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名前はルイーナ ③
しおりを挟む「あの………ここって……もしかしてカシミール侯爵家なんですか?」
「はい、その通りでございます」
…………………………なんで!??
カシミール侯爵家といえば、違う領地にいる私たち平民でも知っている貴族様。
その領地は国一番安定した領地として有名で穏やかで暮らしやすいと評判だ。
そして、その領主夫妻はとても仲が良く、平民とも気さくに交流しているという。
私が暮らしていた養護院にも何度も支援をしてくださっているとママたちが言っていた。
そのカシミール侯爵家にどうして私はいるの??
そんな疑問を抱えながら歩いていると大きな扉を開かれた。
「どうぞ、奥様がお待ちです。」
目の前に見えるのはとても綺麗な女性と綺麗な男性。
淡いオレンジ色がとても綺麗なドレスを着こなしている女性。
スラッとしていて、金髪、碧目の整った容姿の男性。
この方たちがきっとカシミール侯爵家当主夫妻ね。
「はじめまして、私、シャロン・カシミールと申します。」
私がボーっと見つめていると女性の方が優しく微笑みながら優雅に挨拶をしてくれる。
「あ、あの、私平民なのでそんなご挨拶なんか…」
「あら、平民も貴族も挨拶に関係はありませんわ。まずあなたの名前を伺っても?」
「は、はい。あの、私ルイーナと言います。」
「そう、ではルイーナとお呼びしても?」
「も、もちろんです。あれ?光栄です?」
戸惑いながらそんなことを言ってしまったらシャロン様はふふふっ、と笑ってくださった。
「す、すみません。私貴族様とお話するの初めてで…とても失礼な態度ですよね」
「いえ、そんなことありませんわ。初めてならばこれから知っていけばいいだけのこと。それはなにも恥ずかしいことではありませんよ」
こんなに美しくて、素晴らしい方がいるんだ…
私はただただシャロン様に見惚れてしまった…
「シャロン、僕も紹介してくれると嬉しいんだけど」
「あら、ごめんなさい。ルイーナ、こちらは私の夫、ジョージア・カシミールです」
「あ、ルイーナです。よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくね」
あぁ、この方もすごく優しそうに微笑んで下さる。
なんて綺麗なご夫婦なんだろう……
「そうそう、ルイーナ、18歳のお誕生日おめでとう」
そう言って、大きな箱を勧めてくれた。
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