39 / 41
名前はルイーナ ⑩
しおりを挟む
後日聞いた話ですが、シャロン様のお父様が貯蓄預金に手を出していたのが分かり、それを賄うためにもシャロン様が個人資産でお店を開いたとこのことでした。それがローシャ服飾店。
そしてそのお店が有名になるとシャロン様のお父様と私のお祖父さん(どちらも私のお祖父さんですが)で乗っ取ろうと計画していたそうです。でもその計画も杜撰過ぎて、成功しようがなかったと言っていましたが、一番驚いたのはそのお店がシャロン様のお店と知らずに乗っ取ろうとしていたこと。身内でも他人でもありえないの一言です……
そして、お父さんの実家はどうなったのかと聞くとお父さんのお兄さんがしっかりと立て直しをしているとのことでした。私にとって伯父にあたるこの方は13歳頃から当主になるためと、隣国の叔父のところで勉強をしていたそうです。シャロン様が伯父に聞いたところ「自分が領地のことで父親に意見を言ったことがあり、それが面白くなかったそうです。それでも跡継ぎとしては必要と思っていたようで叔父のところで勉強してくるようにと追い出された」と言っていたそうです。学校も隣国の学校をでて、知らせを聞いたのはお父さんたちが拘留されているときだったのだそう。
領地は半分以下になったとのことでしたが、カシミール侯爵家にもしっかりと謝罪したことで、シャロン様たちも立て直しには協力したとのことでした。
その時に笑い話として教えてくれたのがクワッド伯爵の執事の事でした。
「6人が連行された後にそのことを知った執事が私のところに来て『当主不在分の資金を提供してください』と言ってきたの。意味がわからないと思わない?だからどうして他人様の使用人のお金など払わないといけないの?と聞いたら『当主からは今後当家に必要な資金は侯爵家から提供するようになったと言われております。当主がなぜか拘留されているため、私が参った次第です』ですって。馬鹿にしてるわよね。もちろん資金なんて渡さず、使用人たちと一緒に塩を思いっきり撒きつけて追っ払ってやったわ」
そう笑ってらっしゃったけど、これって人が変われば逮捕されてもおかしくない案件だと思う。
もちろん当主交代の時にお祖父様のやり方が正しいって思ってた使用人達は一掃されたそう。当主が変な人なら使用人も変になっちゃうのね。
だってカシミール侯爵家には変な使用人は一人もいないもの。
そして私は刺繍職人として、先輩たちに教えてもらいながら、必死に仕事を頑張っていたらその仕事を評価してもらって、ドレスの刺繍もさせて頂けるようになった。
休日の時や、刺繍が完成した時にはカシミール侯爵家に呼んで頂き、娘のように可愛がってもらっている。
エミリア様達には様付けも敬語もやめて欲しいとお願いされ、今では家族のような関係だ。
私が18歳までもらえなかった愛情はシャロン様の『父親の分も、母親の分も愛をあげる』という言葉通り、いいえ、それ以上に頂いている。
感謝してもしきれないと一度伝えた時シャロン様に言われた言葉
「その想いは今度はあなたが愛を誰かにあげることで私に返してちょうだい」
私はこの言葉を胸に、今日も笑顔で、誰かの笑顔が生まれるようにドレス作りに励んでいる。
そしてそのお店が有名になるとシャロン様のお父様と私のお祖父さん(どちらも私のお祖父さんですが)で乗っ取ろうと計画していたそうです。でもその計画も杜撰過ぎて、成功しようがなかったと言っていましたが、一番驚いたのはそのお店がシャロン様のお店と知らずに乗っ取ろうとしていたこと。身内でも他人でもありえないの一言です……
そして、お父さんの実家はどうなったのかと聞くとお父さんのお兄さんがしっかりと立て直しをしているとのことでした。私にとって伯父にあたるこの方は13歳頃から当主になるためと、隣国の叔父のところで勉強をしていたそうです。シャロン様が伯父に聞いたところ「自分が領地のことで父親に意見を言ったことがあり、それが面白くなかったそうです。それでも跡継ぎとしては必要と思っていたようで叔父のところで勉強してくるようにと追い出された」と言っていたそうです。学校も隣国の学校をでて、知らせを聞いたのはお父さんたちが拘留されているときだったのだそう。
領地は半分以下になったとのことでしたが、カシミール侯爵家にもしっかりと謝罪したことで、シャロン様たちも立て直しには協力したとのことでした。
その時に笑い話として教えてくれたのがクワッド伯爵の執事の事でした。
「6人が連行された後にそのことを知った執事が私のところに来て『当主不在分の資金を提供してください』と言ってきたの。意味がわからないと思わない?だからどうして他人様の使用人のお金など払わないといけないの?と聞いたら『当主からは今後当家に必要な資金は侯爵家から提供するようになったと言われております。当主がなぜか拘留されているため、私が参った次第です』ですって。馬鹿にしてるわよね。もちろん資金なんて渡さず、使用人たちと一緒に塩を思いっきり撒きつけて追っ払ってやったわ」
そう笑ってらっしゃったけど、これって人が変われば逮捕されてもおかしくない案件だと思う。
もちろん当主交代の時にお祖父様のやり方が正しいって思ってた使用人達は一掃されたそう。当主が変な人なら使用人も変になっちゃうのね。
だってカシミール侯爵家には変な使用人は一人もいないもの。
そして私は刺繍職人として、先輩たちに教えてもらいながら、必死に仕事を頑張っていたらその仕事を評価してもらって、ドレスの刺繍もさせて頂けるようになった。
休日の時や、刺繍が完成した時にはカシミール侯爵家に呼んで頂き、娘のように可愛がってもらっている。
エミリア様達には様付けも敬語もやめて欲しいとお願いされ、今では家族のような関係だ。
私が18歳までもらえなかった愛情はシャロン様の『父親の分も、母親の分も愛をあげる』という言葉通り、いいえ、それ以上に頂いている。
感謝してもしきれないと一度伝えた時シャロン様に言われた言葉
「その想いは今度はあなたが愛を誰かにあげることで私に返してちょうだい」
私はこの言葉を胸に、今日も笑顔で、誰かの笑顔が生まれるようにドレス作りに励んでいる。
90
あなたにおすすめの小説
私ではありませんから
三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」
はじめて書いた婚約破棄もの。
カクヨムでも公開しています。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
私、お母様の言うとおりにお見合いをしただけですわ。
いさき遊雨
恋愛
お母様にお見合いの定石?を教わり、初めてのお見合いに臨んだ私にその方は言いました。
「僕には想い合う相手いる!」
初めてのお見合いのお相手には、真実に愛する人がいるそうです。
小説家になろうさまにも登録しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
結婚式をボイコットした王女
椿森
恋愛
請われて隣国の王太子の元に嫁ぐこととなった、王女のナルシア。
しかし、婚姻の儀の直前に王太子が不貞とも言える行動をしたためにボイコットすることにした。もちろん、婚約は解消させていただきます。
※初投稿のため生暖か目で見てくださると幸いです※
1/9:一応、本編完結です。今後、このお話に至るまでを書いていこうと思います。
1/17:王太子の名前を修正しました!申し訳ございませんでした···( ´ཫ`)
ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?
ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。
一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる