大東亜戦争を有利に

ゆみすけ

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新型米国製空母

米国の工業力

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 Uボートを追跡している、ガトー級のソナー装置のランプが点滅してブザーが鳴る。 同時に機械の自動タイプが印字を始めた。(潜水艦同士の連絡に、アクテブソナーを応用した音声通信を考えた結果がクジラ音声通信機だ。欠点は通信距離が50キロくらいまでなことだ、ちなみに名前はジクラ。) ソナー員が読み上げる。 「ユウボートカマウベカラズペンタゴン。」 艦長がうなずく。 もとより魚雷でUボートを攻撃する気などないが、米国からの指令が間に合ってホットした艦長のクレインだ。 「では、ノーフォークに帰るぞ。」 基地へ帰ることを艦内に伝える。 さらに、「電文を送ってくれた艦に了解と感謝の意をつたえろ。」 ソナー員はタイプで、カマウベカラズヲリョウカイシタカンシャスルと打ち込んだ。  イ号14番は任務を終えポーツマスへ帰った。・・・・ ガトー級に追尾されたことを全く知らないUボートは、キール軍港Uボート桟橋へ接舷した。 軍楽隊が歓迎の曲を演奏するなか、盛大な出迎えに驚くUボート乗組員だ。 余程の重要文書を独逸帝国へ持ってきたようだ。 亡命希望の米国人は隠れるように消え去った。 カバンを大事に抱えてベンツに乗り込んだのだ。  ゲシュタポ長官は総帥から、今回の件で予算が増額されて鼻が高かった。 些細なスキャンダルに付け込んで(浮気と借財のウワサ)有益な情報を米国から勝ち取ったのだ。 ホワイトハウスも決して一枚岩ではない,ことがわかった独逸帝国だ。 とうぜん、独逸帝国としては今回の件が秘匿情報で、外部に漏れなかった。 そこは磐石な独逸帝国である。 (Uボート乗り組み員には厳重な緘口令が敷かれた。)・・・ここは、独逸帝国の海軍工廠だ。 亡命者が提供した空母設計図を囲んで技術者が悩んでいた。 「うむ、どうする?」 「造らねばなるまい、総帥からの。」 「それは、わかるが、すぐには無理だ。」 技術者達は、お粗末な独逸帝国造船技術を理解していた。 陸の兵器は得意でも、海となるとサッパリな独逸帝国だ。 例外はUボートだが、空母とUボートは違いがありすぎりのだ。 とりあえず、小型の空母モドキでお茶を濁す技術者らだ。 建造中の商船を改造することとなる。 長さ240メートルの船に飛行甲板を張る。 飛行甲板は240メートルだ。  独逸空軍は技術的には、日本の初期のハヤブサ(1000PS)と同じくらいであった。 一応、引き込み脚であった。 尾翼に空母着艦のフックをつけた。 空母改造の商船は速度を上げた。 ギリ15ノットでいっぱいだ。 一番後ろから、戦闘機(ガソリンを減らして、武装も降ろした。)がバリバリとエンジンを吹かして発進する。 パイロットは必死であった。 独逸帝国に栄光アレ、と叫んで飛ぶ。 浮いた、飛んだ、やった。 オレは英雄だ。 しかし、まだ着陸がある。 空母の周りを一周して着陸コースに乗る。  いける、オレはヤレルと必死に思い、決断する。 エンジンを絞る。 フラップを降ろす。 ここで、尾翼を下げて降りるのだが、普段と重さが違う。 また、海の上では空母は豆粒に見える。 いかんせん、小さいのだ。 体中の毛が逆立つがイヤだ、とはいえない。 家では妻や子供達が待ってるのだ。  ボーナスを勝ち取り、妻に渡すのだ。  だが、小さい、はみ出だしそうだ。 1回目、戦闘機は空母の上を飛んでお茶を濁した。 再度の挑戦だ。 慎重にコースを決める。  操縦幹が震える、イヤ俺の震えで方向が決まらない。 もう、後戻りはできない、車輪が甲板を踏む、どうんん、と跳ね返る。 尾翼が上がり尾輪のフックがひっかからない、240メートルなど、あっという間だ。 妻よ、許せ、独逸帝国に栄光アレ。 空母の飛行甲板からダイブして海中に戦闘機は落ちた。 随伴していた船から救助のボートが出たが、沈んだ機体の発見には至らなかった。 ・・・ 場所が変わりココは米国の鎌倉造船設計課だ。 小森技師の新型空母は設計が最終段階に入る。 ここ、数日は帰宅していない、泊まり込みでシャワーでガマンして追い込みに入っている。 こうなると止まらない。 あらゆる欠点を洗い出し、本社設計部に負けない空母だ。 幸いにして予算制限は無い。 米国の膨大な金をつぎ込めるのだ。 まさに、マッドサイエンテストと化した小森技師であった。 
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