81 / 88
83.侯爵令嬢のイライラ
しおりを挟む今回このお茶を持ち込んだのがストム家だった事。
確認のため、ストム家にこのお茶を普段から飲んでいるか、その入手経路の確認を行った。すると、侯爵はそんなお茶飲んだこともないと話し、侯爵家にはそんなお茶はないと言った。夫人に確認しても同様に飲んだことはないと。
しかし、このお茶がストム家から提供されたお茶ということはポレード公爵家の執事がはっきりと記憶していた。
そこで持参した令嬢に確認した。
『私は以前どこかでそのお茶が美味しいと聞いたことがあったから取り寄せただけ。悪い事はしていない』
それだけしか言わないのだそう。
だが、このままでは侯爵家が公爵家のお茶会でわざと問題を引き起こしたと思われても仕方がない。つまりわざと公爵家の顔に泥を塗ったと。
侯爵は娘の周りを徹底的に調べ、入手経路などを確認した。
そして、入手したのは娘の専属護衛の一人だったことを調べ上げた。
「お嬢様の将来の夫であるダスカート侯爵令息の周りにまとわりつく令嬢に、少し痛い目をみせてやろうと思った」
そういったそうだ。
はじめ、お嬢様は何も知らないと言っていたらしいが、根気よく話を聞いていくとその詳細は明らかになっていった。
「お嬢様は令息と結ばれたかっただけ。だが何度誘っても令息は誘いに応じてくれない。
それどころか最近は婚約間近だという噂まででてきて。
そのせいでお嬢様は最近ずっとイライラしていた。
そして私に言いました。
『どうしてエミリオ様はあの女と一緒にいるわけ?ただの毒を盛られた悲劇の子なだけじゃない。エミリオ様が構う必要なんてないはずなのに!!
私と結ばれるはずなのにあんな女が出てきてしまってエミリオ様は放っておけないだけ。
それなのにそれを利用してあんな女が図々しくもそばから離れないのがいけないのよ!
………そうよ………そばにいられなくなればいいのよ。
カータス、誰にもばれない毒はないの?どうせ一度は毒に侵された女よ。もう一度毒に侵されたところであの時の後遺症とでも思わせられたら、罪にも問われないわ。そんな毒はないの?』 と。
私は元々田舎に住んでいました。
そこではアルジラと共にダルリエもよく見かける植物でした。
この二つは毒を持つ植物だから飲んではいけないと知っていました。それに………アルジラを飲んだことがあるものがダルリエを飲むと身体の中で反応し、体調を崩すということも。
………だからお嬢様にそのことをお伝えしました。
そしてお嬢様は公爵家のお茶会でそのお茶を出すことに決めたのです。
公爵家のお茶会で問題を起こすものなどいない。
もし問題が起こってもきっと事故として処理されるだろうからと。
まして侯爵令嬢である自分が持っていったお茶ならば、故意でそのようなことをするはずがないから絶対に事故と判断されると」
298
あなたにおすすめの小説
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
あの子を好きな旦那様
はるきりょう
恋愛
「クレアが好きなんだ」
目の前の男がそう言うのをただ、黙って聞いていた。目の奥に、熱い何かがあるようで、真剣な想いであることはすぐにわかった。きっと、嬉しかったはずだ。その名前が、自分の名前だったら。そう思いながらローラ・グレイは小さく頷く。
※小説家になろうサイト様に掲載してあります。
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
真実の愛のお相手に婚約者を譲ろうと頑張った結果、毎回のように戻ってくる件
さこの
恋愛
好きな人ができたんだ。
婚約者であるフェリクスが切々と語ってくる。
でもどうすれば振り向いてくれるか分からないんだ。なぜかいつも相談を受ける
プレゼントを渡したいんだ。
それならばこちらはいかがですか?王都で流行っていますよ?
甘いものが好きらしいんだよ
それならば次回のお茶会で、こちらのスイーツをお出ししましょう。
心配するな、俺の本命は別にいる——冷酷王太子と籠の花嫁
柴田はつみ
恋愛
王国の公爵令嬢セレーネは、家を守るために王太子レオニスとの政略結婚を命じられる。
婚約の儀の日、彼が告げた冷酷な一言——「心配するな。俺の好きな人は別にいる」。
その言葉はセレーネの心を深く傷つけ、王宮での新たな生活は噂と誤解に満ちていく。
好きな人が別にいるはずの彼が、なぜか自分にだけ独占欲を見せる。
嫉妬、疑念、陰謀が渦巻くなかで明らかになる「真実」。
契約から始まった婚約は、やがて運命を変える愛の物語へと変わっていく——。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】
白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語
※他サイトでも投稿中
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる