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救いようのない馬鹿

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「シルヴィア、これ美味しいよ!!なんかんーーーってのばして食べるのも楽しいし、それにこれ食べると身体がぽかぽかになる気がする!」

ティンキーが可愛らしくそう言います。

ちょっと甲高いような可愛い声……これこれ、私の想像の中の妖精の声はこんな声なんです。今となってはぴょん吉の声も聞きなれましたが、萌え萌えキュンキュンするのはこんな声ですよね!

特にんーーっ!!てところがたまらなく可愛い……

はっ、いけない。どこか思考が飛んで行っていました。

まぁ、とりあえず、今は妖精たちが全員に見えているということです。

そのことについて話してみると、とりあえずお菓子関係を食べさせると力が戻るのかもしれないという話になりました。ティンキーにきいても今まで食べ物を口にするということはほとんどなかったそう。でも何度かは人間の真似をして果物を口に入れてみたこともあったそうです。それでもこんなことにはならなかったと言っています。

なら可能性としてはやはりお菓子ですね。

だからティンキーも今後我が家でお菓子を一緒にたべるということになりました。
気の向いたときでもいいからお菓子を食べにおいでというと、仲間もいるから一緒にいたいと言うことで、二人ともの生活拠点となりました。

妖精とのこんな可愛らしい触れ合いがあったのですが、お父様たちに王子の話も報告しました。市場であったこと。ヒロインと一緒にいたこと。ヒロインのお菓子が売られていたこと。

お父様たちもとても驚いていました。
そしてすぐに調べると言ってくれました。

そして2日後。お父様たちの調べでわかったのは……王子は教師の目を抜け出し、ヒロインに会いに行っているようです。
ヒロインに関しては、平民街に少し大きな屋敷を持ち、3人の使用人をつけて暮らしているのだそう。その費用は王子が払っているんですって。もはや救いようのない馬鹿ね。
でもその屋敷にはヒロインしかいないらしく、元男爵はあのパーティーの後、消息を立ったままなのだそうです。

そして、あのお菓子は元男爵に雇われていた一人を連れて来て、作り、ばれないように平民街で売っていたようです。でも平民街で食べ物を売るときは試食できるのもウリの一つ。それができないあの商品は全然売れていないんですって。

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