選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ

暖夢 由

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47.裁判所へ

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こんな話をしながら、しばらくして私たちは話を再開した。
簡単にフランク祖父様、イサベル祖母様にこれまでの経緯とこれからの計画を話す。

私たちはもちろんこれまでいろんなことを想定し、集められるだけの証拠を集め、裁判を開いてもらえるよう依頼をした。
しかし判決内容に関しては当たり前だが口出しできない。

そんなこと誰にもできないのだ。

アミおば様も旦那様に判決内容のお願いすることはできないと最初に言ってくれた。
もちろんそんなことをお願いするつもりはなかった。ただ正当に裁いて欲しいと思っただけ。

母が殺された。私が毒を盛られていた。ヨランダとアルバが子爵家を自分たちの都合よく動かそうとしていた。そのことについてただ公正に裁いて欲しいとそう願っただけ。

それを話すとイサベル祖母様もフランク祖父様もその通りだと力強く頷いてくれた。そしてどうかそのまま進めて欲しいと。

きっと祖父様と祖母様にとっては辛い状況になるだろう。家族が、しかも実の息子が裁かれなければならないなんて。それでもこうやって言ってくれる。

こんな両親がそばにいてくれたのに、どこであの男は足を踏み外してしまったんだろう。

私たちは話さなければいけない簡単なことを話してその日は休むことにした。翌日は昼からまた裁判の再開となっている。それに備えて……


-----------------------------------------------------


翌日私たちは余裕を持って裁判所に向かった。

昨日の話がもう広がったのだろう、そこにはもう多くの傍聴人が詰めかけていた。
そして裁判所の前では『貴族姓を語った平民女が子爵令嬢になりすました!』と言う興味をそそられる文字を大々的に掲げた新聞が売られていた。

皆がその新聞を買って、裁判所に入っていった。

私たちは時間に余裕をもって席についたが、そこには訴えられる人たちの姿が見えない。


これは…もしかして…


私たちが席に着いてからしばらくすると入り口のところでざわめきが起こった。

何事かとそちらのほうに視線をやると、そこには前で手を縛られ、お腹まで縛られた縄を兵士に引かれて歩く人たちの姿があった。


あぁ………あの人たちは本当に救いようのない人たちだったのね…


縄を引かれたその人たちが席に座らされると、すぐに裁判長たちが入ってきた。昨日とは違い、裁判長席にはアミおば様の旦那様ではなく、にこにこと笑う笑顔がとても優しそうな男性が座った。

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