

っっっっ!!!!


あの娘!?あの娘は!???」


「落ち着いてください。興奮されてはお身体にさわります。
しかしあの子とは?」


「女の子が!!女の子が水の中で僕を助けようと手を引っ張ってくれたんだ!!
あの子は?もしかしてまだ中に!?
早く!!早く彼女を助けてっ!!」


「女の子?側には誰もおりませんでしたよ」


男の子と男の話を聞きながら、男の子を診ていた医者が口を開いた。

「申し訳ございません。
興奮されてはお身体に障りますのでしばしこちらで…」


医者が男の子の口にハンカチを当てると、男の子はすっと眠りについた。

翌日目を覚ました男の子は昨日と同様に女の子が自分を救ってくれたと訴えたが、誰もそのような女の子は見ておらず、念の為男の子が落ちた池も念入りに探ったが、女の子の姿は見当たらず誰もが朦朧とする意識の中で見た幻だったのだろうと考えたのだった。




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