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慰謝料を請求するわ!

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お店の最初のお客様として、以前男爵家のお菓子を出して失敗に終わったお茶会にいたメンバーを中心にプレオープンの日にご招待致しました。ご婦人方だけでなく、要望があればご主人も同伴可能と招待状を出したところ想像以上の人数で、プレオープンは立食タイプとなりました。ですが、全員が美味しいと召し上がられ、お土産もとても喜んでくださいました。

来てくださったご婦人とお母様がお話しているときに
『見た目はあの時のお菓子に似ているから、正直食べるのを迷ってしまったのだけれど、まったく違う味で驚きよね。こんなに美味しいお菓子だったなんて。もしかしてあのお菓子はいやがらせだったのかしら』と言われてしまって、困ってしまったと言っていましたわ。確かに男爵家がわざわざ嫌がらせをして回るだなんてことがあったら驚きですよね。


そんなこんなで無事オープンを迎え、2週間が経ったとき、店内でいつもと違う騒がしさを感じます。

今日は私は学校がお休みの為、厨房奥にて、お菓子作りのお手伝いをしております。

この店を出すにあたり、私が作っているなんてわかると絶対に転生者だとバレてしまいます。そのため、隣国にいるお父様の友人に名義をお借りして、お店をオープンしたのです。

だから私は厨房の中から見つからないようにこっそりとのぞき穴で店内を確認します。

おっと……ピンク…そして金髪……その後ろに見えるのはステジア男爵ね……

店内に入ってすごい剣幕でなにかを喚いています。

「ちょっと!!このお菓子を作った人を呼んで来てください!これは私が考えたお菓子です!それなのにこんな風に勝手によその店で出すなんて、こんなの盗作です!慰謝料を請求するわ!!!」

「そうだ!!私の娘が考え出したお菓子はすでにお茶会でもお披露目してある。それなのに勝手に店なんかで商品にしおって!!責任者を出せ!!!」


やっぱりそう来るわよね。

私はどうしようかと思いながらも、なにかに備えて、ドレスに着替えます。

着替え終わると店の中でまた何か聞こえてきました。

「これはこれは殿下。そしてステジア男爵。ごきげんよう。ここは私の友人の店だがなにか用でしょうか。私の友人は隣国にいるので、なにかあったときの責任者は私になっております。今日はたまたま妻と息子と一緒に足を運んでおりましたが、なにか不都合でもありましたか」

おっと、お父様登場。

しかもお貴族様仕様のお父様。このお父様の相手は大変ですよ…

「サルゴレット公爵閣下、そうですか。閣下のご友人のお店でございましたか。しかし、そうであっても盗作は立派な罪です。当家で商売を本格的に始めようとしていた矢先の出来事でした。いくら閣下のご友人としてもこれは看過出来ません!私たちは正式に抗議させて頂きます。」

男爵、強気ですね。よっぽどこの商売にかけていたのでしょうか。

「そうだ。公爵。このお菓子はナターシャが考え出した素晴らしい商品だ。それを真似て勝手に販売しているこの店は営業停止にすべきである。その命令の為に私が直々に来たのだ」

あら、王子。久しぶりにお見かけしましたが、馬鹿さ炸裂ですね。
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