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しおりを挟むしかし、そんなことフレッド様が知るはずがありません。それなのにどうしてこのようにおっしゃるのでしょう。
「染め作業も自分でできる人なんて、普通のご令嬢ではいないと思います。それに織物やドレスのことをきいても領地の特産品ってことだけでは説明がつかないほどに詳しい。これは製作に加わってなければなかなか知りえない知識だと思ったんです。」
そう言われてしまえば納得するほかありません。
確かに私の知識はただ調べたにしては詳しいのかもしれません。それでも昨日知り合ったばかりのフレッド様がそのように思うのはやはりこの方ができる方だからなのでしょう。
「それともう一つ、伯爵に話しをする前にサリー嬢に話しがしたかったんだ。
サリー嬢、僕と婚約してくれませんか?」
……はぁ??
昨日であったばかりの人に向かってなにをおっしゃっているのでしょう。
「……どういうことでしょうか。」
他の言葉なんて出てきません。昨日であった人に今日は婚約を申し出る。まず王家の婚約はそんなに軽いものではありません。なによりも陛下の許可も必要です。伯爵の娘に第2王子殿下を嫁がせるわけがないのです。
「まず、断っておきますがこの申し出には政略的な意図が往々にして絡んでいます。ナシェルカ伯爵家は伯爵にしておくには問題があるほどの財力がある。その財力は公爵の中でも抜きんでている3大公爵に匹敵するとも言われています。それに関しては反発する者がいることも事実だし、議会で何度となく議題にも上がっています。しかし名案が浮かばないのが現状でした。そして、今回のこの交易の目玉に据える件も加えるとさらなる反発は必至。そこで私とサリー嬢の婚約を結びたい。そうすることで議会での文句も押さえることができます」
こういわれてしまえば反論の余地はない。確かに我が家は栄えている。侯爵家の財源を賄って余りあるほどの財力があります。それをよしとしない人がいるのも事実で、もしフレッド様と婚約を結べばその妬みも少しは解消されるかもしれません。
「そしてもう一つ、私個人があなたに興味があることです。領地経営は男性がするもの。この考え方が当たり前の世の中で自分で作業も行い、売り込み活動までしている。香水の匂いをまき散らして、高位貴族に縋りつこうとする私の周りに群がっていた女性とはなにもかもが違う。私はそんなあなたと婚約したいと思いました。だから私と婚約してくれませんか?」
そっか…きっと結婚すればどんな人であれ、領地のことにあまり口出しできなくなるのではないかと思っていたけれど、フレッド様なら私が染め作業や実験的活動をやってても許してくれそう。そう考えると政略的結婚万々歳かもしれない。
「わかりました。そういうことであれば、お受けしたいと思っております。ただ、当主である父の意見が最優先です。先に父に話を通してもいいですか」
「もちろんです。実はこの後伯爵に時間を取ってもらっています。サリー嬢も同席頂けますか」
なんというか仕事が早い。いつの間に父との時間など決めたのだろう。食事も私が突然お誘いしたはずなのに。そう思いながらも「はい」と返事をし、デザートを食べ終えるとフレッド様と2人でお父様の元へ向かいます。
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