恋の観覧車、回る!?

柿ノ木コジロー

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初デートは雑音だらけ

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 生来ののんびり屋でマイペース、悪気はないが他人をイラつかせる名人だ、と言われていた彼だったが、二年前に転がり込んでようやく中途採用で落ち着いた会社の、同じ部署で、素敵な人と出逢った。

 それが香織だった。

 新入社員の香織は和人とは正反対で、頭が切れて気が利いて入社当初から社内でも輝いていた。
 
 俺には高根の花だ、そう感じながらも、近くで見守るうちにだんだんと、彼女から目が離せなくなっていた。

 一生に一度か二度の勇気を振り絞り、デートに誘ってみたのが先日。
 すぐに断られるかと思ったら、香織はなんと
「その日は……」
 ぎっしりと細かい字で予定が埋まったスケジュール帳を取り出して、
「別に、空いてるけど?」
 簡単にそう言って小首を傾げて彼を見た。

 まさか、デートができるとは思いもしなかった、ひとり邪魔者、いや、追加もいたが。
 香織は同僚のミナちゃんもいっしょに、と言ってきたのだ。
 もちろん和人が反対できるわけがない。
 ついでと言っては何だが、ミナちゃんの彼氏で、しかも和人の同僚で、しかも腐れ縁的に仲が良いシゲノブにも声をかけることになった。
 しかし、シゲノブはその日は都合が悪いから、と言ってきたのだった。
 じゃあ、きっとミナちゃんは断ってくるだろうし香織さんも……そういったんは肩を落とした和人だったのだが、なんと香織、妙に律儀なのか、
「じゃ仕方ない、三人で行きましょ」
 と言ったのだ。

 さて当日、彼女はあっさり待ち合わせ場所にやって来た。
 もちろん、ミナと一緒に。


 デートには雑音が多く、慰労会というには少しばかり、胸がときめく一日が始まった、のだが。



 和人はベンチに座ったまま、またため息を吐く。

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