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名前はルイーナ ②
しおりを挟む「ルイーナ、16歳の時に言ったわね。両親の事が知りたければそれを説明する人を紹介すると。まだ知りたいと思う?聞けば辛いこともあると思うわ。だから無理に聞く必要はないと私たちは思っているの。でも決めるのはルイーナよ。」
「…はい。
私はこれから一人で生きていきます。そのためにどんな両親だったのか。どんな罪を犯したのか、きちんと知っておきたいです。私が同じことをしないように」
「そう、、分かったわ。じゃあ、そろそろ迎えが来ると思うから行きましょう」
ママたちが私を順番に抱きしめて、外に出ると豪華な馬車が止まっていた。
私たちが外に出ると、男の人が御者席から降りてきた。
ママがその人の前に立ち言った。
「ルイーナを、娘をよろしくお願いいたします。」
御者は恭しく礼をすると馬車のドアをあけ、私を中に誘った。
これに乗っていくの?でもこれって貴族様の馬車じゃ…
私は戸惑いながらも案内されるまま椅子に腰掛ける。
「ルイーナ、幸せになってね。なにかあればいつでもおいで。ちゃんと連絡するんだよ!」
そうママ達が叫んでいると扉がぱたんと閉められ、手を振る顔がどんどん小さくなっていく。
私に母がいればこんな風に送り出してくれたんだろうか。
私は泣きながらその顔を見つめていた……
そして顔が見えなくなって、私も少し落ち着いたころ……………
冷静に思った。
この馬車どこに行っているの?
結構走った気がする。
あまり地理に詳しいわけではないけど多分この先は有名なカシミール領に入る気がする。
でもそんなところまで行ったら、私は帰りどうすればいいんだろう。
知らない土地では職探しも難しい気がする……………
そんな事をぐるぐる考えていると馬車が速度を落とし、止まった。
扉が開けられると目の前には大きなお屋敷がある。
……………ここどこ?
……………なんで私はここにいる?
御者さんに手を出され、その手をとり質問しようとするとお屋敷の門が開いた。
「お待ちしておりました。中へお入りください」
釣り目気味のすっとした綺麗な顔立ちの40代くらいの男性が話しかけてきた。
「あの……わたし……」
どうしてここにいるのでしょうとも、あなたは誰ですかとも聞けず言葉につまっていると中へどうぞと再度促され、案内されるほうへ一緒に歩き出した。
「あの…」
「はい?」
「………お名前をお伺いしてもいいですか?」
「大変失礼いたしました。私はカシミール侯爵家執事、エヴァンズ・クレードと申します。」
カシミール侯爵家執事…?
……………
……………カシミール侯爵家??????
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