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私の物語
取り調べの結果。
シャリルンは共犯として認定された。罪状は――人身売買への関与、共謀、誘導工作刑罰は、終身拘束刑(修道院監禁)だが、それはかつての修道院ではない。外界との接触を断たれた、監視付き施設。誰も操ることのできない場所だった。
クラリモンドも疑われた。だが――彼は無実だった。シャリルンは供述で、彼を共犯だと主張した。しかし、犯行が行われた日はすべて、クラリモンドには明確な外出記録があった。
理由はどれもシャリルンの要望――
「菓子が食べたい」
「花が欲しい」
そんな、取るに足らないものばかり。共犯者の証言によれば「シャリルンが男爵はいても ”邪魔”なだけ” だからといっていた、と」だからこそ、意図的に外へ出していたのだという。皮肉にも、それが彼の無実を証明した。関与することすら、できなかったのだ。
だが――それで終わりではない。
マリアが去ってからの二か月。
領地経営は、崩壊寸前にまで追い込まれていた。本来であれば三か月は問題ないはずだった。マリアが整え、残していったからだ。だが、クラリモンドはそれを活かすことができなかった。結果は――惨憺たるものだった。そして、判断は下される。
「領主としての資質に欠ける」
その一言で、すべてが決まった。クラリモンドは領主の座を失い、その地位は遠縁の者へと引き継がれることとなった。
数日後。
マリアは正式に離縁を受理された。ほっとしたように表情を緩めるマリアに、侯爵が静かに言う。
「どうしますか?このまま我が家に来るという選択肢もあります。私はいつでも大歓迎です」
マリアは少し考え、微笑んだ。
「ありがとうございます。ですが今はまだ、自分の足で立っていたいのです。少し休んで、そのあと実家の領地経営を手伝います」
侯爵は、満足そうに頷いた。
「そうですか、あなたがそれを望むならそれがいい」
マリアは空を見上げる。もう、誰かの物語ではない。 これは――
「私の物語ですから」
風が、やわらかく吹いた。
------------ 完 ----------------
シャリルンは共犯として認定された。罪状は――人身売買への関与、共謀、誘導工作刑罰は、終身拘束刑(修道院監禁)だが、それはかつての修道院ではない。外界との接触を断たれた、監視付き施設。誰も操ることのできない場所だった。
クラリモンドも疑われた。だが――彼は無実だった。シャリルンは供述で、彼を共犯だと主張した。しかし、犯行が行われた日はすべて、クラリモンドには明確な外出記録があった。
理由はどれもシャリルンの要望――
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そんな、取るに足らないものばかり。共犯者の証言によれば「シャリルンが男爵はいても ”邪魔”なだけ” だからといっていた、と」だからこそ、意図的に外へ出していたのだという。皮肉にも、それが彼の無実を証明した。関与することすら、できなかったのだ。
だが――それで終わりではない。
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その一言で、すべてが決まった。クラリモンドは領主の座を失い、その地位は遠縁の者へと引き継がれることとなった。
数日後。
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「ありがとうございます。ですが今はまだ、自分の足で立っていたいのです。少し休んで、そのあと実家の領地経営を手伝います」
侯爵は、満足そうに頷いた。
「そうですか、あなたがそれを望むならそれがいい」
マリアは空を見上げる。もう、誰かの物語ではない。 これは――
「私の物語ですから」
風が、やわらかく吹いた。
------------ 完 ----------------
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