選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ

暖夢 由

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75.あなた気に入った

そう言われた私はとても焦ってしまった。お二人の心配だなんてそんなおこがましいこと…

「ポネット公爵令嬢、謝罪など必要ございません。エミリオ様と公爵令嬢でしたら美男美女でみんなから憧れのお二人でございましょう。それを私が心配だなんて。そのような身分不相応な事はいたしません」

私がそういうと、公爵令嬢は丸く目を開けたかと思えば、笑って楽しそうにエミリオ様を見た。そして反対に、まるで悲しいことがあったかのようにエミリオ様は手のひらで顔を覆った。

「あら…エミリオ…ふふふっ、あはははっ、青冷の貴公子が笑っちゃうわね。

あなたいいわね、気にいったわ。今度ぜひ個人的にお茶でもしましょう。もちろん女同士でね。それから私のことはポネットって呼んで頂戴。公爵令嬢だなんて堅苦しいの苦手なの」


ポネット様は片目をぱちりと閉じて、セクシーにそういった。
今の会話のどこに気に入られ要素があったのかわからないけれど、公爵令嬢からのお誘いを伯爵令嬢が断ることなどできない。
それになにより私にとっては同年代の女性と話す機会というはかなり重要。そこからどうつながってお友達ができるかもしれない。

そう考えると少しでも関わりを持っておきたいのだ。

「ポネット様、嬉しいお言葉をありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします」

そして私たちの会話は終わった。でもなぜか隣にいるエミリオ様は面白くなさそうな顔をしている。

「エミリオ様?
…ポネット様と私がお話しするのはあまり好ましくありませんでしたか?」

私が疑問を口に出してみるとエミリオ様は普段と変わらない優しい顔で、でも少し困ったように微笑みを私に向けてくれた。

「ナタリア、そういうわけじゃないから心配しないで。ただポネットはナタリアのことを絶対気に入ると思う。そうすれば自ずと僕との時間が減ってしまうと思うとちょっと面白くなくてね」

なんてことを言われた。ほんとにどうしてこの方はこんなに勘違いしてしまいたくなるようなことを容易くも口にすることができるんだろう。

そんなこと心配する必要は無い、そう伝えようと思った時、私たちの方に向かって女性が歩いてくるのが見えた。
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