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第一章 5月6月

濃い初日ようやく暮れて

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『協賛企業の各商品についているサンマークを購入時に切り取って集め、所属する学校等で回収します。それを集計して財団に送り、サンマーク預金として蓄えます……PTAなどのボランティアで生み出された資金(サンマーク預金)で、学校の設備や教材をそろえるだけでなく、サンマーク預金での買い物をすることで、さらに国の内外でハンディを背負いながら学んでいる子どもたち(被災学校、へき地校、各種支援学校等)に援助の手を差し伸べるというシステムであり……』

 もらってきた冊子を何度もなんども読み返し、紀美はどうにか、サンマークのシステムを頭に叩き込もうとした。
 伊藤のくどい説明の後、実作業もしばらくやってみて、最初に感じたのが
「とにかく、細かい」
 というひとことだった。
 少しだけ仕分け作業にも参加したが、何がなにやら分らないまま、終了の時刻を迎えていた。
 
 すでに泰介も寝てしまったようで、家の中はすっかり静まり返っている。
 紀美も早く寝たかった。
 しかし、今日半日があまりにも濃過ぎたようで、全然眠気がやってこない。
 それに……紀美はゆっくりと背後のテーブルにふり向いてみる。
 なぜか、テーブルの上には大きなビニル袋が鎮座していた。
 そしてその袋の中いっぱいに詰まっていたのは、サンマークナンバー10、ハギラップから切り取られたサンマークだった。
 来週木曜までにこれを分別し、小さな袋に分け入れてくるよう委員長(実際は委員長の腰巾着・伊藤)から指示されたのだ。
 紀美は、目元を揉みほぐし大きく息を吐いて、のろのろとハサミを取り上げた。
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