55 / 58
55.
しおりを挟む
二対一だ。しかも、相手は俺とユニア。控えめに見ても、この世界でもかなり強い方のはずだ。いくら魔族の親玉といえど、ひとたまりもない。瞬殺すらありえる。
そのはずだが、俺達は苦戦していた。
俺はミスリルの剣、ユニアは神具の剣。それぞれフル装備で挑んでいるのに、一太刀も浴びせることが出来ないでいた。
「くそ、戦い慣れてない癖に、力押しで負けてるぞ」
「持っている魔力が尋常ではありませんね……」
互いにそう愚痴りながら、飛んできた魔力光をそれぞれの武器で打ち払う。
魔族ベレブの戦闘方法は、莫大な魔力を利用しての魔法攻撃。それと防御だ。
戦い方としては非常に雑。魔力を飛ばすだけの短呪文の魔法の連打が中心。
通常なら俺もユニアも無視できる威力の魔法だが、込められる魔力が超特大なのが問題だ。
しかも、連射が凄い。弾幕ゲーとまではいかないが、それに近い。
それでも付け入る隙はある。俺とユニアはそれぞれを守りながら接近し、何度か攻撃を直撃させた。
だが、そのどれもがベレブの本体に届かない。溢れる魔力が鎧となり、その身を守っていた。
俺の知る限り、最も魔力量の多い存在は魔王、次いでハスティさんだが、こいつはその間に入るくらいの力を感じる。
「思ったよりも長持ちするね。厄介だ」
剣と魔法で防御と回避を重ねる俺達を見て、ベレブが言い捨てた。
向こうの表情に余裕は無い。元々研究タイプで戦闘慣れしていないのを自覚してるんだろう。実際、俺とユニアは隙を見て接近できている。
付け入るならそこなのだが、攻撃が届かない。悪いことに、相手もそれを自覚している。
「店長、加護を受けての攻撃なら通るのでは?」
狙いは雑だが密度の高い魔力の光弾を弾きながらユニアが言う。
俺は魔法で防御壁を張りつつ答える。
「通るだろうけど、すぐ再生されそうだな。あの魔力の元を断たなきゃならん」
「魔王の骸ですね……」
ベレブの力の源は魔王の骸、そう見当はついている。
だが、戦場のどこにも見当たらない。最初の爆発で吹き飛ぶようなものでもないし、どこかに隠蔽されているのだろうが……。
「仕方ない。少し余分に力を使うかね……」
一瞬、攻撃が止まったと思ったら、ベレブの不穏な呟きが聞こえた。
同時、奴の両手にこれまで以上の魔力が集中する気配がした。
まずいな。どうにかしないと力技で押し切られるぞ。ハスティさんはまだ背後で戦ってるみたいだし、援護は難しそうだ。後ろの派手な爆発音を聞きながら、俺はそんな思考を巡らす。。
「ユニア、魔王の骸を見つけ出すことができるか?」
「……わたしは情報収集に特化したワルキューレです。本気を出せばどこにあろうと発見できると判断します。問題は、しばらく無防備になることですが」
「短時間なら、俺が支える」
「……承知しました」
俺の言葉に、少しの迷いを見せてからユニアは了承した。
そして、どこからか、一本の細く長い槍を取り出す。
「こちらを。店長を守ってくれるかと」
俺に手渡されたのはヒルガルドの神具だった。優美かつ精緻な細工が手元に施された細身の槍はまるで芸術品。今は亡き本人が持てば、さぞ似合っただろう。
「ありがたく使わせて貰う」
俺が持っても似合わないが、心強い装備だ。
槍を持つ手に力を込めると、俺の意志に答えるように細身の長剣に変わった。見た目は剣だが、これは神具だ。魔法の発動体にもある。これで、これまで以上に効率よく戦える。
「店長、使い惜しみをしないよう、お願いします」
「……わかった」
ユニアの言葉の意味することを察した俺は、短くそう返す。この武器はここが使い時だ。
「ほう、神具が二つあるワルキューレか。特別製かね?」
魔力を集めていたベレブが、興味深そうに俺達を見据えた。戦い慣れてないから攻撃の準備が長いのか、魔王の骸から供給されている魔力を扱うのに時間がかかるのか、どちらだ?
