満州国馬賊討伐飛行隊

ゆみすけ

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2回目も、分けだ。

海軍が陸軍を見直す。

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 2回目だ、討伐隊のホンダ飛曹の番だ。 停船している、空母伊勢から、楽々と発船だ。 海軍の空母赤城は30で風に向かって走行して、96式艦戦が飛び立つ。 海軍は停船している空母から飛び立つ陸軍を、驚きの眼で見ていた。 97式のSTOL性能に唖然だ。 海軍の航空力学の専門の技官が、なんも言えないのだ。 模擬空戦が、双方の引き分けで、1回戦が終わって、この流れが、続くといいと思っている両軍の幹部だ。 海軍は97式の改良STOL技術が欲しい。 陸軍は空母の運用ノウハウが欲しいが、なかなか、言い出せないのである。 いきなり、仲良くなるわけがないのだ。 やはり、わだかまりは、あるのだ。 「ホンダ、相手は小回りがきくから注意だ。」 との倉田からの要点を、ととと、いきなり海軍は後ろを盗る。 逃げようにも、旋回半径は96式艦戦が有利だから、逃げられない。 「だから、言ったんだ。」 と悔しがる、倉田だ。 「あ、あ、ヤラれるぞ。」 仲間の空中勤務員が叫ぶ。 ゴム弾だから、火はふかない。 しかし、あの体制では、ヤラれたな。 と、ホンダが急降下だ。 「おう、だいじょうぶか?」 海面スレスレで、機首が上がる。 「ヒャっと、させやがるわい。」 96式艦戦は97式の急降下にはついてこれない。 それで、相手との距離を作ったのだ。 そして、96式艦戦より、エンジン馬力は大きいので、一撃離脱戦法だな。 倉田の読みどうりだった。 相手の96式艦戦も、それは理解してるんだが、速度の差があるから、ホンダ機のゴム弾を浴びてしまう。 そして、時間が過ぎた。 ホンダ飛曹は、難なく停船している空母伊勢に着船した。 ホンダの97式は、あちこちにゴム弾の跡の色が付いていた。 「けっこう、ヤラれたな。」 「すんません、油断でした。」 「まあ、気にするな。」 と本郷隊長が慰める。 そうして、5回の模擬空戦が終わった。 そして、採点だ。 倉田機はゴム弾が無し。 ホンダ機は120発食らっていた。 残りの3機も、ホンダといい勝負だ。 そして、5機の合計ゴム弾の当てた数は・・・・ 海軍が543発で陸軍が489発だった。 しかし、海軍は数が多いのに、勝ったとも言わないのだ。 やがて、ランチが空母赤城から空母居伊勢にやってきた。  見ると、海軍の幹部連中だ。 何しに来たんだと、陸軍幹部だ。 まさか、長年の遺恨を、この場で清算じゃないだろうな?  「私は、赤城の吾郷大佐だ。」 なんと、艦長、自ら乗り込んできたのか! 身構える、陸軍幹部だ。 「いやあ、負けましたわ。」 「これほどの差が、あるとは、なにも申しません、海軍が敗残です。」 「いえ、着弾した、弾数は海軍が多いですが・・」 「いえ、着弾位置です、こちらは燃料タンクや操作系に着弾が。」 つまり、撃墜判定ばかりだったとか。 それで、あっさりと海軍は負けを認めたのだ。 勝負は勝負だ。 以外に、海のオトコ達は、あっさりしていたのだ。 
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