満州国馬賊討伐飛行隊

ゆみすけ

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パトロールに出発だ。

神様は存在するのだ。

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 「こちら、倉田機、飛行許可よろし?」 「こちら、管制塔、3番滑走路を使われたし。」 「了解。」 倉田機である、97式新型は、タキシングをして、3番滑走路へ入る。 信号が赤から青に変わった。 スロットいっぱいだ。 エンジンはアイドルからフルに回転を増した。 ブレーキ(車輪のブレーキだ。)をゆるめる。 スルスルと97式は速度を上げる。 だいたい、200を超えると操縦幹をじんわりと引く。 地面が速い。 轟音とともに滑走路をあとに、97式は高度をあげた。 「こちら、倉田だ、山奥村からのコースをとる。」 「管制塔、了解だ。」 燃料をチエックする。 間違いなく、増槽から供給されている。 エンジン回転を巡行速度に落とす。 巡行速度とは、燃費がいい速度だ。 これなら、遠方の山奥村への往復も余裕だ。 時間をチエックだ。 だいたい、山奥村の通学馬車の通学時間に合わせるように離陸したつもりだ。 計算尺で、簡単に計算する。 「うむ、これならいける。」 コースが間違いないか、無線の発信局を受信して、おおまかな位置を特定した。 2ヶ所の発信所を受信して、角度を出して、交差させると、飛行機の現在位置がわかるのだ。 97式にはレーダーはない。 まだ、実用できるレーダー設備は開発されていないのだ。 (昭和初期頃だ。) それで、97式は各所に設置されている無線発信所からの電波の方向をループアンテナで特定して、地図上に角度をだして、現在地を把握するのである。 なんせ、満州国は郊外は草原ばかりだ。 目標とする建物がすくないからなのだ。 無線発信所がないと、それなりの航法装置がある大型機の先導なしでは、とても単機では飛べない。 「なんとか、通学時間には間に合いそうだ。」 97式は山々が連なる山脈に入る。 下には、山々の間に細い道が見え隠れする。 あれが、通学路だな。 倉田飛曹は、97式を山脈に注意しながら高度を下げた。  そのころ、通学馬車は女学生らを乗せて、山間をパカパカのん気に下っていた。 「ヘイタイさん、ありがとう。」 今日から、退役軍人が警備に乗っているのだ。  連発銃を肩にかけて、日本軍の服装だ。 山奥村誘拐事件では、御者が銃撃されて、馬車が馬賊に乗っ取られたので、御者台の横に退役軍人が警備している。 御者が倒れても、警備の軍人が馬車を操れるのだ。 娘らの感謝の言葉でご機嫌な佐藤軍曹だ。 2等兵からのたたき上げで、なんとか軍曹までがんばったのだ。 出身が、東北の山奥であるから、満州の山奥村は実家みたいなものだ。 少し前に、娘らが馬賊に襲われたと聞いているが、オレが来たからにはと自信満々の佐藤君だ。 「あれっ、道がふさがってる。」 御者が叫んだ。 「これは、馬賊だ。」 えっ、襲われたばかりだが・・・ 唖然とする、佐藤君だ。 あわてて、銃に弾を込める。 「馬賊はどこだ。」 「まだ、わからん。」 「でも、道がふさがれている、馬賊だぞ。」 「いいか、娘ら、床に伏せてろ。」 佐藤君は銃を構えて、あたりをうかがう。  
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