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6.神殿からの使者
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それから3日間キュリールはカダールと普段通り過ごした。
そして約束通り3日後、伯爵家には神殿からの使者がやってきた。
その場にはキュリールとキュリールの両親キジョルとブレンダ、そしてカダールがいた。カダールに関しては今日この場にいるようにとだけ伝えられ、内容は把握していなかったので、神殿からの使者がやってきて驚いていた。
全員が広間に揃ったところで神殿の使者が話し始める。
「本日をもってお2人キュリール・タンゼットとカダール・タンゼットの離縁が認められたことを報告いたします」
「は?どういうことだ?私は離縁などするつもりはない!」
使者の言葉を聞き、カダールはいやいやと頭を振った。
しかしその言葉を父キジョルが制する。
「静かにしなさい。
この方々も暇では無いのだ。話の途中に口を挟まぬよう。
大変失礼いたしました。続きをどうぞ」
「コホン、では。
伯爵家当主の申告により、お2人の婚姻関係は本日をもって破棄されました。理由は婿殿カダールの不貞によるものと認めます。
そのため離縁条件は伯爵家当主の望む所になります。
その内容がこちら。
・婿殿は本日をもって伯爵家を出ていくこと。
・その際愛人も共に連れて行くこと
・慰謝料等の要求は一切しない。代わりに伯爵家所有のもの、または伯爵家の資産で購入したものは何一つ持ち出さないこと。
以上がタンゼット家当主からの要求です。
私どもも多くの離縁に関わってきましたが、これほど欲のない要求は見たことがございません。
婿殿はご当主に感謝すべきだと思いますよ」
使者は感謝すべきだとカダールに語りかけるがその言葉に頷くことはない。
なぜなら彼は離縁するつもりなどないのだから。
「ちょっと待ってください、どうして私とキュリールの離縁が成立することになるのですか?不貞って、愛人のことが原因なら愛人は法律として認められています。私はそれに適した事しかしておりません」
まるで自分が正しいというように胸を張ってそういうカダール。
キュリールの両親は今にも殴りつけそうな顔で彼を見ているというのに気づかないのか。
「それはあなたに承認されている愛人の他に愛人がおり、それが不貞行為と見なされるからですよ」
使者のその言葉に一瞬で自信満々の顔が崩れた。
「な、なんの話ですか?」
その言葉にキジョルが反応し、書類をカダールの前に散らした。
「こちらの話だよ。
我が家に断りもなく愛人なんて連れてきただけでも腹立たしいのに、外でも愛人を作っていたなんてな。
だがそのおかげでこうして離縁することもできるんだ」
カダールは目の前に散らばる書類を見て、先ほどまでの自信満々の顔は鳴りを潜め、顔が真っ青になっていく。
「ち、違う、
彼女は愛人なんかでは……」
「そうよ。お父様、彼女を愛人だなんて言ってはいけないわ」
思わぬ言葉にカダールは伏せていた顔をあげ、キュリールを見つめた。
その顔は女神でも見つめるような顔で、キュリールは同意するのだと疑わない顔に変化した。
「キュリール!!そう!!そうなんだ!!君ならわかってくれると思っていた。
どうせ離縁も両親に無理強いされただけなんだろう。僕は君を愛して「お父様、彼女はこの人の真実の愛の相手なのよ。そんな人が愛人でなんてあるわけないじゃない」
…………キュ、キュリール?………なにを言って」
そして約束通り3日後、伯爵家には神殿からの使者がやってきた。
その場にはキュリールとキュリールの両親キジョルとブレンダ、そしてカダールがいた。カダールに関しては今日この場にいるようにとだけ伝えられ、内容は把握していなかったので、神殿からの使者がやってきて驚いていた。
全員が広間に揃ったところで神殿の使者が話し始める。
「本日をもってお2人キュリール・タンゼットとカダール・タンゼットの離縁が認められたことを報告いたします」
「は?どういうことだ?私は離縁などするつもりはない!」
使者の言葉を聞き、カダールはいやいやと頭を振った。
しかしその言葉を父キジョルが制する。
「静かにしなさい。
この方々も暇では無いのだ。話の途中に口を挟まぬよう。
大変失礼いたしました。続きをどうぞ」
「コホン、では。
伯爵家当主の申告により、お2人の婚姻関係は本日をもって破棄されました。理由は婿殿カダールの不貞によるものと認めます。
そのため離縁条件は伯爵家当主の望む所になります。
その内容がこちら。
・婿殿は本日をもって伯爵家を出ていくこと。
・その際愛人も共に連れて行くこと
・慰謝料等の要求は一切しない。代わりに伯爵家所有のもの、または伯爵家の資産で購入したものは何一つ持ち出さないこと。
以上がタンゼット家当主からの要求です。
私どもも多くの離縁に関わってきましたが、これほど欲のない要求は見たことがございません。
婿殿はご当主に感謝すべきだと思いますよ」
使者は感謝すべきだとカダールに語りかけるがその言葉に頷くことはない。
なぜなら彼は離縁するつもりなどないのだから。
「ちょっと待ってください、どうして私とキュリールの離縁が成立することになるのですか?不貞って、愛人のことが原因なら愛人は法律として認められています。私はそれに適した事しかしておりません」
まるで自分が正しいというように胸を張ってそういうカダール。
キュリールの両親は今にも殴りつけそうな顔で彼を見ているというのに気づかないのか。
「それはあなたに承認されている愛人の他に愛人がおり、それが不貞行為と見なされるからですよ」
使者のその言葉に一瞬で自信満々の顔が崩れた。
「な、なんの話ですか?」
その言葉にキジョルが反応し、書類をカダールの前に散らした。
「こちらの話だよ。
我が家に断りもなく愛人なんて連れてきただけでも腹立たしいのに、外でも愛人を作っていたなんてな。
だがそのおかげでこうして離縁することもできるんだ」
カダールは目の前に散らばる書類を見て、先ほどまでの自信満々の顔は鳴りを潜め、顔が真っ青になっていく。
「ち、違う、
彼女は愛人なんかでは……」
「そうよ。お父様、彼女を愛人だなんて言ってはいけないわ」
思わぬ言葉にカダールは伏せていた顔をあげ、キュリールを見つめた。
その顔は女神でも見つめるような顔で、キュリールは同意するのだと疑わない顔に変化した。
「キュリール!!そう!!そうなんだ!!君ならわかってくれると思っていた。
どうせ離縁も両親に無理強いされただけなんだろう。僕は君を愛して「お父様、彼女はこの人の真実の愛の相手なのよ。そんな人が愛人でなんてあるわけないじゃない」
…………キュ、キュリール?………なにを言って」
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