満州国馬賊討伐飛行隊

ゆみすけ

文字の大きさ
上 下
127 / 212
襲撃だ。

床に伏せろ。

しおりを挟む
 とつぜん、銃声だ。 そして、また銃声だ。 馬車はムチを入れて走りはじめた。 すわ、襲撃だ。 「床に伏せろ。」 中村退役少尉は叫んだ。 12人の生娘らは、訓練どうり、馬車の床に伏せる。 そして、三八式をかまえて馬賊をさがす。 いた、馬車に向かって騎馬で向かってくる。 慎重に騎馬の少し前を狙う。 馬の進む速度と馬車の速度と比較して誤差を修正して射撃だ。 「ドキューン。」 ひとり落馬した。 あと騎馬はどれだけだ。 見ると、銃をかまえて騎馬が多い。 やばい、撃ってくる。 「キューン。」 肩をかすめる。 いがいに、馬賊にしては訓練されている。 これは、ヤバイかな? しかし、12人の学生を守らねばならんのだ。 再度、慎重に狙う。 「ドキューン。」 さらに落馬だ。 よし、この調子だ。 「まだ、街には入らないか。」 と付近を見るが、まだまだだ。 道半ばだ。 馬車と馬賊の間隔が狭まる。 馬賊が銃で、盛んに撃ってくる。 鉄カブトを持ってきてよかった。 普通の軍帽では役にたたないからな。 鉄カブトで、かなりの銃弾がハネる。 馬車の速度が落ちる。 「どうしたんだ。」 御者が、「前に障害です。」 見ると、大きな倒木が道路をふさいでいる。 「しまった、計られた。」 馬車は倒木まで止まれずに乗り上げて横転する。 馬車の後ろから投げ出される中村少尉だ。 「ドキューン。」 しまった、どこかを撃たれた。 しかし、馬賊を殺らねければ、娘らが・・・ 数十発の銃弾を受けて、中村少尉は帰らぬ人だ。 御者は、すでに殺されている。 12人の満州生娘は馬賊の手に落ちたのだ。 以外に、この惨事は早くわかった。 ともづな、から離れた馬が馬車を引かずに帰ってきたからだ。 現場に駆けつけた討伐隊は唖然とする。 警備の退役軍人は殉職だ。 御者は銃弾でハチの巣だ。 馬車は横倒しで、学生は全員が誘拐されたと思われるのだ。 手口から朝鮮馬賊の仕業に間違いない。 12人もの女学生が誘拐では・・・・ 討伐隊、鉄虎隊、飛竜隊が非常出動だ。 装甲自動車が走り、97式戦闘機が飛びあがった。 手がかりは、まだ全く無い。 手がかりが手に入る前の初動の偵察である。 現場には、4人ほど馬賊が倒れていた。 警備の退役軍人が倒した馬賊だ。 すると、馬賊は多数いたのである。 現場の地面に蹄鉄の跡は乱雑に多かった。 道路をふさいだ倒木など、馬賊共は用意周到だったのだ。 いままでは行き当たりばったりな馬賊の作戦だった。 今回の襲撃は、かなり計画されたモノだったのだ。 とりあえず、誘拐した生娘らを隠す座敷牢をさがすのだ。 97式は次々と飛び立った・・・
しおりを挟む

処理中です...