日本戦車を改造する。

ゆみすけ

文字の大きさ
361 / 393
戦場体験談の講話会。

敵は、幾万ありとても~っ。

しおりを挟む
 凛子が陸軍省で、もろもろの手続きを・・・日本語で、書かねばならないからだ。
苦労しているころ・・・陸軍幼年学校で今野少尉は学生というより、生徒らへ体験談を駄弁っていたのだった。
 「いまから、皆さんへ紹介しますのは、満州でソ連軍と戦った先輩の講和です。」
「きりっ。」「敬礼。」「休め。」
 生徒らは着席した。
「ゴホン、諸君、本職が満州国派遣戦車隊の今野です。」
 「きょうは、内地へ帰還してるので経験談を諸君らへ話そうと思います。」
「なお、質問があれば話が終わってから、受け付けますので。」
 講堂の教壇の上で弁舌が始まった・・・

 「ソ連邦と満州国の国境紛争は皆、知ってるだろう。」「ハイ。」と、生徒らが・・・
「うむ、その紛争で満州国の軍は破れてしまったのだ。」
 「ソ連軍の戦車にヤラれたのだ。」
「戦車は授業で学んでるだろう。」「ハイ。」「なかなか、イイ返事だ。」
 「ソ連軍の戦車には、欠点があった。」「それは、速度が15から20キロ毎時だったのだ。」
「進軍速度は馬よりは遅いのだ。」
 「そして、だいたいが200キロが走行限度だ。」
「それは、戦車のエンジンが酷使するとダメになるからだ。」
 「戦車は重いのだ、それでエンジンは吹かしてばかりいるんだ。」
「つまり、短距離ランナーなのだよ。」
 戦車は巡行速度がある。 燃費やエンジンの耐久性を考慮しての速度だ。
「わが国の八九式戦車は15キロから30キロくらいだな。」
 「もちろん、会敵したら戦闘速度だが・・・」
「その速度も地面の状態で左右されるんだ。」
 「地面の状態は事前に偵察して把握しておかないと、戦車乗りは務まらないぞ。」と、脅す少尉だ。
「もちろん、最前線だ。」「いつ、狙撃されるか、わからん。」
 「死にたくなければ、鉄カブトは必須だ。」「そして、防護盾があると便利だな。」
「戦車は装甲があるからと・・油断してはならない。」
 「ソ連兵は、対戦車ライフルなる口径が大きなライフルで狙撃をしてくるんだ。」
「ヤツラはオナゴを狙撃兵に使ってるというウワサまであるぞ。」
 これは、史実だ。 オナゴにヒト殺しをさせる共産党なのだ。
「いいか、戦場で戦うのは野郎の仕事だ。」
 「これは、譲れないことだ。」
「オナゴは子孫を産むことが仕事だ。」「そして、オレたち軍人は敵からオナゴを守ることが仕事なのだ。」
 まあ、当たり前の講和なのだが・・・満州国での戦車戦の経験は、それなりの経験談として伝わるのである。
 
 「では、聞きたいことがあれば、どうぞ。」と、話が終わる。
誰も、手をあげない。 これが、普通なのだが・・・
 肝心の事を言ってない少尉だ。
質問で、でるかと思って、言ってなかったのだ。
 しかし、しかしだ。
目の前のガキどもは、開戦となったら最初に海を渡り・・・先陣を切れねばならない。
 上陸用の大発(ダイハツ)で、敵陣へ最初の1歩を踏み出さねばならないのだ。
そう、戦死するリスクが・・・上陸用の戦車は開発されていない。
 もちろん、陸軍工廠では試作を研究してるが・・・まだ、まだだ。
「君たちは、戦争が始まれば最初に敵陣へ乗り込まなければならんのだぞ。」と、脅しをかける少尉だ。
 「相手はシナかソ連だぞ。」「鮮人兵もいるが・・・」
「日露戦争では・・・ソ連の機関銃へ突撃したんだぞ。」「君たちは、それができるのかっ。」
 戦場を経験した野郎の言だ。 すごく重いのだ。
ひとりの生徒が、「怖くないんですか?」と、聞く。 まあ、当然の定番の質問だ。
 「そうだな、怖いといえば怖いが・・・」
「実際に怖いのは戦闘が始まる前だな。」「はじまってしまえば、怖いなんて考える暇なんて無い。」
 「君たちは、どうして軍人への道を選んだんだ。」と、ぶちかます少尉だ。
「オレは、正直いうなら食うためだ。」「なんせ、勤め先が国家だ。」「喰いっぱぐれが無いからな。」
 「お国のためもあるが、それは本音じゃない。」「腹が減っては、なんもできんからな。」
と、生徒らが打ち解ける話をする少尉だ。
 すると、次々と手があがるのだ。
生徒らは、聞きたいことは山ほどあったのだ。

 相手は、陸軍の幼年学校の生徒だ、軍事機密を考慮しなくても、まず問題はない。
そう、話をしても問題はないのである。
 そして、専門的な話は聞いても、なかなか理解できないだろう。
ジーゼルエンジンの分解を聞いてくる生徒はいないのだ。
 「いいか、君たちは自分のオンナを守ることができるんだ。」
「まだ、自分のオナゴはいないだろうが、それなりの年になるとできるものだ。」
 そう、現在はリア充の少尉様なのだ。
「そして、その自分のオナゴを守ることができる仕事が軍人なのだ。」
 「軍人だけが、国を自分のオナゴを母親を妹を守ることができるのだ。」
「国を養うことは、軍人以外の国民がやってくれるのだ。」
 「しかし、敵と戦うには学ばねばならない。」
「戦車を操縦するには、エンジンや変速機などの理解が必要なのだ。」
 「三八式も、素人では使えないぞ。」「長距離狙撃の照準器は使い方があるんだ。」
「戦場で、あらたな武器が到着しても、取説を読めなければ使えないぞ。」
 「だから、勉学が必要なんだ。」「いいか、死にたくなかったら戦い方を勉強するんだ。」
「オレは満州国派遣軍だ。」「直接は日本を守ってる訳ではない。」
 「しかし、満州国が負ければ、次は内地だ。」「ソ連軍は、必ず攻めてくるぞ。」
「日露戦争が証拠だ。」
 「そして、君たちが国をまもることができる仕事につくことができるのだ。」
「いいか、いつかはヒトは死ぬんだ。」「しかし、国を、家族を守って死ねるのだ。」
 「いいか、軍人とはヒトを守るために死ぬことができる職業なんだぞ。」
今野少尉の弁舌は続いたのである。

 

 

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記

糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。 それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。 かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。 ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。 ※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

処理中です...