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アナザーストーリー
Another Side~フェアリーゴッドマザーの告白~
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何度同じ時をループすれば良いのでしょうか。
私の時間は永遠。
「大いなる存在」から賜った仕事は、ある物語を見守ること。
誰から言われたわけではないけれど、気が付いた時からそれは決まっていたことです。
そう、このシンデレラの世界では、私は何もできずただ見守るだけの存在なのです。
そして物語が終わればまた同じ新しい物語を紡ぐ。
そんな時間を少し持て余してしまった私は、いけないと思いながらも物語に干渉するようになっていきました。
私より高次の「大いなる存在」は、私の勝手な行動を知っているのか分かりませんが、干渉しても何もお咎めがありませんでした。
迷い込んでくる魂を、シンデレラの物語の主人公として転生させる。
そうすると何も無かった私の中で、その者を見守ると言う大義名分が生まれたのです。私はその使命感に震えました。
何度も・何度も・何度も。
迷い込んでくる魂を転生させ、その魂の生き方を見守ってきました。
大半は同じストーリーをなぞるのですが、ごく稀に同じストーリーをなぞらない者が現れはじめました。
私が干渉出来ることなどほとんどありませんが、それでも私のかわいい使者を送ることで、より対象者をしっかり見守ることができるようになりました。
ここまでしても、まだ「大いなる存在」からの罰はありません。
私の干渉はエスカレートしていきました。
あろうことか、私は自分自身の魂の一部を切り取って物語に転生させたのです。
たった一度。
本当にたった一度の、興味から来る過ち。
私の魂の一部が宿ったのは、主人公の母親でした。
私のエラを見守りたいと思う気持ちが母親に転生させたのでしょう。
エラを生み育て、身体は弱くとも幸福な家族との時間を過ごすことができました。
この出来事以降、私のエラへの執着は増すようになっていったのです。
たった一度の転生でしたが、エラへの思いは私のかけがえのないものとなりました。
いつも一人ぼっちのエラを慰めるために、動物と話しができる能力を身に付けさせました。
やりすぎと思いましたが、それでも大いなる存在が私を罰することはありません。
「私はいつまで、このような「干渉」をし続けるのでしょう。」
自分でも恐ろしくなるほどの干渉。
いつ罰せられるのか不安と自問自答をしながらも、私はループをする度に干渉を辞めることができませんでした。
今回だけ、あと一度だけ・・・と。
それほど執着をしてしまうくらいに、物語で語られていないエラへのいじめは酷いものでした。
見ていられなかったのです。
そんな時、変わった魂が迷い込んできました。
転生する魂は、触れると過去を見ることができるのです。
その娘の魂は芯が強く、それでいてあたたかな優しさで溢れていました。
しかも、私が任された世界を別の角度から熱心に研究していたようです。
もしかしたら、この魂は私のエラを守ってくれるかもしれない。
なぜか魂に触れた時、そう思ったのです。
魂の転生を完了させると、その魂はエラではなくエラの義姉へと吸い込まれていきました。
私用意した転生先への干渉を受け付けなかった魂。
今まで無かったかと言われれば、否と答えます。
しかし、それは何千年もの時の中でほんの数名だけでした。
その変わった魂は、そのほんの数例しかない特別な一人となったのです。
あの娘への期待が大きくなった頃、私は直接娘に逢うために、妖精の姿を借りて自分の一部を義姉に転生したあの魂の元へと送り込みました。
なんと、その娘は使者と名乗る妖精の私を見ても、怯むことがなかったのです。
怯むどころか大変協力的でした。
私は、私に長く支えてくれたかわいい使者を、その娘の元へ遣わせました。
思った通り、あの娘は様々な方法を駆使して物語を大きく変えはじめたのです。
私は震えました。
あのように与えられた魔法を使う娘はいなかった。
ひとの為になるように、いつもエラの為になるように。
与えた魔法を正しく使える人は、ほとんどいません。
多くは転生者であることに気が付かず、一生を終えていくからです。
ですが、あの魂はそれをやり遂げていく。
何度も私は干渉を試みましたが、彼女に干渉できるのは私のかわいい使者だけでした。
いずれにせよ、いつか使者はあの娘の元を離れると言うのに。
それは、長く干渉しすぎないようにと私が課した縛りでした。
別れは誰にでもいつかは訪れるものです。
楽しい時間は、いつまでも続かないのと同じですね。
それなのに、私のかわいい使者はというと与えられた職務を全うし、戻ってきても心ここにあらずで常にぼーっとしていました。
それは娘も同じ様子で、日々笑顔だった彼女から笑顔が消えていました。
エラも同じようにふさぎ込んでしまいました。
使者との魂の結びつきを感じた私は、大切な私のかわいい使者をパートナーとして生まれ変わらせることに同意しました。
長く長く私に使えてくれた魂が転生するのは嬉しいですが、同時に少し寂しいものでもありました。
もしかしたら私の勝手に対する大いなる存在からの罰は、これだったのかもしれません。
もう、あの子とは語り合うことが叶わなくても、物語に干渉することが容易でなくなってしまっても、受け入れるしかないのです。
ひとの意思は、簡単には変えられません。
魂は一度転生してしまうと、どの世界にたどり着くかわからないのです。
私にも、誰にも。
大いなる存在を除いて。
私は新しい魂の旅立ちを祝福しなければなりません。
彼らの新しい物語が素晴らしいものになるように、共に祈りましょう。
祈りが届けば、また彼らと出会えるかもしれません。
私の時間は永遠。
「大いなる存在」から賜った仕事は、ある物語を見守ること。
誰から言われたわけではないけれど、気が付いた時からそれは決まっていたことです。
そう、このシンデレラの世界では、私は何もできずただ見守るだけの存在なのです。
そして物語が終わればまた同じ新しい物語を紡ぐ。
そんな時間を少し持て余してしまった私は、いけないと思いながらも物語に干渉するようになっていきました。
私より高次の「大いなる存在」は、私の勝手な行動を知っているのか分かりませんが、干渉しても何もお咎めがありませんでした。
迷い込んでくる魂を、シンデレラの物語の主人公として転生させる。
そうすると何も無かった私の中で、その者を見守ると言う大義名分が生まれたのです。私はその使命感に震えました。
何度も・何度も・何度も。
迷い込んでくる魂を転生させ、その魂の生き方を見守ってきました。
大半は同じストーリーをなぞるのですが、ごく稀に同じストーリーをなぞらない者が現れはじめました。
私が干渉出来ることなどほとんどありませんが、それでも私のかわいい使者を送ることで、より対象者をしっかり見守ることができるようになりました。
ここまでしても、まだ「大いなる存在」からの罰はありません。
私の干渉はエスカレートしていきました。
あろうことか、私は自分自身の魂の一部を切り取って物語に転生させたのです。
たった一度。
本当にたった一度の、興味から来る過ち。
私の魂の一部が宿ったのは、主人公の母親でした。
私のエラを見守りたいと思う気持ちが母親に転生させたのでしょう。
エラを生み育て、身体は弱くとも幸福な家族との時間を過ごすことができました。
この出来事以降、私のエラへの執着は増すようになっていったのです。
たった一度の転生でしたが、エラへの思いは私のかけがえのないものとなりました。
いつも一人ぼっちのエラを慰めるために、動物と話しができる能力を身に付けさせました。
やりすぎと思いましたが、それでも大いなる存在が私を罰することはありません。
「私はいつまで、このような「干渉」をし続けるのでしょう。」
自分でも恐ろしくなるほどの干渉。
いつ罰せられるのか不安と自問自答をしながらも、私はループをする度に干渉を辞めることができませんでした。
今回だけ、あと一度だけ・・・と。
それほど執着をしてしまうくらいに、物語で語られていないエラへのいじめは酷いものでした。
見ていられなかったのです。
そんな時、変わった魂が迷い込んできました。
転生する魂は、触れると過去を見ることができるのです。
その娘の魂は芯が強く、それでいてあたたかな優しさで溢れていました。
しかも、私が任された世界を別の角度から熱心に研究していたようです。
もしかしたら、この魂は私のエラを守ってくれるかもしれない。
なぜか魂に触れた時、そう思ったのです。
魂の転生を完了させると、その魂はエラではなくエラの義姉へと吸い込まれていきました。
私用意した転生先への干渉を受け付けなかった魂。
今まで無かったかと言われれば、否と答えます。
しかし、それは何千年もの時の中でほんの数名だけでした。
その変わった魂は、そのほんの数例しかない特別な一人となったのです。
あの娘への期待が大きくなった頃、私は直接娘に逢うために、妖精の姿を借りて自分の一部を義姉に転生したあの魂の元へと送り込みました。
なんと、その娘は使者と名乗る妖精の私を見ても、怯むことがなかったのです。
怯むどころか大変協力的でした。
私は、私に長く支えてくれたかわいい使者を、その娘の元へ遣わせました。
思った通り、あの娘は様々な方法を駆使して物語を大きく変えはじめたのです。
私は震えました。
あのように与えられた魔法を使う娘はいなかった。
ひとの為になるように、いつもエラの為になるように。
与えた魔法を正しく使える人は、ほとんどいません。
多くは転生者であることに気が付かず、一生を終えていくからです。
ですが、あの魂はそれをやり遂げていく。
何度も私は干渉を試みましたが、彼女に干渉できるのは私のかわいい使者だけでした。
いずれにせよ、いつか使者はあの娘の元を離れると言うのに。
それは、長く干渉しすぎないようにと私が課した縛りでした。
別れは誰にでもいつかは訪れるものです。
楽しい時間は、いつまでも続かないのと同じですね。
それなのに、私のかわいい使者はというと与えられた職務を全うし、戻ってきても心ここにあらずで常にぼーっとしていました。
それは娘も同じ様子で、日々笑顔だった彼女から笑顔が消えていました。
エラも同じようにふさぎ込んでしまいました。
使者との魂の結びつきを感じた私は、大切な私のかわいい使者をパートナーとして生まれ変わらせることに同意しました。
長く長く私に使えてくれた魂が転生するのは嬉しいですが、同時に少し寂しいものでもありました。
もしかしたら私の勝手に対する大いなる存在からの罰は、これだったのかもしれません。
もう、あの子とは語り合うことが叶わなくても、物語に干渉することが容易でなくなってしまっても、受け入れるしかないのです。
ひとの意思は、簡単には変えられません。
魂は一度転生してしまうと、どの世界にたどり着くかわからないのです。
私にも、誰にも。
大いなる存在を除いて。
私は新しい魂の旅立ちを祝福しなければなりません。
彼らの新しい物語が素晴らしいものになるように、共に祈りましょう。
祈りが届けば、また彼らと出会えるかもしれません。
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