大東亜戦争を有利に

ゆみすけ

文字の大きさ
290 / 380
対馬要塞化計画

不沈空母計画

しおりを挟む
 議員会館に環境大臣を訪ねる。 阿比留市長は数人の秘書兼庶務係を伴い陳情である。 部下を連れていったのは、談判には複数が有利であるからだ。 読者諸君も経験あるだろう。 クルマという、高額な買い物に、複数で交渉したほうが有利であるのだ。 例として、買いに行くデーラーでクルマを買った奴を連れて行くとか。 服装もジャージではダメである。 最初は誰でも外観を見るのだ。 外観も大切である。 小会議室で大臣を待つ。 遅れては論外である。 先に待つことが大切なのだ。 ドアが開いて、環境大臣がひとりで入ってくる。 対馬陳情団は席を立つ。 「おお、遅くなりました、まあ、お座りください。」 大臣が奥の席をすすめる。 陳情団は、はるばる遠路やってきたのだ、大臣にとりお客さんである。 陳情が多い大臣ほど、格が上であるのだ。 「で、対馬へ空母の件ですね。」 「お話はわかりました、シナへの対策として、早急に派遣します。」 対馬市長は、「え、なして。」(どうして)あれほど政府は予算などで渋っていたのに。 「このほど、米国と英国より援助金が入りました、それで、どれがご希望ですか。」 話が早い。 なら「空母アマテラス改が、対馬はわだ(入り江)が多いが・・・」と市長。  「では、アマテラス改で。」 「いつでん、ええから、やかやか来たかいがあった。」 「それで、ひとつお願いが。」 「空母の乗員が対馬に上陸するとき、安心して居られるように。」 「反対運動などの件です。」 「反対するあんぽんたんなぞ対馬にはおらんけん、そんなちっこめえ奴なぞおれんけん。」 「それを聞いて安心しました、感謝しろとは言いませんが、嫌がられるのは・・」 対馬市長は対馬市役所にアマテラス改の分室を創る覚書に署名した。 対馬には小規模の軍事基地はあったが、空母の基地まではなかった。 10万トンを越える日本最強の空母の基地ができると、経済効果なんてものではない。 付属の重工業が、工場が、整備ドックなど、対馬が無双不沈空母化となる布石がここからはじまった。 シナは水上戦車で、返って墓穴を掘ったのだ。 それも、とんでもない深い穴の・・・ 「あ、あ、かっぱりした。」阿比留市長は安心して疲れが出た。 連日の市役所への住民の、「どうすんねん、戦車が。」 「シナ兵に娘がと考えたくないわ。」 など抗議が殺到していたのだ。 現実に危機が見えないと、誰も動かないものだ。 お花畑の感覚の奴は多いのだ。 (沖縄がいい例だ。) 対馬は神武天皇が2700年余り前の建国以来の日本国領土である。 それをシナや半島に見せ付けるためにも、軍事基地化が総理の熱望であった。 しかし、国内には軍事基地化を懸念する声も大きいのだ。 それを、現実の脅威を見せてくれたシナへ、ある意味感謝の山田総理であった。 湾口工事やら、桟橋などの整備、浚渫など空母用の軍事基地を造るための重機が船で運ばれた。 その、働く者の住居や飲食など、好景気に沸く対馬であり、後にさらに海軍軍人による特需景気に沸いた対馬であった。 あと、水上戦車は10両あまりが、現場に残されて、観光施設になった。 シナ兵と日本兵との海岸線での模擬戦闘訓練は人気があり、水上戦車を実際に使っているから待ち3時間という、人気アトラクションである。 もちろん、砲塔はツメ物でふさいでいるが。 もう、本土から連日の観光客で、ウレシイ悲鳴の対馬戦車パークである。 米国には満州国の馬賊対決テーマパークが出来ていて、それの模倣である。 米国は、馬賊討伐ドラマが人気で、とうとうテーマパークまで、出来てしまった。 米国はカウボーイの国で、ロデオが人気であったが、馬賊討伐がロデオ以上に人気となったのだ。 (日本製作の特撮テレビ番組のせいだ。) 西部劇と馬賊討伐劇のダブルパンチで、米国民の人気を2分しているのである。  現在の日本は敗戦後の占領軍の政策で、軍人の地位はヒドイありさまだが。 大東亜戦争を、ある意味、兵器の進歩の戦いと変化させた戦略により日本有利となっていたのだ。 日本が世界相手に勝てる武器は、開発能力である。 日本のテクノロジーが世界を制する日は近いのである。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

札束艦隊

蒼 飛雲
歴史・時代
 生まれついての勝負師。  あるいは、根っからのギャンブラー。  札田場敏太(さつたば・びんた)はそんな自身の本能に引きずられるようにして魑魅魍魎が跋扈する、世界のマーケットにその身を投じる。  時は流れ、世界はその混沌の度を増していく。  そのような中、敏太は将来の日米関係に危惧を抱くようになる。  亡国を回避すべく、彼は金の力で帝国海軍の強化に乗り出す。  戦艦の高速化、ついでに出来の悪い四姉妹は四一センチ砲搭載戦艦に改装。  マル三計画で「翔鶴」型空母三番艦それに四番艦の追加建造。  マル四計画では戦時急造型空母を三隻新造。  高オクタン価ガソリン製造プラントもまるごと買い取り。  科学技術の低さもそれに工業力の貧弱さも、金さえあればどうにか出来る!

改造空母機動艦隊

蒼 飛雲
歴史・時代
 兵棋演習の結果、洋上航空戦における空母の大量損耗は避け得ないと悟った帝国海軍は高価な正規空母の新造をあきらめ、旧式戦艦や特務艦を改造することで数を揃える方向に舵を切る。  そして、昭和一六年一二月。  日本の前途に暗雲が立ち込める中、祖国防衛のために改造空母艦隊は出撃する。  「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」が、さらに「千歳」「千代田」「瑞穂」がその数を頼みに太平洋艦隊を迎え撃つ。

大日本帝国、アラスカを購入して無双する

雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。 大日本帝国VS全世界、ここに開幕! ※架空の日本史・世界史です。 ※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。 ※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

天竜川で逢いましょう 〜日本史教師が石田三成とか無理なので平和な世界を目指します〜

岩 大志
歴史・時代
ごくありふれた高校教師津久見裕太は、ひょんなことから頭を打ち、気を失う。 けたたましい轟音に気付き目を覚ますと多数の軍旗。 髭もじゃの男に「いよいよですな。」と、言われ混乱する津久見。 戦国時代の大きな分かれ道のド真ん中に転生した津久見はどうするのか!!??? そもそも現代人が生首とか無理なので、平和な世の中を目指そうと思います。

織田信長 -尾州払暁-

藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。 守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。 織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。 そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。 毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。 スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。 (2022.04.04) ※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。 ※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。

処理中です...