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エピローグ
近所のコンビニで
しおりを挟む仕事帰り、近所のコンビニに寄った。
新しい店員さんがレジにいた。
どこかで見たような顔だ。とりたてて特徴はないけど、人をひき込むような深い灰色の目。
優しい笑顔。
「お弁当は温めますか」
声も優しい。私はお願いします、と答え、少し脇に避けて待った。
「最近入られたんですか?」
いつもならこんなこと、聞いたこともないのに勝手に口が動いていた。
「ひと月前くらいから」
彼はレンジを見ながら世間話に乗ってくれた。
「ちょうど職探しをしていた時に、誰かからもらったメモにここの電話番号があって、何だろうと思ってかけてみたらコンビニで、ついでにバイト募集しているか聞いたらすぐに」
「面白いですね」
「ですよね」
去り際に、
「待ってください」
呼び止められて振り向くと、彼はレジの脇から小さな四角いチョコを取り上げ、そっと私に手渡した。
「これ、僕から」
「えっ?」
表に雪の結晶のイラストがついていた。
「今日だけ、初対面限定プレゼントということで」
「でも」
「防犯カメラ今日、故障してるんです」
彼はまっすぐこちらを見て、人差し指を立てていたずらっぽく囁いた。
「内緒ですよ」
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