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魔族ベレブは眼下の光景に満足していた。
辺境大陸北部。かつて、魔王城と呼ばれる拠点があり、魔王が倒れた場所の跡地。
そこを見下ろせる高台の上から、彼はそれを飽きることなく眺めていた。
最終決戦で城もろとも吹き飛び、地下深くで浄化されている魔王の骸により荒野と化した大地。
そこに彼の軍勢がひしめいている。あらゆる種族の魔物が集まり、その数は二万を超える。 彼らは今、ベレブから与えられた力でかなりの強化を達成している。
「神剣といえど、浄化しきれていないわけですね……」
神の加護を受けた神剣が、呪いを振りまく魔王の骸を地下深くで浄化する。それが『魔王戦役』の結末だった。
しかし、魔王の骸から放たれる呪いはあまりにも強い。悪神から長く祝福された魔王の力は死んだ後も強大だ。
あの戦いは奇跡に近かった。神界で複数の加護を受けたフィル・グランデと仲間達。どれも相当な実力者だったが、あの魔王に勝てるとは思えない。
「あれで終わりだったと思ったのですけどね……」
神界のどこかにいる悪神。名前を持たない神は、神界で神々に追い詰められる直前、自分に祝福を与えてくれた。追い詰められていたのか、魔王へ対しての祝福ほどでもないが、自分にとっては十分だった。
ベレブの得た力は、神の加護への僅かな耐性と、魔王から出る力との僅かな接続。後者は骸に近づくほど力を増す。
人間達が再入植を始めた辺境大陸は計画を進めるのに好都合だった。残った魔族達と共に計画を立案。各地で混乱を起こしている間に、魔王の骸を発掘。そして、神剣の加護に耐えつつ、少しずつ魔王の骸から力を蓄えた。
蓄えた力は、引き連れた魔物軍勢や仲間に与えた。魔王の遺産とも言えるもので、ベレブにとっては最後の希望だ。
「まずは、この地から人間達に出ていってもらいましょうね」
身につける黒衣をはためかせながら、ベレブは誰ともなく呟く。
全身に身につけた宝石には魔王の骸からの力が流れ込んでいる。痩せ細った肉体はそのままだが、魔力量だけはエルダードラゴン以上となった。
頭脳以外はとりたてて優れたところの無い魔族だった彼だが、魔王はその発想力を見込み取り立ててくれた。
そしてベレブは多くの成果を出した。
自らを見出してくれた魔王に恩義を感じ、その強い忠誠心は今でも続いている。
これはベレブにとって、『魔王戦役』の続きだ。人間達が終わったと思い込んでいる戦いを今でも続けているだけにすぎない。
そのために行った活動の数々がついに実を結んだ。この軍勢はその結晶である。
寝る間も惜しんで研究し、各国の目を辺境大陸から逸らすために騒動を仕込み、自分が消滅する覚悟で魔王の骸に近づいて力をチャージしたり……物凄く働いた。
懸命に働いた者には報いがあるべき……。魔王様、そう仰っていましたね。
今は亡き魔王に心の中で報告する。この光景をきっと喜んでくれるだろう。魔王の人間達への憎しみだけは本気だったから。
「さて……感傷は後にしましょうか」
そう思い、黒衣を翻した時だった。
空から光るものが落ちてきた。
研究者として高い実力を持つベレブには、それが莫大な魔力を持っていることが瞬間的に理解できた。
莫大などというものではない、ちょっと危険な量だ。城一つどころか、辺り一帯消えてしまう。
「……というか、なんか見覚えありますね。あの物体」
少し考えた後、それがかつてハイエルフの施設に送り込んだ改造スライムだと気づいた。そして、改造した責任者であるベレブは赤く明滅するその姿が爆発寸前だということも把握できた。
しかし、時すでに遅し。
「あ」
ベレブと軍勢がまるごといっさいがっさい、スライムの大爆発に巻き込まれた。
辺境大陸北部。かつて、魔王城と呼ばれる拠点があり、魔王が倒れた場所の跡地。
そこを見下ろせる高台の上から、彼はそれを飽きることなく眺めていた。
最終決戦で城もろとも吹き飛び、地下深くで浄化されている魔王の骸により荒野と化した大地。
そこに彼の軍勢がひしめいている。あらゆる種族の魔物が集まり、その数は二万を超える。 彼らは今、ベレブから与えられた力でかなりの強化を達成している。
「神剣といえど、浄化しきれていないわけですね……」
神の加護を受けた神剣が、呪いを振りまく魔王の骸を地下深くで浄化する。それが『魔王戦役』の結末だった。
しかし、魔王の骸から放たれる呪いはあまりにも強い。悪神から長く祝福された魔王の力は死んだ後も強大だ。
あの戦いは奇跡に近かった。神界で複数の加護を受けたフィル・グランデと仲間達。どれも相当な実力者だったが、あの魔王に勝てるとは思えない。
「あれで終わりだったと思ったのですけどね……」
神界のどこかにいる悪神。名前を持たない神は、神界で神々に追い詰められる直前、自分に祝福を与えてくれた。追い詰められていたのか、魔王へ対しての祝福ほどでもないが、自分にとっては十分だった。
ベレブの得た力は、神の加護への僅かな耐性と、魔王から出る力との僅かな接続。後者は骸に近づくほど力を増す。
人間達が再入植を始めた辺境大陸は計画を進めるのに好都合だった。残った魔族達と共に計画を立案。各地で混乱を起こしている間に、魔王の骸を発掘。そして、神剣の加護に耐えつつ、少しずつ魔王の骸から力を蓄えた。
蓄えた力は、引き連れた魔物軍勢や仲間に与えた。魔王の遺産とも言えるもので、ベレブにとっては最後の希望だ。
「まずは、この地から人間達に出ていってもらいましょうね」
身につける黒衣をはためかせながら、ベレブは誰ともなく呟く。
全身に身につけた宝石には魔王の骸からの力が流れ込んでいる。痩せ細った肉体はそのままだが、魔力量だけはエルダードラゴン以上となった。
頭脳以外はとりたてて優れたところの無い魔族だった彼だが、魔王はその発想力を見込み取り立ててくれた。
そしてベレブは多くの成果を出した。
自らを見出してくれた魔王に恩義を感じ、その強い忠誠心は今でも続いている。
これはベレブにとって、『魔王戦役』の続きだ。人間達が終わったと思い込んでいる戦いを今でも続けているだけにすぎない。
そのために行った活動の数々がついに実を結んだ。この軍勢はその結晶である。
寝る間も惜しんで研究し、各国の目を辺境大陸から逸らすために騒動を仕込み、自分が消滅する覚悟で魔王の骸に近づいて力をチャージしたり……物凄く働いた。
懸命に働いた者には報いがあるべき……。魔王様、そう仰っていましたね。
今は亡き魔王に心の中で報告する。この光景をきっと喜んでくれるだろう。魔王の人間達への憎しみだけは本気だったから。
「さて……感傷は後にしましょうか」
そう思い、黒衣を翻した時だった。
空から光るものが落ちてきた。
研究者として高い実力を持つベレブには、それが莫大な魔力を持っていることが瞬間的に理解できた。
莫大などというものではない、ちょっと危険な量だ。城一つどころか、辺り一帯消えてしまう。
「……というか、なんか見覚えありますね。あの物体」
少し考えた後、それがかつてハイエルフの施設に送り込んだ改造スライムだと気づいた。そして、改造した責任者であるベレブは赤く明滅するその姿が爆発寸前だということも把握できた。
しかし、時すでに遅し。
「あ」
ベレブと軍勢がまるごといっさいがっさい、スライムの大爆発に巻き込まれた。
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