冒険者の学校。

ゆみすけ

文字の大きさ
上 下
72 / 273
エリーゼ対ルイザ。

姉妹の死闘だ。

しおりを挟む
 ルイザは順風満帆であった。 エリーゼへ日本人を盗られるまでは・・・ 学校を任されて、ライラ様からの信頼を厚く。 
リオンの街の名士に数えられるくらいであった。 
ライラ様は日本人の子を孕んで、アマテラス様の覚えもめでたいのである。 
それが、それが、油断であった。 
フーボーへ用心をするようにいっておいたんだが・・・
 所詮、魔法にはフーボーでは勝てない。 そこは、ルイザがユミスケの寝室の守りにつくべきであったのだ。 「一生の不覚だわ。」 「ライラ様は許してくださったけど、あたいが自身を許せないわ。」
「まさに、イマイッポだったのに。」「まさか、エリーゼが夢見魔法を使えるなんて。」
「いや、それは無いわ。」「エリーゼは治癒魔法だけのはずだわ。」
「夢見魔法はエリアラ様が・・」「まさか、エリアラ様が裏で・・・」 
エリアラはアエリアやライラの母親であるが、内心は姉のアエリア様を・・・ 
「まさか、それはありえないわ。」 ルイザは、あらゆることを模索するのだ。 
「そうだわ、必ずやエリーゼはユミスケを取り戻しに来るわ。」
「そのときが、勝負よ。」と、決戦を覚悟するルイザだ。 
姉妹だが、オンナの戦いだ。 オナゴ同士のエグイ戦いなのだ。
 今までが仲が良かった分が、反動で恨みが高まるだけである。 
「アマテラス様は、ああおっしゃったが、それは建て前であって本音ではないわ。」
「アマテラス様は、あたいの側なのは間違いないはずよ。」 そう確信するルイザだ。
 なんせ、長年に渡りお仕えしてきたのだ。 昨日今日のエリーゼとは違うのだ。 
「作戦を建てねば。」と、打倒エリーゼを画策するルイザだ。 
「そうだわ、ユミスケに警報魔法を掛けるのよ。」 
魔法は神から授かる魔法と魔道具で執行する魔法があるのだ。 魔道具とは、初代日本人が残した遺物が・・・ 欲にいう、緊急通報装置のことである。 
ベルトへ取り付けるバネが付いていて、ボタンを押すと、親機から警報音がでるのだ。 
早い話が、老人用の装置である。 
公爵家の警備道具のひとつであるのだ。 
地方の街へ赴任するときに、エルデール公爵がライラの警備にとルイザに持たせてくれたものだ。
 職員室で前の机のユミスケに、「ユミスケ、これを持っていてくれませんか。」
「なんだよ、ルイザ。」「え、え、エリーゼが現れたら、このボタンを押してくださいな。」と、教える。
「なんだ、緊急ボタンか。」「ユミスケは知ってるんですか。」
「あ、あ、まあな。」「なら、話は早いですわ、いいですね。」
「でも、ケンカしないでよ。」「それは、エリーゼしだいですわ。」 
アマテラス様は押さえ込んだが、一時しのぎなのはユミスケも知っている。 
それに、原因の元凶はユミスケの浮気だ。 
「わかったよ、ルイザ。」と、承諾するしかないユミスケだ。 
もう、それなりの年(双方とも、ライラやアエリアの乳母だ。)なんだが、互いに譲れないところもあるルイザとエリーゼなのである。 
「オンナとは、わからないモノだ。」と、ユミスケだが。 
「わかれば、浮気なんかしまんわね。」と、念を押されたユミスケだった。
しおりを挟む

処理中です...