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独逸帝国の内紛
総帥の悩み
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彼は、何ども考えた。 そして独逸国民に何が幸福であるか、考えた。 独逸帝国の現実の独裁者である、ゲッペルン総帥は愛国者であった。 独逸ゲルマン民族こそが、偉大であり、どの国にも負けないと自負していた。 しかし、日本軍空母を見学してから、考えが変わった。 それは、政権の閣僚らにも内密であった。 考えが変わっても愛国者であることは変わらなかった。 第一次大戦で、ボロクソに負けた独逸、ソレを立て直すために立ち上がったゲッペルンであった。 戦争に善悪などない。 それが、ゲッペルンの考え方である。 それぞれの自国の国益のために外交で話し合いをするが、話し合いにならないと戦争という、暴力の戦いとなる。 有史以前より変わりなく戦争は起こった。 それが、近代になり、民間人まで多量に殺すようになった。 軍人は覚悟の上で戦ってるのだ。 しかし、民間人は軍人ではない。 もとより、独逸は過去に亜細亜の蒙古騎馬軍団にケチョン、ケチョンに殺られた経験がある。 皆殺しだ。 幸いにして後継者問題で蒙古騎馬軍団は故郷に帰った。 それ以来、独逸には、蛮族を追い払う軍をあこがれる風潮がある。 ゲッペルンはまさに、その英雄として独逸帝国で人気もあり、住民選挙で総帥となったのである。 しかし、同盟国のヤツらは、愛国者ではなく、独裁者であり、自信の利益しか考えていない。 ソ連は共産革命の国で、粛清の嵐だ。 シナなどは軍閥独裁だ。 とても、国民の幸福など考えてはいないのだ。 総帥は内心、日本と組みたかった。 しかし、世界は二極に分かれて、敵対する側に自国は居るのだ。 それを、打開したかった。 まだ、日本と同盟国の英国には進攻してはいない。 ドーバー越えを兵器開発の遅れを理由に、無期延期したのである。 大陸は独逸帝国がほぼ支配して、大独逸帝国と言ってもいいほどである。 ソ連やシナと手を切り、現在のままで十分ではないか。 ソ連やシナと自爆はしたくないのだ。 独逸国民は現在、1家に1台の自家用車があり、道路も整備されて、これ以上なにを望むのだ。 現在の独逸帝国の安泰こそ総帥の望みであった。 だが、閣僚らは、そうではない。 独裁者ゲッペルンは独裁者の形の偶像であった。 ある程度の采配は可能であるが、1を2といえないのである。 日本と同盟を、などとはいえないのである。 いまさら、ソ連やシナが承諾するわけはナイ。 しかし、独逸国民と触れ合ううちに、国民を不幸にはしたくない。 軍人も総帥の為に、喜んで戦地は向かうであろうが、そうさせたくはナイのだ。 お飾りの独裁者ゲッペルンは悩んだ。 どうしたら・・・・・ とうとう、ある考えが総帥に浮かんだ。 それは、国民にテレビで直に、自身の考えを聞いてもらうことだ、それでメモを書いた。 主な演説をメモにして整理していると、ドアが開いて、使えない秘書が顔を出した。 「総帥、今後の予定で、老人院(老人ホーム)への慰問が入ってますが。」 「いま行く、クルマを廻しておいてくれ。」 「わかりました、3分後に。」 総帥はあわてて、メモを引き出しにしまった。 あわてたので、カギまでは掛けなかった。 着替えて、あわててドアからでていった。 しばらくして、ソ連から連絡員が総帥を訪ねてきた。 使えない秘書が、あわてる、しまった忘れていた。 「すこし、待っていてください、いま、お茶などお持ちします。」 使えない秘書は席を外した。 連絡員は、急いでいた、それで、秘書を待たずに総帥室をノックした。 返事がない。 総帥は外出しているのだ。 ・・・・・ そして、秘書がお茶を持ってきて、「いま、出かけていますので、しばらくお待ちを。」 連絡員は、「いや、急いでいるから、また連絡してからで。」 といって帰っていった。 秘書は、やけに急ぐのね、と思っただけだあった。
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