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兵器の実用性
性能と実用は違うのだ。
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官邸へパトカーに先導されて黒色のセダンが入る。 もう最近は毎日かよ、と官邸付きの記者がボヤくほど多い。 寝不足の記者が、「アー、またか。」 といって、転寝を再開した。 日本国で、24時間営業は警察と病院と電話公社、電力などのインフラと官邸か。 まあ、ヨタ話はおいて置いて。 「防衛大臣は、まだか。」 「防衛大臣入ります。」 「遅い、官邸内に君の宿舎を置くぞ。」 思わず総理が怒鳴った。 「すんません、言い訳はしません。」 「うむ、それより重大な情報が入った。」 いつものセリフだが。 総理は続ける。 「独逸帝国のドーバー越えの兵器が、これだ。」 集まった閣僚らにみせる。 「これは、水上戦車か。」 「独逸帝国は船では目立つから、奇襲の兵器をつくったのか。」 「これは、南洋諸島で、我が陸軍が運用してる水陸両用戦車に似てる。」
「映像から実用性は高いと見た。」 総理がつぶやく。 「これで、独逸帝国のドーバー越えは時期がどうなるか。」 「英国への空母艦隊派遣計画の前倒しだ。」 総理は国会でモメている案件を即決した。 「同盟国の危機だ、うむは言わせない。」 現在、ドーバー海峡には空母が米国と交互に派遣されているが、2,3隻の駆逐艦を連れての少数派遣であった。 それを、艦隊単位での派遣に切り替えるのだ。 とうぜん、予算オーバーどころではない。 しかし、独逸帝国は欧州大陸覇権ばかりか、英国本土を狙ってるのだ。 それが、この映像であきらかだ。 今から対策を練っても遅いくらいだ。 「すぐ、英国と米国に衛星通信で連絡を。」 防衛大臣があわてる。 「もう、すでに送ってある。」 総理がボヤく。 使えないヤツだが、こいつは愛国者だ。 相性ごときで大臣を更迭しない総理である。 我が日本国は、独裁国家ではないだ。 そこで、環境大臣が、「しかし、この水上戦車が大量にドーバー越えをすると、空母では、殲滅は難しいではないのか。」 「独逸帝国は海軍はショボイから、船は使わないと思うが。」 おもわず、総理は防衛大臣と環境大臣とトレードだ、と決断するところだった。 環境大臣の指摘は、マトを射るほど的確であった。 おそらく、独逸帝国は水上戦車の対空ミサイル型を出してくるだろう。 まだ、対ミサイル兵器はチャフとフレアしか無いのだ。 大量の水上戦車には対処できない。 環境大臣は続ける。 「私なら、独逸帝国に対して、水上戦車の攻撃はムダだ、と事前にあきらめさせる策を考えますが。」 「ふむ、それは。」 もう、総理は環境大臣の提案に夢中である。 「現在、独逸帝国は陸の兵器は実力もあり、それなりのモノがあります。」 「しかし、海の兵器に関してはUボートだけであり、空母建造は独逸帝国にとり夢のまた夢です。」 「そうだ、地政学的に考えれば理解できる。」(独逸帝国は大陸系国家である、日本や英国は海洋性国家である。) 「そこで、独逸帝国は総帥のゲッペルンのカリスマ独裁に近い政治体制です。」 「まあ、そうだな。」 「そこで、新たに進水して艤装が完了する、ヘリ空母オトタチバナ改め、VTOL空母オトタチバナ改を独逸帝国親善訪問させます。」 「そこで、超伝導モーターのVTOL機を見せ付けるのです。」 「あの、VTOLなら水上戦車など、ものの数ではありません。」 「独逸帝国が越えられない壁を見せ付けられるのです。」 「そうだ、総帥を空母に招いてはどうです。」 総理は、ビビリまくり、ドーバー越えを先延ばしするゲッペルンの顔が浮かんだ。 あの、VTOLとは独逸帝国亡命者をアマテラス改まで運んだ超伝導モーターのVTOLである。 大日本航空機と日本飛行機開発が、初めてチームを組んで開発したのが、超伝導エンジンである。 普通のエンジンではない、ジェットエンジンでもないのだ。 絶対0度の超低温を保存して維持できる技術が完成して、小型超伝導モーターが作られた。 超伝導磁力で廻すプロペラでヘリの何倍もの輸送力と速度を達成できたのだ。 電気抵抗がゼロで、無限に流れる電気で回転するプロペラは高速演算機で制御される。 ヒトの操縦では、到底無理な速度で制御できて、始めて飛行可能のVTOLである。 日本軍事技術の最先端のVTOLで、独逸帝国を恫喝するのである。 とうていかなわないと思わせるのだ。 総理は技術力では絶対の自信があったのだ。 物量では、米国にはかなわないが、モノ造り、特に軍事技術では日本国の右に出る国は無い。 性能や価格を考慮しても、絶対に負けない自信があるのだ。 ポルトガルが、過去に日本に鉄砲を伝えたが、わずか数年で技術をモノにして、世界有数の鉄砲所有国となり、宣教師をして、日本攻めるべからず(日本の植民地化は無理。)と言わしめたほどである。 当時、鉄砲の数は日本が世界一であり、戦国時代を戦った武士は無敵の軍隊であり、日本が当時、覇権をとなえれば世界の白人支配は現在と違っていただろう。 本能寺で信長が暗殺されなければ世界地図は変わっていただろう。 話が閣議に戻る。 結論は、オトタチバナ改の海軍運用を待っことになった。 (旧型のオトタチバナは日本が大清国から日清戦争で領土を認めさせた台湾の防衛のため、使うこととなった。)
「映像から実用性は高いと見た。」 総理がつぶやく。 「これで、独逸帝国のドーバー越えは時期がどうなるか。」 「英国への空母艦隊派遣計画の前倒しだ。」 総理は国会でモメている案件を即決した。 「同盟国の危機だ、うむは言わせない。」 現在、ドーバー海峡には空母が米国と交互に派遣されているが、2,3隻の駆逐艦を連れての少数派遣であった。 それを、艦隊単位での派遣に切り替えるのだ。 とうぜん、予算オーバーどころではない。 しかし、独逸帝国は欧州大陸覇権ばかりか、英国本土を狙ってるのだ。 それが、この映像であきらかだ。 今から対策を練っても遅いくらいだ。 「すぐ、英国と米国に衛星通信で連絡を。」 防衛大臣があわてる。 「もう、すでに送ってある。」 総理がボヤく。 使えないヤツだが、こいつは愛国者だ。 相性ごときで大臣を更迭しない総理である。 我が日本国は、独裁国家ではないだ。 そこで、環境大臣が、「しかし、この水上戦車が大量にドーバー越えをすると、空母では、殲滅は難しいではないのか。」 「独逸帝国は海軍はショボイから、船は使わないと思うが。」 おもわず、総理は防衛大臣と環境大臣とトレードだ、と決断するところだった。 環境大臣の指摘は、マトを射るほど的確であった。 おそらく、独逸帝国は水上戦車の対空ミサイル型を出してくるだろう。 まだ、対ミサイル兵器はチャフとフレアしか無いのだ。 大量の水上戦車には対処できない。 環境大臣は続ける。 「私なら、独逸帝国に対して、水上戦車の攻撃はムダだ、と事前にあきらめさせる策を考えますが。」 「ふむ、それは。」 もう、総理は環境大臣の提案に夢中である。 「現在、独逸帝国は陸の兵器は実力もあり、それなりのモノがあります。」 「しかし、海の兵器に関してはUボートだけであり、空母建造は独逸帝国にとり夢のまた夢です。」 「そうだ、地政学的に考えれば理解できる。」(独逸帝国は大陸系国家である、日本や英国は海洋性国家である。) 「そこで、独逸帝国は総帥のゲッペルンのカリスマ独裁に近い政治体制です。」 「まあ、そうだな。」 「そこで、新たに進水して艤装が完了する、ヘリ空母オトタチバナ改め、VTOL空母オトタチバナ改を独逸帝国親善訪問させます。」 「そこで、超伝導モーターのVTOL機を見せ付けるのです。」 「あの、VTOLなら水上戦車など、ものの数ではありません。」 「独逸帝国が越えられない壁を見せ付けられるのです。」 「そうだ、総帥を空母に招いてはどうです。」 総理は、ビビリまくり、ドーバー越えを先延ばしするゲッペルンの顔が浮かんだ。 あの、VTOLとは独逸帝国亡命者をアマテラス改まで運んだ超伝導モーターのVTOLである。 大日本航空機と日本飛行機開発が、初めてチームを組んで開発したのが、超伝導エンジンである。 普通のエンジンではない、ジェットエンジンでもないのだ。 絶対0度の超低温を保存して維持できる技術が完成して、小型超伝導モーターが作られた。 超伝導磁力で廻すプロペラでヘリの何倍もの輸送力と速度を達成できたのだ。 電気抵抗がゼロで、無限に流れる電気で回転するプロペラは高速演算機で制御される。 ヒトの操縦では、到底無理な速度で制御できて、始めて飛行可能のVTOLである。 日本軍事技術の最先端のVTOLで、独逸帝国を恫喝するのである。 とうていかなわないと思わせるのだ。 総理は技術力では絶対の自信があったのだ。 物量では、米国にはかなわないが、モノ造り、特に軍事技術では日本国の右に出る国は無い。 性能や価格を考慮しても、絶対に負けない自信があるのだ。 ポルトガルが、過去に日本に鉄砲を伝えたが、わずか数年で技術をモノにして、世界有数の鉄砲所有国となり、宣教師をして、日本攻めるべからず(日本の植民地化は無理。)と言わしめたほどである。 当時、鉄砲の数は日本が世界一であり、戦国時代を戦った武士は無敵の軍隊であり、日本が当時、覇権をとなえれば世界の白人支配は現在と違っていただろう。 本能寺で信長が暗殺されなければ世界地図は変わっていただろう。 話が閣議に戻る。 結論は、オトタチバナ改の海軍運用を待っことになった。 (旧型のオトタチバナは日本が大清国から日清戦争で領土を認めさせた台湾の防衛のため、使うこととなった。)
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