俺の疑問をよそに、ベレブは油断なく真面目そのものな顔のまま両手の平をこちらに向けた。
「終わりだ!」
無数の魔力光が俺達に向かって殺到する。飽和攻撃。回避不能の攻撃だ。
「これより、周辺の解析を開始します」
そのはずだが、俺達は苦戦していた。
俺はミスリルの剣、ユニアは神具の剣。それぞれフル装備で挑んでいるのに、一太刀も浴びせることが出来ないでいた。
「くそ、戦い慣れてない癖に、力押しで負けてるぞ」
「持っている魔力が尋常ではありませんね……」
互いにそう愚痴りながら、飛んできた魔力光をそれぞれの武器で打ち払う。
魔族ベレブの戦闘方法は、莫大な魔力を利用しての魔法攻撃。それと防御だ。
戦い方としては非常に雑。魔力を飛ばすだけの短呪文の魔法の連打が中心。
通常なら俺もユニアも無視できる威力の魔法だが、込められる魔力が超特大なのが問題だ。
しかも、連射が凄い。弾幕ゲーとまではいかないが、それに近い。
それでも付け入る隙はある。俺とユニアはそれぞれを守りながら接近し、何度か攻撃を直撃させた。
だが、そのどれもがベレブの本体に届かない。溢れる魔力が鎧となり、その身を守っていた。
俺の知る限り、最も魔力量の多い存在は魔王、次いでハスティさんだが、こいつはその間に入るくらいの力を感じる。
「思ったよりも長持ちするね。厄介だ」
剣と魔法で防御と回避を重ねる俺達を見て、ベレブが言い捨てた。
向こうの表情に余裕は無い。元々研究タイプで戦闘慣れしていないのを自覚してるんだろう。実際、俺とユニアは隙を見て接近できている。
付け入るならそこなのだが、攻撃が届かない。悪いことに、相手もそれを自覚している。
「店長、加護を受けての攻撃なら通るのでは?」
狙いは雑だが密度の高い魔力の光弾を弾きながらユニアが言う。
俺は魔法で防御壁を張りつつ答える。
「通るだろうけど、すぐ再生されそうだな。あの魔力の元を断たなきゃならん」
「魔王の骸ですね……」
ベレブの力の源は魔王の骸、そう見当はついている。
だが、戦場のどこにも見当たらない。最初の爆発で吹き飛ぶようなものでもないし、どこかに隠蔽されているのだろうが……。
「仕方ない。少し余分に力を使うかね……」
一瞬、攻撃が止まったと思ったら、ベレブの不穏な呟きが聞こえた。
同時、奴の両手にこれまで以上の魔力が集中する気配がした。
まずいな。どうにかしないと力技で押し切られるぞ。ハスティさんはまだ背後で戦ってるみたいだし、援護は難しそうだ。後ろの派手な爆発音を聞きながら、俺はそんな思考を巡らす。。
「ユニア、魔王の骸を見つけ出すことができるか?」
「……わたしは情報収集に特化したワルキューレです。本気を出せばどこにあろうと発見できると判断します。問題は、しばらく無防備になることですが」
「短時間なら、俺が支える」
「……承知しました」
俺の言葉に、少しの迷いを見せてからユニアは了承した。
そして、どこからか、一本の細く長い槍を取り出す。
「こちらを。店長を守ってくれるかと」
俺に手渡されたのはヒルガルドの神具だった。優美かつ精緻な細工が手元に施された細身の槍はまるで芸術品。今は亡き本人が持てば、さぞ似合っただろう。
「ありがたく使わせて貰う」
俺が持っても似合わないが、心強い装備だ。
槍を持つ手に力を込めると、俺の意志に答えるように細身の長剣に変わった。見た目は剣だが、これは神具だ。魔法の発動体にもある。これで、これまで以上に効率よく戦える。
「店長、使い惜しみをしないよう、お願いします」
「……わかった」
ユニアの言葉の意味することを察した俺は、短くそう返す。この武器はここが使い時だ。
「ほう、神具が二つあるワルキューレか。特別製かね?」
魔力を集めていたベレブが、興味深そうに俺達を見据えた。戦い慣れてないから攻撃の準備が長いのか、魔王の骸から供給されている魔力を扱うのに時間がかかるのか、どちらだ?
俺の疑問をよそに、ベレブは油断なく真面目そのものな顔のまま両手の平をこちらに向けた。
「終わりだ!」
無数の魔力光が俺達に向かって殺到する。飽和攻撃。回避不能の攻撃だ。
「これより、周辺の解析を開始します」
0
あなたにおすすめの小説
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件
エース皇命
ファンタジー
前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。
しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。
悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。
ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる