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大災害を隠匿する帝国
独逸帝国の独裁体制
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海底軍艦のCICでは、キャプテンの声のみが聞えていた。「ロケット爆撃機、自爆装置解除、落下目標は原爆工場、マッハ3を維持。」 コパイが動力回路から自爆回路へとスイッチを切り替える。 自爆は緊急措置である、普段はやらない。(当然だ。) 無人機であるが、やはり自分が操縦している機体だ。 自爆などしたくないのだ。 しかし、原爆工場を破壊して原爆開発を遅らせることが日本の国益であり、ひいては国民ひとり、ひとりの将来につながるのだ。 自爆飛行コースが計算できた。 おおきな宙返りをして速度を落とさずに原爆工場に突っ込む。 その進入角度やら速度の計算を操縦装置に入力する。 ロケット爆撃機は宙返りする戦闘機とはワケがちがうのだ。 単に操縦幹を引けば宙返りするのではない。 ロケット噴射口のパドル(可変ノズル)を変化させなければ宙返りできない。 大気の薄い高度2万だ。 やったことの無い宙返りだ。 「自爆飛行コースに入る。」 「機首上げ30.」 「機首上げ30、了解。」 「噴射パドル電算機操作に切り替え。」 「切り替えよし。」 「スロット調整50.」 「スロット50.」 「コースズレないか。」 「コースよし。」 「操縦幹キャプテンへ。」 「操縦幹キャプテン渡した。」 原則、二人で操縦幹を操作するが、やはり機の最後はキャプテンのみで突入するのだ。 「機体内、飛行記録抹消。」 キャプテンが現在のフライトレコーダーに当たる装置の記録をシヨートさせて抹消した。 万一、帝国に発見されるのを防ぐためだ。 そのころ、投下した2発の地層破壊爆弾が地面に突き刺さった。 そして沈黙の地下での爆発で地下6メートルくらいに沈んだ。 ロケット爆撃機がダム工事現場の熱源に突き刺さるのと、山の地下で地層破壊爆弾が破裂するのにタイム差が演算機で3秒だ。 そのタイムのとうり、山が崩れ始めた。 爆発音は低く地鳴りのようだ。 グ、グ、グ、グ、ドヤ、ドヤ、と山が大きく崩れる。 雪崩のように崩れる。 そのカタマリがダム工事現場に降りかかるか、と同時に隕石かと思われる大爆発だ。 火山の噴火か、現場は真っ赤なマグマのごとく灼熱で、人間など近寄れない。 海岸を目指すレンジャー5人の背後で遠くに爆発音が聞える。 火山の爆発音に似ている。 黒田は内心、思う。 これを解析して爆弾の所為だと思うヤカラが何人いるかと。 今は発見されずに海岸を目指す、レンジャーだ。・・・こちらはゲシュタポ本部の夜間当直だ。 電話が鳴る。 ダム工事現場の付近の陸軍基地からだ。 「ハイ、こちら本部当直だ。」 「陸軍基地ですが、山のほうから、とんでもない爆発音と火炎が見えます。」 「偵察隊をだせ。」 「すでに、偵察隊は出ております。」 「そうか、とりあえず爆発現場付近に非常線を張り、不審な者は確保だ。」 「非常線、不審者確保了解です。」 当直は非常ベルを押した。 それは、非常召集のサイレンや検問所への通報を兼ねている。 独逸帝国もバカではない、常に考え反省して対処法を思考錯誤しているのだ。 サイレンが街に響く中をレンジャーは駆け抜ける。
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