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チャンス
しおりを挟むあれから一週間。
いくつかわかったことがある。
まずひとつ。
私は今三才で、なぜだか時間が巻き戻ってるということ。
あの日は私の三才のお誕生日で、女の人がお母さん、私が意識を失う前に部屋に飛び込んできたのがお父さんで間違いなかった。
それから、前回とは違って、私の体が弱くなってること。
あの日、パニックで過呼吸を起こした私は、そのまま病院に運ばれて、昨日まで入院してた。
なぜかと言うと、過呼吸が落ち着いた頃に、今度は高熱が出て意識がなかったから。
前回は病院のお世話になるようなことなんてほとんどなかったから、熱でこんなに体が辛くなるなんて知らなかった。
それから最後に、一番重要なこと。
それは、お父さんとお母さんがまだ離婚していないってこと。
熱で意識がなかったりしたから、数日しか見てないけど、今の二人に離婚の兆しは見られない。つまり、未来を変えるなら今がチャンスだ。
お父さんとお母さんがどうして離婚したのかはわからないけど、お父さんが出ていって荒れていくお母さんは、もう見たくない。
それに、もう一度あんな人生を歩むのはイヤだ。
お父さんがいて、お母さんがいて。みんなでご飯を食べたり、お話ししたり、お出掛けしたり。
そんな、当たり前の生活を送りたい。
友達だって欲しい。一緒に学校に行ったり、遊んだり、ケンカしたり。
キラキラした、青春時代を送りたい。
なんでかはわからないけど、せっかく時間が巻き戻ったんだもん。今度は後悔しないように、幸せになるために生きたい。
その為にはまず、お父さんとお母さんの離婚を阻止しなくちゃ。
このままだと、来年辺りに二人は離婚することになる。タイムリミットは一年。
なんとしてでも、未来を変えないと。
とりあえず、愛嬌を振り撒いて、二人に好かれることから始めようと思う。
前回、クラスの中心になっていた子や、家族の仲がすごくいい子は、いつも笑顔でみんなに好かれていた。
だから、その子達の真似をしてお父さんとお母さんに好かれれば、二人は離婚しないかもしれない。
前回は、表情を動かすのが苦手で、いつも一人だったから笑うこともなくて。だから“暗い子”って言われてたけど。
今回は、“愛嬌のある子”って言われるように、たくさん笑って、明るい子になるんだ。
大丈夫。まだ三才だし。今から表情を動かす練習をすれば、ロボットみたいにはならないから。
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